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家政婦はシンデレラ

家政婦はシンデレラ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 スーザン・スティーヴンス(Susan Stephens)
 プロのオペラ歌手として活躍していた経歴を持つ。夫とは、出会って五日後には婚約をし、三カ月後には結婚したという。現在はチェシャー州で、三人の子供とたくさんの動物たちに囲まれて暮らしている。昔からロマンス小説を読むのが大好きだった彼女は、自分の人生を“果てしない、ロマンティックな冒険”と称している。

解説

これは結婚という名の取り引き。彼の子を産めば、私の役目は終わる。

スペインの離島で、家政婦として働いていた孤児のロージーは、雇い主の遺言で島の半分の所有権を相続することになり、驚愕する。だがその遺言に彼女以上に驚き、不満をあらわにしたのは、島のもう半分を継いだ雇い主の甥で世界的なホテル王、ドン・シャヴィエル・デル・リオだった。しかも2年以内に後継ぎをもうけるという条件まで課された彼は、強引にリゾート開発を進めようとして、ロージーと激しく対立した。大好きなこの島と人々を守りたい──悩んだ末、ロージーは決めた。自らを犠牲にして差しだすのだ。彼の後継ぎを産む花嫁として。

■思いがけず相続することになったスペインの離島を巡り、世界的ホテル王シャヴィエルと運命的に出会い、花嫁となる家政婦のロージー。ヒロインを思わず応援したくなるシンデレラ・ロマンスです。

抄録

「これがわたしの答えよ!」
 怒りを爆発させたロージーもまた魅力的だった。だがシャヴィエルは冷静だった。「すべてのものに値段がある」
「まだわからないのね?」ロージーは怒りに声を荒らげた。「どれだけお金を積まれても、島の権利を手放す気はないわ。なんでもかんでもお金で解決できると思ったら大間違いよ。さっきビーチで話をして、理解しあえたと思ったのに。でも、あなたにとってはすべてがお金なんでしょうね。島のことなんてどうでもいいんだわ」
「口で言うのは簡単だが、仕事がなければ島民は路頭に迷う」
「仕事なんていくらでもあるわ」ロージーは反論した。
「農業か?」
「農業の何が悪いの? ゴルフと食糧だったら、食糧のほうが大事でしょう?」
「農業で生活していこうなんて絵空事だ」シャヴィエルは肩をすくめた。
「あなたが業界と顔をつないでくれさえすれば、この島だって、あとは自力でやっていける」ロージーはもう自分でも歯止めがきかなかった。「買収なんてさせるものですか!」
「いや。僕にはそれができる」シャヴィエルは自信たっぷりに言った。
 ロージーは信じられないとばかりに叫んだ。「わたしがお金で動くと思っているの?」
「僕はビジネスマンだ。欲しいものは金で買う」シャヴィエルも負けじと言い返した。
「あなたがビジネスマンをやっていられるのもおばさまのおかげよ。おばさまがいたから一人前になれたんだわ。今のあなたを見て、ドーニャ・アンナが喜ぶと思う?」
「ああ、思うね」シャヴィエルは落ち着いた声で言ったが、心のなかでは、跡取りを残せという理不尽な要求のことが気にかかっていた。いったいおばはどうして、遺言にあのような文言を入れたのだろう?
 彼の落ち着き払った態度を見て、ロージーが怒りを爆発させた。まるでダムが決壊し、これまで抑えてきた激情がいっきにあふれでたようだった。
「わたしはそうは思わない。ドーニャ・アンナは期待を裏切られたんじゃないかしら。だからわたしのことを遺言に書き添えたのよ」
 シャヴィエルは、長年にわたっておばに仕送りをしてきたことや、その仕送りをおばが自身のためには使わず、島民に分け与えていたことを説明してもよかった。だが、ロージーとこれ以上言い争うのはうんざりだった。
 お互いが感情的になるなか、ロージーが踵を返して歩き去ろうとした。シャヴィエルはロージーをつかみ、引き戻した。そして手で顔を包みこむようにしてキスをした。ロージーが怒ったように喉を鳴らす。これほど女性にキスをしたいと思ったのは初めてだった。すぐにロージーのほうも、本能のおもむくままにシャヴィエルを抱き締めていた。
 ロージーが欲しい。もうそれしか考えられなかった。今、この場で愛しあいたい。理性はかき消え、シャヴィエルはただただ感情に身を任せていた。両手でロージーの腰をつかみ、情熱の証を押しつける。ロージーは頭をのけぞらせ、うめき声をあげた。
 ありがたいことに、シャヴィエルの頭のなかで警鐘が鳴った。自制しなければ。
 シャヴィエルが手を放したとき、ロージーは頬を赤く染めていた。自分のしたことが信じられないというように、手の甲で腫れあがった唇をぬぐう。「こんなことをしたって、わたしの答えは変わらないわ」
 シャヴィエルは思わず笑った。
「何がおかしいの?」ロージーはむきになって言った。
「何もおかしくはない」シャヴィエルはロージーのしたたかさにすっかり感心していた。
「もう行くわ」
「島から出ていってくれるのか?」
「冗談はやめて」
 シャヴィエルはドアに先まわりした。ドア枠に手をつき、行く手を阻む。「契約書は、会社から送り直してもらう。次はサインしてくれるかな?」
「わたしの話をまったく聞いていないのね」ロージーがシャヴィエルをにらんで歯ぎしりをした。「あんなひどい契約書にサインなんかするものですか」
 シャヴィエルは一瞬、またしてもロージーにキスをしたい衝動に駆られたが、すぐにわれに返った。セニョリータ・クリフトンも、そろそろ現実を直視したほうがいいだろう。「きみの役目は終わったんだ」シャヴィエルはさらりと言った。「生きていくためには金がいるし、その金はどこかから調達しなくてはいけない」
「あなたからもらう必要はないわ。それとも、わたしには稼ぐことができないとでも?」
 シャヴィエルがドア枠から手を離すと、ロージーは服をなでつけ、部屋を出ていった。
 シャヴィエルは壁にもたれかかり、目を閉じた。癪にさわる女性だが、おばが彼女を気に入ったのもうなずける。気に入ったどころではない、実の子のように愛していたのだろう。そうでなければ、こんな莫大な遺産を遺すはずがない。
 ロージー・クリフトンは恵まれない環境で生きてきたから、なんのためらいもなく、シャヴィエルに立ち向かうことができるのだろう。世間知らずではあるが、勇敢でたくましい。もしかするとおばは、ロージーのなかに、若き日の自分の姿を見たのかもしれない。


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