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裏切りの舞踏会【ハーレクイン・セレクト版】

裏切りの舞踏会【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キム・ローレンス(Kim Lawrence)
 イギリスの作家。ウェールズ北西部のアングルジー島の農場に住む。毎日三キロほどのジョギングでリフレッシュし、執筆のインスピレーションを得ている。夫と元気な男の子が二人。それに、いつのまにか居ついたさまざまな動物たちもいる。もともと小説を読むのは好きだが、今では書くことに熱中している。ハッピー・エンディングが大好きだという。

解説

旅先のイタリアで道に迷ったエリンは、黒馬にまたがったハンサムな男性、フランチェスコに助けられた。うぶな彼女はたちまち恋に落ち、翌日には彼に純潔を捧げ、5日後には結婚式を挙げていた。エリンはそのとき初めて知った。フランチェスコがイタリア名門銀行の経営者であると。かすかな動揺は、やがて夫に対する不信へと変わっていく。彼ほどすてきな人が、なぜ私を選んだのだろう?ある晩、パーティ会場で夫が別の女性とキスしているのを見て、エリンのなかで何かが壊れた。私は愛されていなかった……。彼女はすぐに家を出た──身ごもっていることを隠したまま。

■浮気者の父に泣かされる母を長年支えてきたエリンにとって、夫の裏切りは残酷すぎる仕打ちでした。しかし、妻の妊娠に気づいたフランチェスコがエリンを黙って手放すはずもなく……。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 二人の初めてのデートは、すぐにつまずいた。車のガソリンが切れたのだ。
 フランチェスコはかっとなり、荒々しく車のドアを開けた。そして降りるなり、タイヤを蹴った。
 その姿を見て、彼女がくすくす笑った。愛らしい唇が震える。
 ますます頭に血がのぼり、フランチェスコはおんぼろトラックをののしった。「元凶はこいつだ」先週ぼくが街から乗ってきたメルセデスで来ていたら、と彼は思わずにはいられなかった。
 一時的とはいえレイモンと車を取り替えたことが悔やまれる。今ごろレイモンは、メルセデスでもトップ・クラスの豪華な車で楽しんでいるだろう。
 レイモンは、フランチェスコが所有するアラビア種の競走馬の飼育を担当する厩務員だ。そのレイモンに、頭は大丈夫かときかれたのも当然だろう。財界の連中だって、今のぼくを見たら同じ疑いをいだくに違いない。フランチェスコ・ロマネーリがついに壊れた、と。
 こんなばかげた行動に拍手を送る人間はただひとり、双子の弟ラファエロだけだ。弟が生きていれば、“兄貴、ついにやったか!”と言っただろう。それでも、あまりに変わり果てたぼくの姿に、眉を上げるくらいはするかもしれない。
 フランチェスコの罵声を聞いて、彼女が笑うのをやめた。「あなたって、歯痛みたいに人の神経を逆撫でする人ね」
 ひどい言われように、彼は大きなショックを受けた。これまでは敬意を払われるのが当たり前だっただけに、彼女の言葉はこたえた。
 動揺したフランチェスコは運転席に戻るなり、身を乗りだして彼女の顔を両手ではさんだ。「楽しみたいんだろう?」そう言って、彼は顔を下げた。
 唇が触れ合った瞬間、フランチェスコの自制心は吹き飛んだ。
 心の準備ができぬまま、体の中で何かが燃えたぎり、炸裂している。彼の理性は焼きつくされ、欲望だけが残された。
 こんな経験はしたことがない。この女性と出会うまで!
 フランチェスコが震える白い喉もとにキスをすると、彼女はのけぞるようにして顔を上向かせた。いとしさのあまり、彼女の顎に手を添えて顔を引き寄せ、人差し指で柔らかな頬をなぞる。まだ欲望を感じているものの、今は抑制がきいていた。
「怖がらせる気はなかったんだ、|かわいい人《カーラ・ミーア》」むしろぼくのほうがおびえていた、とフランチェスコは胸の内でつぶやいた。
 彼女はほほ笑み、ほっと息をついた。「怖くはないわ。わたしは……」言葉につまり、彼女は声を震わせて笑った。それから頬に添えられた彼の手をそっと握る。褐色の肌に重ねられたその指はとても白く、小さかった。
「どうしたんだい?」
「大丈夫、少し不安を感じただけなの。でも、あなたのせいじゃないわ」彼女は慌てて言った。「あなたに触れられて、あんなに感じてしまう自分が怖いの」当惑したように目を伏せる。「いやだわ、見知らぬ人に言うことじゃないわね」
「見知らぬ人ではない」
「だって、あなたの姓さえ知らないわ」
「ロマネーリだ」彼女の反応を待って、フランチェスコはいったん黙った。だが、彼女の顔にはなんの表情も表れず、“ロマネーリ”と聞いてぴんときた様子はない。「フランチェスコ・ルイ・ロマネーリだ」
「わたしはエリン。エリン・フォイルよ。わたしったら何をしているのかしら、こんなふうにのんびりしゃべっているなんて……。男性からガソリン切れだと聞かされたら、女性はヒステリックに騒ぎたてるのが普通なのに」エリンは答えを求めるように、彼の顔を探った。しかしすぐにいたずらっぽくほほ笑んだ。その拍子に左の頬にえくぼができる。
 フランチェスコの手が頬から離れると、エリンはくすっと笑いながら、くたびれた革のシートにもたれ、脚を引きあげて膝を抱えた。
「何がおかしいんだ?」
「今夜、あなたがホテルに迎えに来たときのことを考えていたの。あのウエイター、うろたえて卒倒しそうだったわ。“お客様、当ホテルには厳格な服装規定がございます”ですって」エリンは首を左右に振った。「ばかな人!」
「ぼくはどう見えた?」フランチェスコは、彼女のかわいい口もとに広がる笑みに引きつけられた。
「すごく地味だったわ」エリンはからかった。
「どういう意味だい?」
「褒めてほしいの?」
 フランチェスコはかぶりを振った。実のところ、彼女の口もとに見とれて、あまり聞いていなかった。
「ずかずか入ってきたあなたは、さしずめ謎めいたアンチヒーローだったわね。不機嫌そうで陰気な外見の下に、鋭い感性と頭脳を隠し持つ男」いぶかしげな彼の表情を見て、エリンはまた笑った。「もちろん、そんな感性を持ちあわせていないことは知っているわ。きのう、ずいぶんいじめられたもの」
「なのに、きみは来た。なぜだい?」
「助けてもらったのは確かだから」
「あんな羽目に陥ったのは、きみ自身の浅はかさのせいだ」
「きのうも言われたけれど、そのとおりよ。今思うと、あんな人里離れた場所までひとりで出かけるなんて、無謀だったわ。だけど、結果的によかったと思っているけれど」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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