マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ 別冊

ボスに気をつけて

ボスに気をつけて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

ひそかに憧れていた男性の婚約パーティーに出席することはソフィーにとって、まさに拷問だった。だからクールな上司ガイに会場から連れ出されたときもソフィーは逆らわず、家まで送ってもらった。これまでガイがソフィーに興味を示すことはなかったが、今日はいつもの彼とは違う。成り行きとはいえ、秘書であるソフィーの寝室にまで入りこみ、迫ってきたのだ――こんなときは、慰め合うべきだと言って。ソフィーは催眠術にかかったようにうっとりとして目を閉じ、彼のキスに応えてしまい……。

■〈強引なあなた〉と銘打ちお贈りする企画第2弾は、2000年に世界中のファンや作家仲間に惜しまれつつこの世を去った偉大なロマンス小説家シャーロット・ラムの作品です。日本で刊行された作品は100冊以上を超え、今も読み継がれています。

抄録

「まあ、恋していらしたんですか? ごめんなさい、まったく知らなくて……」
「それを聞いて安心した。ぼくは、人に感情を見せるのが嫌いだから」
「わたしもです。誰かに自分の気持を知られていると思うとたまらなくて。だからこそ、その話はしたくないんです」
「わかるよ。ぼくたちには似たところがある。人に自分の感情を隠そうとするのもその一つだ。だが、ぼくたち二人は助け合えるんじゃないかな?」
「助け合える? どういうふうに?」
「話をするんだよ。まず……」
「あの二人の話を? いいえ、だめです。話してもしようがないんですもの。わたしは、彼のことを全部忘れたいんです。ギブみたいな人に夢中になったのが間違いでした。早く忘れるに越したことはありません。だから、何もきかないでください」ソフィーはガイを見上げ、大声で笑い出した。「わかったわ。ギブの話をお聞きになりたいんじゃないのね? 彼女の話をなさりたいんだわ。でも、わたしはお断りよ。彼女の名前さえ聞きたくないわ。二度と……二度と聞きたくないわ!」
「どうした? ヒステリックになってはだめだ」ガイはソフィーの肩をつかんで揺さぶった。「とにかく座るほうがいい。震えてるじゃないか」
 ソフィーは笑うのをやめた。彼の言うとおり、震えて歯がかたかた鳴っている。寒さのせいか、車にはねられたショックのせいかはわからない。たぶんいつ終わるともしれない一日が、過酷な緊張を強いるせいだろう。
 もはや涙を抑える気力もなくなり、ソフィーは顔を伏せてすすり泣いた。「一人にしてください。わたし、もう……耐えられない……」
 ガイはソフィーの体に腕を回し、軽々と抱き上げて寝室に入った。それからベッドに下ろし、自分も隣に腰を下ろした。だが、腕はまだソフィーを抱き寄せている。ソフィーは喉を詰まらせ、彼の胸に顔を埋めて涙にむせんだ。
 ガイの手がやさしく髪をなで下ろす。泣きたいだけ泣いたからか、やがて涙は収まった。いつの間にか彼はシニヨンをとめていた髪飾りを外したらしく、長い指で背中に流れる髪をすいている。その指は甘く温かく、ソフィーは催眠術にかかったようにうっとりして目を閉じた。何も考えず、こうして官能の喜びに浸っていたい。
 ガイの手は肩にすべり下り、ソフィーはさっき打ったところを触れられるのではないかとひるんだ。だが、指先で痛みを感知できるのか、彼は巧みに傷を避けている。
「病院へ行かないのなら、肩を見せてごらん。本当に心配ないかどうか見ておきたい」ガイは手を伸ばして枕もとのスタンドをつけた。
「その必要はありません。大丈夫です」
 ところが、ガイはすでにドレスのファスナーを下げ、肩をあらわにしようとしている。ソフィーが体をひねってドレスを引き上げようとすると、ガイは素早く彼女の手首をつかんだ。
「すぐすむよ。自分の目で確かめないと安心できないんだ。ちょっとの間じっとしててくれ」
 ソフィーはふくれっ面をしながらもじっと横たわり、ガイは眉根を寄せて肩を見つめた。
「これは、ひどいあざになるな。医者に診てもらうほうがいい。だが、幸いひどいけがではないようだ。きみが何も隠していないのなら、だが」彼の濃いブルーの目は、ソフィーの心の中まで見通しそうなほど鋭い。「何も隠してないかい?」
「もちろんです」ソフィーは肩を出していることが不安になってきた。「もうファスナーを上げていいでしょう? 失礼ですが、お帰りになってください。わたし、やすみたいんです」
 ガイの手があごを支え、いやおうなしに顔を上げさせた。少しずつ彼の顔が近づいてくる。キスされるに違いない。彼を押しのけなければいけないのに唇は独りでに開き、体の奥から抑えようのない熱いものがわき上がる。人のぬくもりがほしい。愛撫され、抱かれて、もう一度人間らしい喜びを味わいたい。今日は本当に苦しい一日だった。この苦痛を和らげてもらえたら、どれほどうれしいか……。
 ソフィーが目を閉じたままガイの頭に手をかけたとき、彼が唇を寄せたままささやいた。
「きみに必要なのは眠りじゃない。これなんだ。火は火をもって制すというだろう? 二人で何もかも焼きつくせばいい。だから、ぼくに手を貸してくれ。忘れたいんだ。ぼくもきみに手を貸すから……」
 どこかおかしい理屈だが、ガイが言うように、今は燃えてすべてを忘れたかった。いつもならここで彼をはねつけていただろう。しかし、すっかり落ち込んでいたソフィーには、考える余裕はなかった。
 ガイはソフィーが抵抗しないと察し、さっきつけたスタンドを消した。暗闇の中で、彼はいっそう激しくソフィーの唇をむさぼった。ソフィーはほっそりした体をガイにすり寄せ、ただ夢中でキスを返した。腕はいつしか彼の首に巻きつき、手は彼の豊かな髪をつかんでいる。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。