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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

雇われた純潔のフィアンセ

雇われた純潔のフィアンセ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 イヴォンヌ・リンゼイ(Yvonne Lindsay)
 ニュージーランドに生まれ、十三歳の頃からロマンス小説を愛読するようになった。ブラインド・デートで出会った男性と結婚し、二人の子供がいる。読書を通じて人々のさまざまな愛の力を追体験していると言う。

解説

この結婚に愛が期待できないことは、最初からわかっていたはずなのに……。

ミラは17歳のとき、政略結婚の相手ティエリと対面し、心奪われた。教養に満ち、目もくらむほどセクシーで、自信にあふれた人!ところが、ティエリの顔に浮かんでいたのは明らかな失望の色。ミラは太って冴えない容姿だったのだ。彼にふさわしい妻になりたくて、ひそかにミラはアメリカへ渡った。婚礼の日までに美しくなろうと。7年後、輝くような美女に変身したミラは、帰国前に偶然ティエリと再会する。そして婚約者とは気づかぬ彼に偽名を名乗り、甘いひとときを過ごした。だが、結婚の日を心待ちにするミラの耳に届いたのは、彼が独身最後のこのときに高級娼婦を買うという噂。ミラは矢も楯もたまらず、自分が替え玉になろうと思い立ち……。

■自分の雇った高級娼婦が、異国で心惹かれた美しい女性と知って驚愕するヒーロー。実はどちらも自分が婚約中の、かつて冴えなかったフィアンセの偽りの姿とは夢にも思わず……。ヒーローを翻弄するヒロインから目が離せない、イヴォンヌ・リンゼイの力作です。

抄録

 一瞬、二人は黙り込み、たがいに見つめ合った。
 気がつくと、ティエリはエンジェルから視線がそらせなくなっていた。彼女の黒い眉は完璧な曲線を描き、瞳は独特な色合いの琥珀色だった。髪がブロンドの場合、眉や瞳がそんな色なのはおかしい。しかし、それでも彼女は美しかった。色彩のアンバランスが魅力をいっそう引き立てていた。頬骨は高く、鼻筋も通っている。だが、何よりティエリの目を引きつけたのは、彼女の唇だ。豊かで官能的な唇が開くたびに、パンチを食らったような衝撃が体に走り、下腹部に欲望が荒々しく兆した。魔法にかけられたような気分だった。だが、この魔法から解き放たれたいとは思わなかった。
 そのとき、誰かがかたわらを通り過ぎ、二人のテーブルにわずかに体をぶつけた。彼女のカップからコーヒーが少しこぼれ、その瞬間に魔法は解けてしまった。
 エンジェルは笑い、こぼれたコーヒーを紙ナプキンで拭き取った。「今日のわたしは、最後までコーヒーがのめない運命のようね。そうそう、さっきの質問に対する答えは、ノーよ。わたしはボストンに住んでいるの。今日は遊びに来ただけ」
「ニューヨークのアクセントじゃないなとは思っていたんだ」
 彼女はエレガントな指でナプキンを丸めると、カップを手に取り、コーヒーをのんだ。エンジェルのちょっとした仕草に、彼は魅了された。唇についたトッピングのチョコレートやミルクの泡を、彼女が舌の先で舐めるたびに目を奪われてしまう。不意に喉が苦しくなった。激しく脈打つ心臓が喉もとまでせり上がってきたような気分だった。
 彼女とこの店に来るべきじゃなかったんだ。ぼくは別の女性と婚約している。ろくに知りもしないフィアンセだが、それでも今月の末には結婚する。しかし、エンジェルほど魅力的な女性に会ったことは、いままで一度もなかった。彼女のそばを離れたくなかった。いま感じているこの感情が何であれ、ティエリはそれをもっと味わいたかった。
「ニューヨークに来たのは、“地球にやさしい社会”をテーマにしたレクチャーに参加するためなの」
「ほんとうかい? 実は明日のレクチャーには、ぼくも出席する予定だったんだ」
「でも、帰国は先延ばしにできないのね?」
 彼女のそのひとことで、ティエリは現実に引き戻された。明日のことを考えないわけにはいかなかった。まず八時間半をかけ、専用機でシルヴェインへ。空港からはヘリコプターで王宮に飛ぶ。そのあとは、王族と政府首脳による会議。亡き父の葬儀を終えるまで、自分の時間などなかった。
「ホーク?」エンジェルが言う。
 ティエリはわれに返った。「そう、国に帰らなければならないんだ。急な用事ができてね。だが、こんな話はどうでもいい。そんなことより、きみのような若くて美しい女性が、どうしてあんな埃っぽいレクチャー・ルームに行ったりするんだい?」
「それは女性差別的な発言じゃないかしら?」
「失敬」彼はあわてて言った。「きみの知性を軽んじるつもりはなかったんだ」
 自分が情けなく思えてきた。カエルの子はカエルか。ティエリの父は、女とは世継ぎを産むだけの存在であり、貞淑でありさえすればいいという古い価値観の持ち主だった。しかも父の配偶者は、貞淑という点では大きな問題があった。そのくせ父は、妻との関係の築き方に問題があったのではとは考えなかった。むしろ、時代遅れの女性観にいっそう固執するようになった。王宮のスタッフの顔ぶれを見れば、父が男性しか信頼していなかったことがわかる。
 母が不倫に走ったのは、妻を見下すような父の態度が原因ではなかったのか。ここ最近ティエリは、そんなふうに考えはじめていた。だからこそ母は、夫以外の男性との関係に、人生の意味を見つけ出そうとしたのではないか、と。だが、いまとなっては過去の話だ。母と愛人は、遠い昔に交通事故で命を失った。事故のあとにはスキャンダルが持ち上がり、シルヴェインとエルミニアは開戦の一歩手前まで追い込まれたのだ。結婚するまでは女性とは関係を持たない。結婚後も決して浮気はしない。ティエリがそう誓ったのは、そんな事情があったからだ。同時に彼は花嫁にも同じような貞節をもとめるつもりでいた。彼らの結婚は愛情にもとづくものではない。しかし、結婚生活を途中で投げ出すつもりはなかった。ティエリの先祖は代々結婚を破綻させ、不幸な人生を送ってきた。その流れをここで変えねばならなかった。けれど、ほんとうにそれができるのだろうか?
 彼の謝罪を受け入れたらしく、エンジェルが頭をいっぽうに傾けた。「それを聞いてほっとしたわ。そういう台詞は、いやと言うほど兄に聞かされてきたから。レクチャーに出ようと思ったのは、担当の教授に勧められたからよ」
 それから一時間、二人は議論を闘わせた。地球にやさしいライフスタイルについて。雇用における機会均等について。再生可能エネルギーについて。ティエリは彼女に魅了された。理想を語るエンジェルはいきいきとしていた。興奮で頬がピンクに染まっている。環境問題はティエリにとっても大きな関心事だった。自国の政府とともに、この問題に取り組みたいと彼は願っていた。彼の父は古いやり方を変えようとしなかったが、ティエリは未来の世代のためにも、母国の資源を浪費してはならないと考えていた。彼女と話をしているうちに、気分が高揚してきた。エンジェルは、彼に知的な刺激を与えてくれたのだ。


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