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ナポリから来た恋人【ハーレクイン文庫版】

ナポリから来た恋人【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リン・グレアム(Lynne Graham)
 北アイルランド出身。七月三十日生まれの獅子座。十代のころからロマンス小説の熱心な読者で、初めて自分でロマンス小説を書いたのは十五歳のとき。大学で法律を学ぶと同時に、十四歳のときからの恋人と卒業後に結婚。この結婚生活は一度破綻したが、数年後、同じ男性と恋に落ちて再婚するという経歴の持ち主。イギリス郊外に家と五エーカーの森林を持ち、そこで現在、スリランカとグアテマラからの養子を含めた五人の子供を育てている。時間のあるときは大好きな庭仕事に励み、得意のイタリア料理に腕をふるう。小説を書くときのアイデアは、自分自身の想像力とこれまでの経験から得ることがほとんどで、彼女自身、今でも自家用機に乗った億万長者にさらわれることを夢見ていると話す。ロマンス映画も大好きだが、ハッピーエンドでないものは好きではないという。

解説

傲慢だという噂の新社長には、まだ会いもしないうちに、身なりが悪いと断じられ、ピッパは昇進を見送られてしまう。あまりの理不尽さに打ちのめされるが、気を取り直して、その夜のパーティには、美しく装って出席することに。そこで、すばらしくハンサムなイタリア男性が話しかけてきた。今まで仕事一筋だったピッパは、一目で惹かれる自分に戸惑うが、彼に乞われると、なぜか流されるように一夜を共にしてしまう。だが翌日、出社した彼女は社員総会に出て愕然とする。あろうことか昨夜の男性――アンドレオが社長だったのだ。
*本書は、ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 アンドレオはピッパを見すえ、挑戦的な視線を放った。「それはきみの心次第だよ」
 ピッパは頬を染め、恥ずかしさのあまり、できるものなら舌を噛み切りたいと思った。むろん、わたしの決心次第に決まっている。男性の期待には必ず応えなくてはならないという考えを植えつけられて女性が育った時代は、半世紀も前のことだ。ピッパは都会のすばらしい夜景を見渡せる窓まで行ったが、さっきの自分の言葉がアンドレオの耳にどれだけ愚かしく聞こえたか、そのことしか頭になかった。男性とホテルのスイートルームに行ったことのない臆病な処女みたいな言いぐさだ。ピッパの顔から血の気が引いた。
 ヒラリーの手で外見こそ洗練された女性になったとはいえ、残念ながら、内側は相も変わらぬピッパ・スティーブンソンなのだ。女子校に通い、夜と週末は補習や勉強に追われ、パーティやデートとは無縁だった。男の子たちから異星人のように敬遠され、男の子の前では何を言い、どんな態度をとればいいかもわからなかった。十七歳のときに夢中になった若者からは屈辱を受け、その日を境に、傷ついたプライドだけを心のよりどころにして生きてきたのだ。
 時がたっても傷は癒えるどころか、一度噛まれると以前にもまして恐怖心がわく、という格言どおりになった。あれ以来、異性のいない世界に住んでいるようなものだ。二度とあんな屈辱や苦痛は味わいたくない。ほぼ六年間、自由な時間はすべて父親の世話に費やさざるをえなかったことに、ピッパは大して反発もしなかった。孝行娘でいるほうが楽だったからだ。おまえみたいな“ばかでかい女”は男から鼻も引っかけられないという父親の口癖を鵜のみにするほうが。十二歳のときに急に伸びだし、とびきり背が高くなってからというもの、自分の背丈が恨めしく、美しかった母親のように小柄で優雅な女性になりたいと願い続けた。
 けれども今、生まれて初めてピッパは苦い思い出を振り払い、アンドレオの賞賛を浴びているという現実を改めて思った。彼のほうを盗み見て、くすぶるような瞳とぶつかり、口の中が乾いていく。なんてハンサムなのだろう。
 アンドレオが見守る中、ピッパは彫像のように身じろぎもしなかった。羽根のようなまつげが白く整った頬にかかり、信じられないほど傷つきやすく見える。彼女が考え直しているのは明らかだ、と彼は思った。思いを寄せる男がいるのだろうか? 心をささげた誰かが? なんであれ、彼女を失うよりは自制するほうがいい、と彼は判断した。「家まで送るほうがいいのかな」抑揚のない声で言う。
 ピッパの体がこわばった。突然の申し出に緊張がつのる。家に帰る? 確かにそれがいちばん賢い。賢いピッパ。いつもそうだった。あげくの果て、どうなった? |仕事依存症《ワーカホリツク》になり、男性は目もくれなくなった。今の今まで、こんな気持ちにさせてくれる男性は現れなかった。
「ほかに誰かいるのかい?」アンドレオは緊張した声で尋ねた。
「いいえ……」ピッパは落ち着こうとゆっくり息を吸いこんだ。「あなたは?」
「いないよ」この前ベッドを共にしたブロンド美人は今、メキシコでモデルの仕事をしている。次の相手が目の前にいるのがわかった瞬間、彼女は過去の人となった。それをわざわざ打ち明ける必要はない。
 しばしの沈黙のあと、アンドレオが口を開いた。
「きみほど欲しくてたまらなくなった女性はいなかったよ、|ぼくのかわいい人《ベラ・ミーア》」
「ここにいたいわ……」ピッパは急いでささやいた。自分の強い欲望に驚く一方、未知の世界に足を踏み入れるのが怖かった。体はひとりでに反応している。ドレスの生地が胸の硬いつぼみにこすれ、下腹部はうずいて、じっとしているのが苦痛だった。
「後悔はさせないよ」アンドレオは満足げにほほ笑んだ。
 ピッパの心臓は激しく打ち、めまいさえしてきた。アンドレオはとても美しい。彼に見られると、自分も美しく思えてくる。彼女は頼りない足で部屋を横切った。震えながらも、これが仕事だというように、自分に責任を持てる女性の行動だというように、彼のシルクのネクタイに堂々と手を伸ばした。
 だが、不器用な手をあざ笑うかのごとく、ネクタイはなかなかほどけない。はさみが欲しくてわめきそうになったとき、引き締まった指が伸びてきて、ネクタイを簡単にほどいた。
 アンドレオはネクタイを脇にほうり、ピッパを抱き寄せた。人形さながらに力の抜けた彼女は、硬く厚い胸板に押しつぶされた。つややかな髪を男らしい手がつかんで顔を上向かせる。ピッパは身を震わせながら背筋を伸ばした。狂おしいほどに期待が高まる。
 アンドレオの唇が素早くピッパの唇を奪うと、彼女の喉から吐息がもれた。キスが深まるにつれ、ピッパはあえぎ、彼にしがみついた。その機をとらえてアンドレオは彼女の体を両腕ですくいあげた。
「重くない?」ピッパは腫れてうずく唇の間から声を絞りだした。もはや危険な魔法にかかったも同然だった。この人こそ、わたしの“運命の男性”だ。こんな男性をわたしはずっと待ち望んでいた。わたしが熱烈な恋に落ちる男性。彼もそうなってほしい。たとえ熱烈とまではいかなくても。彼女は急いで思い直した。いえ、少しだけ、わたしと恋に落ちてくれたらそれでいい、と。期待しすぎた罰として何もかもが無に帰すのが怖くなったのだ。
「人形のように軽いよ、|ぼくのいとしい人《カーラ・ミーア》……ぼくは力持ちだが」アンドレオはからかい、現代的な意匠の寝室に大股で入っていき、彼女を立たせた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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