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シチリアでもう一度【ハーレクイン文庫版】

シチリアでもう一度【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★1
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著者プロフィール

 サラ・モーガン(Sarah Morgan)
 イギリスのウィルトシャー州生まれ。看護師としての訓練を受けたのち、医療関連のさまざまな仕事に携わり、その経験をもとにしてロマンス小説を書き始めた。すてきなビジネスマンと結婚し、小さな男の子が二人いる。子育てに追われながらも暇を見つけては執筆活動にいそしんでいる。アウトドアライフを愛し、とりわけスキーと散歩が大のお気に入り。

解説

空港で、ローレルは癒えない心の傷を抱えたまま立ち尽くした。滑走路に乗りつけた車から降りてくる、長身の男性に目をこらす。クリスチアーノ。見るだけで胸が締めつけられる夫の姿がある。子どもを流産したとき、夫は連絡さえくれなかった。大会社を背負っているとはいえ、初めての子どもだったのに――冷たいクリスチアーノに耐えきれず、ローレルは家を出たのだ。いま、2年の別居の末に、離婚をするため戻ってきたローレルを、彼は何事もなかったかのように見つめ、掠れた声で囁いた。「今晩は君のホテルに泊まる」
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「お金なんかどうでもいい。わかってるでしょう」
「いいや、わからない、きみが何も話さないから。きみとの関係はまるで大きな謎解きゲームだ」クリスチアーノの声に疲れがにじんだ。怒ったり皮肉を言ったりする姿は見慣れているが、疲れた彼を見るのは初めてだ。誰よりもエネルギッシュで疲れを知らない人だと思っていた、ローレルの心が揺れた。
「もっとそばにいてくれたら、そんな謎解きなど必要なかったのに」あの悲劇の日――彼がいなかった日――わたしの心はむき出しだったのに。けれどもそれを目にしたのは病院のスタッフだけだった。有能だが元気いっぱいのスタッフたちには、あの日の孤独感は理解してもらえなかった。「明日ロンドンへ帰るわ。大事な妹の結婚式に、もとの妻なんかに出席してもらいたくないでしょう」
「妻だ」低く、だがきっぱりとクリスチアーノが答えた。「もとの妻なんかじゃない」
「すぐにそうなるわ」彼のほうを見ずに、偶然体に触れることもないように、ローレルは身を硬くした。
「呼吸が楽になってきたようだな」
「だからもうパーティに戻ってちょうだい」
 クリスチアーノは警告するような視線をローレルに向けた。「リビングのソファで寝るよ。寝室のドアは開けておいて、何かあったら呼んでくれ」
 ローレルは胸がつまった。「そんな心配は無用よ。さっさと行って、あなたの返事を待っている何千ものメールに答えてらっしゃい」今になってそんなに優しくしないで。もう手遅れなのに。
「じゃあ、ぼくのずうずうしさを許してくれるんだな?」
 ええ。そうでもしないとまた心が乱れてしまう。
 どちらでもいいわと言うように、ローレルは肩をすくめた。「どうしても番犬役をしないと気がすまないと言うのなら、わたしがソファに寝るわ」
「なぜ? ぼくはどこででも寝られる」
 確かに、熾烈な交渉の最中など、オフィスで寝泊まりすることが何度かあった。「そこまで言うなら好きにすればいいわ」
 ベッド脇の明かりを消そうと伸ばしたクリスチアーノの腕をローレルが押さえた。「つけておいて」
 ありきたりだが、暗闇が怖いのだ。一人のときはいつも明かりをつけたまま眠る。クリスチアーノといっしょだったときだけ、暗くても安心して眠れた。
 クリスチアーノが眉をひそめた。その目は彼女の胸のうちをまっすぐ見通すようだ。「しばらくここにいるよ。医者が必要ないと確信できるまで」そう言うと彼は靴を脱ぎ、ローレルと並んでベッドに腰を落ち着けた。なぜこんなことをするのだろう、結婚生活をやり直すにはあまりにも手遅れなのに。
 すぐそばでも触れ合うことなく、二人は黙っていた。呼吸が楽になり、パニック状態が治まるにつれて、彼を意識する気持ちが高まってくる。たくましく長い脚、深く穏やかな息づかい。ローレルの夢とともに消えたはずの、何とも表現できない危うい空気が再び息を吹き返す。
 ローレルはゆっくりと首を巡らし、クリスチアーノを見た。クリスチアーノもその目を見つめ返した。
 二人とも目をそらさなかった。甘く切なく見つめ合う中で、欲望がローレルの全身を貫いた。
 クリスチアーノの指がローレルの顎をそっとなぞった。下唇に触れる親指の感触が優しい。ゆっくりと、ためらいがちに顔を近づけ、わずかに唇を触れ合わせる。どうかしている、身を引かなければと思いながら、ローレルは動けなかった。体の奥で期待がはじける。ためらっていた彼の唇はやがて、抑制がとれたように彼女の唇をむさぼった。ローレルの頭から理性がすべて吹き飛んだ。巻き込まれまいとしても、彼のキスは激しく、二人は始まりも終わりもわからないまま一つに溶け合った。クリスチアーノの舌がローレルの唇を割り、手が彼女の髪をつかみ、二人は獣のように激しく互いをむさぼり合った。
 やがて、クリスチアーノはわれに返ったようにうめいて唇を離した。端整な顔に後悔の色が色濃く浮かんでいる。「だめだ」
「だめよ」クリスチアーノの心も揺れていると知ったところで、ローレルには何の慰めにもならなかった。こんなことを望んでいたのではない。この人を取り戻す気など、和解する気などなかったのに。
 この人との未来などありえないのに、ローレルの中ですべてが揺れ動いている。自分で自分を呪いながら、心のどこかで、彼が誘惑に負けてくれたことを喜ぶ正反対の自分もいる。二人の再会が彼にとって厳しいものになることを望んではいたが、こんなことをしてしまった今、ローレル自身にとってもはるかに厳しい状況になってしまった。
 頭の中で相反する思いがせめぎ合っている。彼にわたしを求めてもらいたくない。わたしも彼を求めたくない。状況がますます悪化するだけだ。
 クリスチアーノは勢いよくベッドから跳ね起きた。「わかった、ぼくはソファで寝る。夜中でも医者が必要になったら呼んでくれ」顔をそむけたまま手短に言うと、クリスチアーノは寝室を出ていった――脈打つ体と傷ついた心を抱えるローレルを残して。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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