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プリンスを愛した夏【ハーレクイン・セレクト版】

プリンスを愛した夏【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・ケンドリック(Sharon Kendrick)
 ウエストロンドン生まれ。写真家、看護師、オーストラリアの砂漠での救急車の運転手、改装した二階建てバスで料理をしながらのヨーロッパ巡りなど、多くの職業を経験する。それでも、作家がこれまでで最高の職業だと語る。医師の夫をモデルにすることもある小説のヒーロー作りの合間に、料理や読書、観劇、アメリカのウエストコースト・ミュージック、娘や息子との会話を楽しんでいる。

解説

ロンドンでパーティ・プランナーの助手として働くメリッサは、地中海の小国ザフィリンソスを訪れていた。近々開かれる、カジミーロ国王が主催する舞踏会を手伝うためだ。だが、彼女にはもう一つ、重要な目的があった。じつは2年前、カジミーロとメリッサは束の間の情熱を分かち合い、メリッサは妊娠。彼に知らせぬまま密かに息子を産んでいた。カジミーロには私の口からきちんと真実を話したい……。国王への謁見を許されたメリッサは、すぐに自分の愚かさを呪った。カジミーロは彼女のことなどまったく覚えていないばかりか、耳を覆いたくなるような罵倒を浴びせ、手酷く追い払ったのだ。

■2011年に刊行された、人気作家シャロン・ケンドリックのシークレットベビー作品をお贈りします。以前とは別人のような国王の変貌には、じつは誰にも知られてはならない秘密があったのでした。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「では、私があなたとは明らかに身分が違うということのほかにも、君主とベッドをともにできない理由はあるのかしら?」メリッサは落ち着き払って尋ねた。
「もちろん、山ほどある。僕はブロンドの女性が好きだ。なおかつ体の曲線の美しい女性が。きみはどちらでもない。そのうえ、女性には美しく着飾ってもらいたい。実際、僕が親密になった女性は最上級のシルクサテンやレースの下着しか身につけない」彼の唇に冷笑が浮かんだ。「ホームレスまがいの衣類を身につけるなどありえない」
 それでも、メリッサは腹を立てなかった。ただし心臓を矢で射抜かれたような痛みは感じていた。その矢は彼女がかつてカジミーロにいだいていたすべての感情を粉砕した。彼女は彼の親切さや、腕に抱いてくれたときの優しさを覚えていた。彼女の頭の中でそういった記憶がひとつずつ積みあがり、カジミーロの人物像を形づくった。けれど今、メリッサは悟った。私は想像の中で空想の男性をはぐくんでいたのだ、と。目の前にいる男性は、人を傷つける傲慢きわまりない人間にほかならない。
「つまり、私の髪の色も体の曲線もあなた好みではないし、身なりもホームレス同然だというのね」メリッサはそこで言葉を切り、真正面から彼を見返した。「ほかに何か言い忘れていることはない?」
 カジミーロは彼女のしつこさに驚き、眉をひそめた。今ごろ彼女は降参しているはずだった。泣き崩れて、こうまでして金を無心するに至った不幸な顛末を語り始めているはずだった。荒れかけた驢馬の聖地を救済する資金が欲しいとか、生息地に新しい道路が通って絶滅の危機に瀕した珍しい蝶を守るために闘っているとか……。
「実は、まだある」カジミーロは内緒話のように声をひそめた。「僕は女性とベッドをともにするとき、いつも避妊具を使っている」彼女の頬がピンク色に染まった。これだけはっきり事実を告げれば、引き下がるだろう。「世間一般では、僕の精子は何よりも貴重だと思われている」彼の唇に皮肉なほほ笑みが宿る。「僕が王であるかぎり、当然のことだ」
 メリッサは絶句し、このとんでもない発言が頭から消えるのを待った。「だったら、なぜあなたはここにいるの?」彼女は静かに尋ねた。
 相変わらず落ち着き払っている彼女に、カジミーロは少しまごついた。どうして僕はここにいるのだろう? 本当に安っぽい詐欺師だと信じているのなら、彼女を近づけさせたりしないはずだ。彼女を見ていると、自分でも説明できない何かが引っかかる。なぜなんだ?
 生死の境をさまよったあの事故以来、いつも楽しんでいた気晴らしの多くが制限され、カジミーロには危険を味わったのははるか昔のように感じられた。だが今、彼は危険を味わっていた。危険が体にまつわりつき、じらされているようだ。愛馬で高くジャンプしたときのように。
 事故以来、僕は馬に乗っていない。しかし、思いがけず別の形の誘惑がやってきた。ブロンドではない。体は小さくもないし、曲線も美しくない。けれども大胆な気性にブルネット、とてつもなく長い脚と誰よりも深い緑色の目を持っている。まるでエメラルドのようだ。再びカジミーロは引っかかるものを感じた。手が届くか届かないところに漂って彼をじらす、記憶のような何かが。
 カジミーロはゆっくりと唇をなめた。「たぶん、僕の記憶をつつく何かを探しに来たんだろう」
 彼が何をするつもりなのか、メリッサは気づいていなかった。メリッサの人生手引きには、たった今まで自分を虫けらのように侮辱していた女性に言い寄る男性がいるとは書かれていなかったからだ。
 傲慢にもカジミーロは我が物顔でメリッサを腕の中に引き寄せた。あまりに強く引き寄せたせいで、今や二人の間にはそれぞれのTシャツがあるだけだった。そうした状況にもかかわらず、メリッサは彼に触れられた喜びを感じていた。それは以前と同じくらいすばらしい感覚で、肌が歌いだし、鼓動が速くなった。でも、これはいけないことだ、と彼女は心の奥底で知っていた。
「自分が何を……しているかわかっているの?」メリッサは息をあえがせ、彼に抗議した。
 口ごもりながら示した彼女の抵抗に怒りと興奮を覚え、カジミーロは下腹部が張りつめるのを感じた。彼女の顔にかかるひと房の髪を払いのけ、いっそう色の濃くなった目をのぞきこむ。
「決心したまえ、ダーリン」カジミーロはかすれた声で言った。「きみが言ったんだ、僕はきみの恋人だったと……」
「真実を言ったまでよ!」
「だったら、きみの唇の味わいと体の感触が僕の記憶を揺り動かすかもしれない。そうだろう?」
 次の瞬間、彼は唇を重ね合わせた。あまりに激しいキスに、メリッサは身を震わせた。震える理由はいくつもあった。そのキスに優しさや敬意はみじんも感じられず、軽蔑の念がこめられている気がしたから。そのキスが息をのむほど巧みだったから。そしてもちろん、久しぶりのキスだったから。
「カジミーロ……」メリッサは息も絶え絶えに言った。それ自体が贅沢だった。でも、キスの最中なら、王を名前で呼んでも許されるでしょう?
 相手の唇が開くのをカジミーロは感じた。メリッサのすばやい反応に思わず警戒心が緩む。彼女が見せた突然の情熱に不意討ちをくらったかのように。僕はもっと抵抗されると思っていたのか? いや、もっと抵抗してほしいとさえ思っていたのかもしれない。そうすればキスで屈服させ、彼女のおかしな要求を引っこめさせることができたに違いない。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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