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日陰の娘と貴公子の秘密

日陰の娘と貴公子の秘密


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 クリスティン・メリル(Christine Merrill)
 夫と二人の息子、多くのペットとともにウィスコンシン州で暮らす。物心ついたころから作家になるのが夢で、度重なる原稿の不採用にもめげずに努力を続け、初めての著作を刊行した。ポップコーンを頬張りながら映画を見るのが好き。

解説

これからずっと、私は日の当たらぬ花。妹のためにそう決めたはずなのに……。

社交界の華ともてはやされる妹と、それを陰ながら支える姉。エイミー・サモナーが妹の引き立て役に甘んじているのには、世に知られざる“サモナー家の秘密”が関係していた。無口で品位漂うとされる妹はそのじつ、知的ハンデを負っているのだ。母が亡くなり、幼い頃からずっと面倒をみてきたエイミーは、みずからの結婚をあきらめ、生涯、陰ながら妹を助ける道を選んだ。あるとき、名士である姉妹の父に近づこうとする野心家のベンが妹に求婚する計画があると聞き、エイミーは警戒心を強める。絵に描いたような美男子の彼は公爵の落胤と聞くが、謎の多い人物だ。ありのままの妹を本気で愛してくれる人としか結婚はさせられないわ!だが、そう心に誓った彼女自身が、よもや彼の虜になろうとは――

■つねに予想もつかない展開を編み出す人気作家C・メリルの作品をお届けします。助けを必要とする最愛の妹のため、みずからの婚期を犠牲にしているエイミー。妹の不埒な求婚者に対する複雑な思いに葛藤しますが、ベンのほうも彼女に惹かれたくない理由が……。

抄録

「物置にいるのはあなただけじゃないし、閉じ込めたわけでもないわ。ドアには鍵がかかっていないはずよ」
 エイミーの背後でドアががたがたと鳴ったが、あきはしなかった。「かかっているようだ」
「嘘でしょう」エイミーは祈るような気持ちでつぶやいた。
「どうして驚く? きみの計画では、ぼくだけを閉じ込めるつもりだったんだろう。そしてぼくはドアを強引に破るしかなくなり、コンサートを台なしにして友人知人の前で赤っ恥をかくはずだった。それもこれも、きみが妹の隣にぼくを座らせないために考えだしたことだ」
「そんなつもりじゃ……」いいえ、ちがう。そうなることは十分予想できていた。彼が鼻持ちならないうぬぼれ屋だとしても、みんなの前で恥をかかせようとしたのはやりすぎだった。だからばちが当たったのかもしれない。「ごめんなさい」エイミーはとうとう言った。「あやまってもこの状況がよくなるわけじゃないけど」
 ミスター・ラヴェルはため息をついた。「そのとおりだ。二人で助けを呼ぶべきだろうな。音楽室で声を張り上げているカナリアに負けないほどの大声を出せば、誰かがやってきてドアをあけてくれるかもしれない。とんでもないスキャンダルが巻き起こるだろうな。だがまあ、背に腹は代えられない」
「お願い、やめて」エイミーは彼の口を手でふさいだ。そんなことになるくらいなら、彼とベルをしゃべらせたほうがよっぽどましだった。どうしてこんな危険なまねをしてしまったのだろう?
 ミスター・ラヴェルは絶好の機会を逃さなかった。エイミーの指を噛んだのだ。白いキッドの手袋ごしに伝わってくる彼の歯の圧力は、痛みではなく電撃が走るほどの快感をもたらした。
 エイミーは急いで手を引っ込めた。「やめなさい」
「あれはだめだの、これをするなだの」彼は舌打ちした。「ぼくがアラベラと話すのを邪魔したかったんだろう? たしかに姉のほうとかくれんぼをさせられたら、そんな暇はなくなるな」エイミーは闇の中に浮かぶあざけるような笑みを想像した。
「自分まで恥をかくつもりはなかったわ」
「そうかな? 結婚に持ち込みたいなら、こんなふうに疑われてもしょうがない状況に男を追い込むのがいちばん手っ取り早い」
「わたしには結婚願望なんてまったくないし、あなたとなんてなおさら勘弁してほしいわ」
「勘弁してほしいのはこっちだ」彼の声はかすれていた。大きな手がエイミーの腕をさするように撫でおろし、長い手袋が手首までずり落ちた。ミスター・ラヴェルはそのまま指先から手袋を引き抜き、エイミーの手を裸にした。
「なにをしているの?」エイミーもかすれ声で言ったが、彼がなにをしているのか本当はわかっていたし、いやだとも思っていなかった。
「ゲームの代償をいただいている」ミスター・ラヴェルはエイミーの手を自分の唇の前に持ち上げた。「きみは子供っぽいいたずらを仕掛けて喜んでいるのかもしれないな、アメリア。あいにくぼくは穴蔵に放り込まれてきみの狙いどおりの笑いものになるような尻の青い‘がき’じゃない。大人の男にゲームを仕掛けるなら、負けたときのことも覚悟しておくんだな」
 彼の言うとおりだった。ここまで怒らせたのはやりすぎだったのだ。突然、彼の体の大きさと、筋肉の硬さが痛いほど意識された。恐怖に打ち震えてもいいはずのエイミーは、次はなにが起きるのかを息をのんで待ちかまえた。
 彼の唇が手のひらに押しつけられ、舌の先端が手のしわに触れた。エイミーは昔、友達と一緒にロマに手相を見てもらったことがあった。未来が見えるという老婆は、エイミーの手のひらのまっすぐな長い線を見て、とこしえの愛にめぐり合う運命が待っていると言った。
 ミスター・ラヴェルの舌はその線をなぞりはじめた。唇が皮膚にこすれる感触がくすぐったい。白い歯が親指のつけ根のふくらみを甘噛みした。ロマの老婆はヴィーナスの丘とも呼ばれるそのふくらみについてみだらなことをほのめかし、エイミーはその意味を完全には汲み取れなかったが、友達と一緒にけらけら笑い合ったものだった。
 今、あのときの言葉の意味が腑に落ちた。愛と性をつかさどる女神の名がついた肉のふくらみに彼の白い歯が食い込むと、エイミーは甘い声を漏らさないように唇を噛みしめた。
 手を引き抜いて、冷たい言葉を投げつけてやるべきなのに、そうしようという気力が湧いてこないのがショックだった。こんなことをしていちゃだめ。楽しんではいけない。
 ミスター・ラヴェルはエイミーがあらがわないのをいいことに、さらに大胆になった。エイミーが飛び上がるほどの強さで歯を食い込ませたあと、親指と人差し指の間の薄い皮膚に唇をこすりつけた。
 エイミーははっとあえぎ、手を引き抜いた。「どういうつもり?」
「きみも同じことを考えていると思ったが」彼の声は憎らしいほど落ち着いていた。「どうせ物置に閉じ込められてしまったんだから、少しでも快適な過ごし方を探したほうがいいだろう」
「わたしも楽しんでいるとでも思った? うぬぼれないで」だが吐息混じりの声は、それが嘘だと伝えていた。
「やり方が悪かったようだな」ミスター・ラヴェルの手がドアの取っ手から離れ、エイミーのヒップを包み込んだ。「このほうがいいかな?」
 そのとおりだった。だが認めるわけにはいかない。


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