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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

天使を抱いた氷の富豪

天使を抱いた氷の富豪


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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解説

富豪の彼としがない店員の私――身分違いの恋は友達にも秘密だった。

「どうして僕に息子がいることを教えてくれなかったんだ?」怒りに燃えるジェイクを前に、ケイトは途方に暮れていた。2年前、ケイトは名家の御曹司である彼と切なくも激しい恋に落ちた。将来の約束をしないというただ一点を除いては、彼は理想の恋人だった。だが、妊娠に気づいてすぐにジェイクの祖父から悪質な脅しを受け、町を追い出されたケイトは独りで赤ん坊を産み育てていたのだった。ジェイクは訳あって町へ戻ってきたケイトに、自分にも息子と同居する権利があるはずだと主張する。今まで子どもの存在を隠していた償いとして、ケイトは彼を受け入れた。二度とこの人を愛したりしないと、固く心に誓いながら。

■北米の人気作家D・ウェイドの記念すべき日本デビュー作をお届けします!ジェイクがケイトを“日陰の女”扱いしていたのは、実は彼女への愛ゆえでした。引き裂かれた恋、命の芽吹き、運命の再会――ドラマチックで情熱的な、至福のシンデレラストーリー。

抄録

「やあ、美人さん」
 歩道を歩いていたケイト・ガトリンの横で薬局のドアベルが鳴り、直後にそう声をかけられた。その声は彼女の神経を刺激した。いまも耳に残る低い声。同じ呼び方。ただ、彼女を呼び止めたその声には、驚きの響きがまじっていた。
 ケイトはゆっくりと横を向き、あと数カ月は会いたくなかった男性と真正面から向きあった。会わずにいたいという期待は、やはり虫がよすぎたようだ。なにしろ、ケイトは彼の家族が暮らす町へ舞い戻ってきたのだから。彼自身も、家族のもとを訪れるために、よくこの町へやってくる。
「ジェイコブ・ブラックストーン」ケイトは頭の中で懸命に、親しげでさりげない言葉を探した。そういうやりとりは得意なはずだ。おかげで、バーテンダーとしてかなりのチップを稼いでいる。「ここで何をしてるの?」
 ばかみたい。もちろん、彼にはここにいるもっともな理由がある。寝たきりの母親リリーを見舞うためだ。それに、いまや彼の祖父は亡くなって、兄のエイデンが故郷へ戻り、一族の屋敷に腰を据えているのだから。
「ええと、つまり、町のこっち側に何かご用?」元恋人の家族が暮らす邸宅、ブラックストーン邸はブラックヒルズの町の反対側にある。
 ジェイコブは小さな買い物袋を掲げてみせた。「包帯を買ったんだ。いま、仕事帰りでね」
「どこか怪我でも……ちょっと待って。仕事帰りって言った?」ケイトは背の高い男性を見あげた。
「ああ、こちらへ戻って、うちの紡績工場で働いているんだ」彼は琥珀色の瞳でまっすぐに彼女を見すえて言った。「きみも故郷へ戻ったばかりのようだね。ぼくがフィラデルフィアからこちらへ移ってきたことを知らなかったのかい?」
「知らなかったわ。わたしは、今週帰ったばかりなの」ケイトのみぞおちの辺りが重くなった。どうしてママやお祖母ちゃんは教えてくれなかったんだろう? けれど、答えは明らかだった。家族はケイトを故郷へ帰らせたかったのだ。ジェイコブがブラックヒルズの住人になったと聞いたら、ケイトは戻らなかったかもしれない。
 ケイトとジェイコブの出会いは、ブラックヒルズへ向かう飛行機の中だった。ケイトはシアトルの叔母を訪ねた帰りで、フィラデルフィアで飛行機を乗り継いだ。一方、ジェイコブは母親を見舞うために、フィラデルフィアから故郷へ向かっていた。その後、ふたりはジェイコブが故郷へ戻るたびに会うようになった。けれども、ケイトは彼の祖父の脅しによって現実を思い知らされ、やむなくシアトルの叔母のもとへ身を寄せたのだ。
 その後、ジェイコブの祖父、ジェームズ・ブラックストーンは亡くなった。ケイトの祖母と母親を路頭に迷わせてやるという老人の脅しは、もう効力を持たないだろう。そう思って、ケイトは家族のところへ戻ってきた。いずれジェイコブと話をしなければならないことはわかっている。けれど、それにはもう少し、覚悟を固める時間がほしかった。
「工場の経営を手伝うために、ブラックヒルズへ戻ってきたんだ。兄のエイデンはこことニューヨークを行ったり来たりの生活だからね。いま工場でいろいろと問題が起きているので、誰かがこちらに常駐していないと」
「ええ、噂は聞いたわ。工場で、おかしなことが起きているって」ケイトはつぶやいた。常駐ですって? きっと神さまの罰に違いないわ。わたしがジェイコブに隠し事をしているから。
 隠し事といえば……。ケイトはこっそりジェイコブの背後に目を向けた。母親と祖母が、そろそろ向こうの雑貨屋から出てくるはずだ。元恋人に打ちあけるべきことはあるけれど、人目のある薬局前の路上で、込み入った話を始めたくない。
 ケイトが人前で騒ぎを引き起こしたら、ジェイコブはきっと激怒するだろう。恋人だった一年足らずのあいだ、彼はケイトをブラックヒルズのどこへも連れていかなかった。彼の家族に紹介されたことはなく、外でデートしたこともない。ふたりのつきあいは、彼が故郷を訪れる折に、ケイトの家で食事をしたり、愛しあったりするだけだった。ジェイコブの暮らしや、会社経営者としての側面を知りたくて、ケイトは一度だけフィラデルフィアの彼のアパートメントを訪れたことがある。でも結局、ふたりはまったく部屋の外へ出なかった。ケイトが以前から追い求めていたのは本物の愛だ。その一方で、ジェイコブが永続的な関係を求めていないことは、彼の行動を見れば明らかだった。けれど、彼女は恋人を失うことが怖くて、何も言えなかった。責任感のあるまじめな男性は、ケイトを振り返ったりしない。なにしろ、彼女はバーで働いているのだ。とはいえ、彼女が姿を消すまで、ジェイコブはやさしくて、思いやりがあって、ハンサムでセクシーな理想の恋人だった。将来の約束をしないという、ただ一点を除いては。
「誰かと待ちあわせかい?」ジェイコブは尋ね、胸の前で腕を組んだ。
 ああ、そのポーズもよく覚えてるわ。彼は不満を感じているときや、疑念があるとき、よくこうやって腕を組んだ。彼の体が発する支配者のようなオーラが、ケイトを圧倒した。


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