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かりそめの蜜夜〜漆黒の貴公子は愛を知る〜

かりそめの蜜夜〜漆黒の貴公子は愛を知る〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

ほら、貴女の身体はこんなにも私を誘っている
令嬢が囚われたのは、傷を負った富豪の激しいまでの慾望

伯爵令嬢のレティシアは、出自に関するスキャンダルから逃れるためにヴァーレン帝国を訪れる。そこで怪我を負ってしまい、帝国有数の貿易商・ジークに助けられ、世話になることに。「貴女の中は蕩けそうなほどに熱い」いつしか惹かれあい、甘く激しい蜜夜を過ごす二人。ところがある日、彼の秘密を知ってしまったレティシアは、突然拒絶されて……。

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

(本当なら、なにをされても耐えなければいけなかった。それなのに、私の心が弱いばかりに……ジーク様に助けていただいて、嬉しいと思ってしまった)
 どうしてもお礼を言いたくて、追いかけて──また迷惑をかけて。
 短い時間にあまりに多くのことが起こり過ぎて、身体はひどく疲れているのに、頭だけ妙に冴えていた。
 今夜は眠れそうにない。レティシアは、枕元に置かれたランプの、ぼんやりとした灯りを静かに見つめていた。
 と──不意に、部屋の扉が叩かれる。
「失礼。傷の手当てをさせていただけますか?」
 部屋に入ってきたのはジークだった。言葉の通り、傍らに薬や包帯の入った小箱を抱えている。
「はい、もちろんです。……もしかして、ジーク様が手当てしてくださるのですか?」
「ええ。実は、イザベラよりも私の方が、こういったことには慣れているのですよ」
 ジークはレティシアの横たわる寝台に近付くと、傍らへ椅子を引き寄せ、腰かけた。
「レティシア様、怪我を見せていただいても?」
「は、はい……」
 レティシアは身体を起こし、おずおずと痛む方の足をジークへ差し出した。
「素直ですね。もっと恥じらうかと思ったのですが」
「ジーク様に、これ以上ご迷惑をおかけするわけにはいきませんから……」
 父親にも、ジークにも。レティシアは、迷惑ばかりかけている──。
「……浮かない顔をして、なにを考えているのです?」
 レティシアが差し出した素足へ、ジークの大きく骨張った手が触れた。
「気に留めていただくようなことは、なにもありませんわ。それより、ジーク様もお疲れでしょう。早く手当てを済ませて、お部屋でゆっくり休まれては……きゃっ」
 レティシアは悲鳴を上げた。ジークが突然、彼女のつま先に口づけたためだった。
「ジーク様!? な、なにを……」
「……気に食わない」
 レティシアの足に口づけたまま、ジークは低い声でそう呟く。素足へ熱い吐息が触れて、レティシアの背筋にぞくりとしたものが走った。
「私に、なにを隠そうというのですか」
「で、ですから私は、なにも隠してなど……ああっ」
 ジークの唇が、ちゅっと音を立ててレティシアの足の甲へ吸い付いた。くすぐったくて、レティシアは堪らず身をよじる。しかし、ジークの唇は彼女の足から離れず、むしろ何度も吸い付くような口づけを落とした。
「やめて……やめてください、ジーク様」
「お断りします」
 レティシアの必死の懇願にも、ジークが動じる様子はない。足元からレティシアを見上げる彼の瞳には、底知れない闇だけがあった。
「それに、私は警告して差し上げているのですよ」
「あっ……」
 ジークの唇がレティシアの足から離れたと思ったのも束の間、ジークは彼女のふくらはぎを柔らかく撫でた。
「このように無防備に素足を晒すなど、淑女にあるまじき行いです」
 柔らかな感触を確かめるように、ジークの手がふくらはぎをやわやわと揉む。
「でもっ……ジーク様は、私の怪我を手当てしてっ……くださると……っ」
「今日出会ったばかりの私の言葉を信じたのですか? 本当に? ……貴女は、どれだけ世間知らずなのですか」
 ジークが椅子から腰を浮かせ、レティシアのふくらはぎへとその唇を近付けていく。
 また、口づけられる──レティシアは思わずそう身構えて。
 しかし、次にジークが取った行動は、レティシアの予想を超えたものだった。彼はふくらはぎへ掠るような口づけを落とした後、ツ……と舌を這わせたのだ。
「ジーク様、やめ……あっ、ああっ……!」
 レティシアを翻弄するように、ジークは舌の先端を尖らせ、触れるかどうかというくらいの繊細さで彼女のふくらはぎを愛撫した。レティシアは堪らず足を強張らせるが、そうすると余計にジークの舌の感触が伝わってくる。
 レティシアの足元から腰へ、腰から背骨へと、ぞくぞくとした震えが伝わっていく。
 最初はただ、くすぐったいのだと思った。しかし、今はもうそれだけではない。
 どこか甘い、未知の感覚に、レティシアは完全に翻弄されていた。
「もしかしたら、私は今この時のために、貴女を屋敷まで連れ帰ったのかもしれませんよ」
 愛撫を止めたジークは、どこか乾いた口調で冷たくそう呟いた。
「足を痛めた貴女は私から逃げられず、抵抗もできない。好き勝手にいたぶるには最適の相手だ。現に今、貴女はこうして弄ばれているのですから、これはもう、疑う余地があるようには思えませんが?」
「そんな……」
 ジークはレティシアを助けてくれたのだと思っていた。頼れる相手のいない異国の地で、ただ一人、信じられる人なのかもしれないと感じた。
 だから必死に感謝を伝えようとしたし、こうして彼の家に世話になると決まったとき、レティシアは最初こそ戸惑ったが──本当のところは、嬉しくて仕方なかったのだ。これで、彼と長い時間、一緒にいられるかもしれないと思って。

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