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聖母と嘆きのギリシア富豪

聖母と嘆きのギリシア富豪


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェイン・ポーター(Jane Porter)
 アメリカ、カリフォルニア州に生まれ、十代から二十代前半は海外で過ごす。イギリスに滞在中、ロマンス小説に出会い夢中になった。文学修士号を持ち、現在は教師をしている。夫と幼い二人の息子とともにシアトルに在住。

解説

わたしは単なる代理母――なのに、おなかの子も、彼も愛し始めている。

ジョージアは宣教師の両親を不慮の事故で亡くし、妹を養うため、自ら卵子提供して代理母となる道を選んだ。契約相手は子どもの父となるギリシアの大富豪ニコス・パノス。妊娠6カ月を迎えたころ、ニコスから驚きの連絡があった。生まれてくる子どもにギリシアの市民権を与えるために、彼の住むエーゲ海の孤島へ渡り、そこで出産しろというのだ。追加の報酬さえあれば、もう妹の将来を心配しなくて済む――専用機で島に飛び、初めてニコスと対面したジョージアだったが、図らずも彼の美しさと、その身にまとう孤独の影に心奪われ……。

■初対面の男性との赤ちゃんをすでに宿しているヒロイン、その複雑な心境やいかに?屈指の実力派、ジェイン・ポーターだからこそ描けるドラマティックでムード満点のロマンスは、“これぞハーレクイン”と思わせる会心の出来です。

抄録

 人生の意味は研究室の中で見いだした。数学や科学は論理と法則に従っている。一方、感情は管理したり抑制したりできない。
 だから、子供は欲しくないと自分に言い聞かせた。ホルモン療法や採卵のあいだもずっとそうしてきた。胚移植のあいだも繰り返し言い聞かせた。わたしには忍耐力がなく、妥協もできないのだから、母親になるべきではない、と。
 にもかかわらず、妊娠が判明したとき、厚い鎧で覆ったはずの心が大きくはずんだ。
 驚きと喜びを感じた。それから医師としての自分の将来を考え、喜びを抑えこんだ。
 妊娠は感情と切り離せない行為だ。科学的な側面だけなら結果を推測したり経過を予想したりできるが、感情はそうはいかない。予測不能な事態が生じる場合もある。
 もっとも、これまでのところは順調だった。少なくとも、順調だというふりはできた。しかしいま、ニコスによってパンドラの箱が開かれ、生まれてくる子供という現実に直面させられている。代理母は母親ではない、と口で言うのはたやすい。けれど、急に赤ん坊の将来が心配でたまらなくなった。
 母親のいない人生……。
 ジョージアはあわてて息を吸いこんだ。赤ん坊は大丈夫かと確かめるように、おなかをそっと撫でる。
 いまわたしはここにいるし、子供が育つ場所を目にし、その子を誰がどのように育てるのかも知った。ただし、それで大丈夫だとはとても思えない。子供の人生はわたしが想像していたそれとは異なるものになるだろう。
 とはいえ、母親のいない子供がニコスのもとでどう育つか、それを明確に思い描けるほどこの島で長い時間を過ごしたわけではない。
 子供はとても裕福な家庭の一員となり、恵まれた生活を送るはずだ――ジョージアはそう信じることにした。
 子供は何もかも最高のものを手にするだろう。住まいも、教育も、機会も、保護も。
 でも、それで充分なの?
 やめなさい、ジョージア。そんなふうに考えてはだめ。子供を自分のものにできないことは最初からわかっていた。すべての権利をニコスに譲ると署名したのだ。
 わたしの子供ではない。
 ニコスの子供だ。
「泣いているのか?」ニコスが彼女の隣に座った。
「いいえ」わたしは泣いたりしない。
「泣いている」
 ニコスが彼女の顎をつかみ、顔が見えるように上向かせた。彼の目が彼女の顔の隅々まで観察する。ジョージアは頬が熱くなるのを感じた。目頭も熱い。
「どうしたんだ? 笑っていると思ったら、次は泣いている。ぼくには理解できない」
 ジョージア自身も理解できなかった。「たぶん時差のせいね」
 ニコスは彼女を見た。頭の中を見通すことができるとでもいうように、じっと目を見つめる。「あるいは妊娠ホルモン?」
 ジョージアは顎に添えられた彼の手の熱を感じた。最後に男性に触れられたのはいつだったか、覚えていない。多くの男性とデートをしたが、ここ数年は勉強に時間を取られ、真剣な関係に発展することはなかった。時間があったとしても、誰かと簡単にベッドをともにしたりしなかった。体や心を人目にさらすことに、どこかでためらいを感じていた。
「妊娠中はふだんより感情が激しくなるの」ジョージアは全身の血管が脈打つのを無視しようと試みた。動悸の原因は恐怖ではなく、もっと別の、もっと望ましくないものだった。体がニコスに反応している。「いつものわたしなら、こんなふうにはならないのに」
「履歴書にも書いてあった」
「ええ、そうよ」ジョージアはきっぱりと言った。「原因はあなた。あなたのせいだわ」
 ニコスは眉をひそめた。「ぼくが怖いのか?」
「いいえ、怖くはない。だけど、あなたは極端よ。もう少し距離をとってくれたら、わたしも冷静になれる」不意に息が切れ、かすれた低い声しか出てこなくなった。
 その声を聞いて、ニコスの黒い瞳が光を帯びた。彼の指が顎から喉元へとジョージアの肌をたどる。彼女ははっと息をのんだ。彼のことは好きになれないが、彼に触れられるのは好きだった。全身に震えが走った。
 ニコスの視線が彼女の唇に注がれ、指先が首筋を撫でた。彼女がどれほど興奮しているか、知ろうとしているのだ。
 ジョージアの敏感な体はひどく興奮していた。彼女は湧きあがる喜びにひたり、快感が全身を満たすさまを味わった。そんな自分にショックを受けながら。
「きみはぼくが思っていたような代理母ではない」
 ニコスは手を引いたが、その直前に指先が鎖骨をかすめ、喜びの火花が彼女の全身を駆け抜けた。
 ジョージアは彼から離れたかった。空気と空間が必要だった。「靴を替えるわ。外で会いましょう」
「ドアのところで待っている」
「靴を替えるあいだに転んだりしないわ」
「ぼくはどんなときも慎重に行動する」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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