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復讐のエーゲ海【ハーレクインSP文庫版】

復讐のエーゲ海【ハーレクインSP文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクインSP文庫
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジャクリーン・バード(Jacqueline Baird)
 趣味は油絵を描くことだったが、家族からにおいに苦情を言われ、文章を書くことにした。そしてすぐにロマンス小説の執筆に夢中になった。旅行が好きで、アルバイトをしながらヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回った。英国に戻ったときに結婚。二人の息子に恵まれ、現在も生まれ故郷のイングランド北東部に夫とともに暮らしている。「二人のバレンタイン」と「恋は強引に」がお気に入りの作品だという。ロマンティックタイムズ誌の賞の受賞歴があり、ベストセラーリストにもたびたび登場する。

解説

サフランはさる富豪女性の専属ビューティ・セラピストとして、エーゲ海クルーズのツアー旅行に随行することになった。青い海と空に囲まれ、開放的な気分を楽しんでいたある日、雇い主の息子でギリシア人実業家のアレックスが港に現れた。突然母親が姿を消したので、居所を突き止めて追ってきたらしい。彼はあろうことかサフランを誘拐犯扱いして侮辱したうえ、無理やり自分のクルーザーに乗り換えさせた――こうして、激しい怒りと熱い欲望を瞳にたぎらせる男との、決して逃げだせない牢獄のような旅が始まった。
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のカバー替え版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 昼下がりには日差しが強くなった。アレックスが休もうと言い出し、ナップザックからタオルを出して金色に輝く砂の上に広げた。サフランもタオルを出し、用心して三十センチほど離してしいた。
「興ざめな人だ」アレックスは無造作に服を脱ぎ、サフランの前に立った。黒い水泳パンツは想像の余地がほとんどないほど小さい。
 みごとな男性美を見せつけられたサフランは、懸命に目をそらした。もう四十近いのに、たくましい長身には贅肉ひとつなく、男盛りという感じだ。こんな男性とふたりきりになるなんて、わたしはどうかしている。
「海まで競走しよう」
「お先にどうぞ。あとで追いつくわ」心臓の鼓動をどうにかしなくては。彼は軽くうなずいて、白い砂浜とターコイズブルーの海とが交わる波打ち際に走っていった。後ろ姿もセクシーで、日焼けした広い肩からウエストへと細くなり、引き締まったヒップから長い脚へ……やめなさい! なんてことを考えるの。サフランは大急ぎでデニムのスカートと半袖のシャツを脱いで水着姿になった。
 この水着にして正解だったかしら。ビキニよりはおとなしいと思ってこの旅行用に買ったのに、今見ると急に不安になった。翡翠色のシンプルなワンピースだけれどウエスト近くまで切れ込んだハイレグで、肩ひもはなく、襟ぐりは胸元でまっすぐ横にカットされている。こんなに挑発的だとは思わなかった。でも今さらどうしようもない。彼女は深呼吸をひとつして、波打ち際に駆けていった。彼は沖のほうで泳いでいて、頭が波間に見え隠れしている。すばらしい泳ぎだけれど、アレックスならそれも当然のように思えた。
 彼と競争するつもりにはなれない。泳ぎはあまり得意ではないので、浅瀬近くで漂い、日差しでほてった肌を心地よい波に預けた。ときどき目を向けると、アレックスは沖の波間の岩を目指して泳いでいく。リズミカルな力強いフォームには感嘆するばかりだ。サフランはため息をついた。置いてけぼりにされてがっかりしてるわけじゃないのよと思いながら、ゆっくりと浜に戻った。
 タオルの上に仰向けになって目を閉じ、ぬれた体を乾かした。この二日間のあわただしさ、昼食の料理とワイン、日差しのぬくもり、すべてが重なって、彼女はいつしか眠りに落ちていった。
「サフラン!」びくっとして目を覚ました彼女は、一瞬自分がどこにいるのかわからなかった。アレックスが眉をひそめて顔をのぞき込んでいた。毛深い胸も平らな腹部も、ぬれてきらきら輝いて水滴をしたたらせ、眉をひそめている。「日光浴しながら眠るなんてだめじゃないか」つと手を伸ばして水着の胸元からのぞくやわらかな丸みを指でなぞり、かすれた声で言った。「こんなに色白で敏感な肌をしてるんだから、火ぶくれになってしまうよ」
「アレックス……」サフランはぼうっとしてつぶやいた。脈が現実とは思えない速さで打っている。彼はうっとりと見とれながら、指先でそっと水着の胸元を下げた。忍び込んだ指先が胸の頂に届きそうになり、サフランは身を震わせた。やめさせなければとわかっているのにその気が起こらない。彼の瞳の官能的なきらめきと、ハスキーなささやきに陶然となった。
「豊満で、絹のようになめらかな肌……最高だよ」
 アレックスは海と空と太陽のにおいと、男らしい香りがした。彼はサフランに覆いかぶさるようにして日差しをさえぎった。
「サフラン……君は僕を狂わせる」
 彼女にはアレックスの高ぶりが感じられた。逃げなくてはと頭で思いながら、唇はキスを待っている。急に乾きを覚え唇を湿らせると、彼の熱い唇が重なってきて胸が高鳴った。アレックスがやさしくふくらみを包み、舌が唇に分け入ってきた。サフランはどの男性にも感じたことのないうずきを覚えた。彼の興奮がさらに高まったことに気づいたとき、唇が離れ、彼が満たされないうめきをもらした。
 サフランはなす術もなく目を大きく見開いて、彼を見つめるばかりだった。アレックスは彼女の青ざめた顔をしげしげと見た。
「まったく、今度ばかりは母もお手柄だな。いったい君はいくつなんだ。十九? 二十歳?」アレックスはすばやく彼女の胸元を直すと、体を離して片肘をつき、憂鬱な面持ちで見下ろした。「僕はどうかしている」
 サフランはようやく声を取り戻し、落ち着いた口調になるよう願いながらこたえた。「若く見てくださってありがとう。二十五歳よ、もうすぐ二十六」アンナがお手柄って、いったいどういうことだろう。
「よかった、子どもを誘惑したらまずいからね」
「誘惑されるつもりはないわ」サフランはさっと起き上がった。「そろそろ行きましょう。日光浴はもう十分」
 立ち上がりかけた彼女の肩を力強い手がつかんだ。「ちょっと待って。確かに昨日の出会いはまずかったが、僕ひとりのせいじゃない。おたがい大人なんだから、現実的に考えようじゃないか」
 サフランは彼を振り向いた。見返す黒い目の奥に情熱の余韻が残っている。「現実的に考える?」
「そう。僕は君がほしい。何年ぶりだろうな、こんな気分になるのは。だから、この先どうなるかふたりで試してみないか。君だって僕を求めている――わかっているよ、触るたびに体を震わせるんだから。思いは同じなんだから試してみよう。どうだい?」
 ずいぶんドライな言い方! サフランは立ち上がり、寝そべっているアレックスを見下ろした。彼は獲物をむさぼる非情な鮫だ。獲物はこのわたし。彼女はタオルをつかんで彼の上で砂を払った。「勝手に夢を見てるといいわ!」服をひろってさっさと浜を歩き出した。彼の低い笑い声が耳についた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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