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吸血の祭典

吸血の祭典


発行: 出版芸術社
レーベル: ふしぎ文学館
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 高木 彬光(たかぎ あきみつ)
 1920〜1995
 青森市に生まれる。本名誠一。旧制一高から京都帝国大学工学部卒業。中島飛行機に入社、技師となったが終戦で離職。45年易者のすすめで書いた処女作『刺青殺人事件』が江戸川乱歩に認められベストセラー。翌年には『能面殺人事件』で第3回探偵作家クラブ賞を受賞。以後、本格・社会・歴史など幅広く推理小説を発表、流行作家の地位を不動のものとした。しかし79年脳梗塞、動脈障害と、次々に大病にみまわれ、晩年には出版芸術社の『神津恭介三部作』以外に創作活動が見られず、95年9月『最後の神津恭介』構想半ばに永眠されたことは、日本推理小説界のために惜しまれてならない。著者の怪奇・幻想・ホラー小説の類は、膨大な作品群の中で比較的少なく、本書に収録したものではほとんど網羅されており、ほかにはSF作品全集『ハスキル人』がある程度。

解説

 先に亡くなった高木彬光氏には、「宝石」「探偵倶楽部」「講談倶楽部」などの雑誌に、折りにふれて書いた変わった味の短編がある。不思議というか、その種類の作品は大半が文庫本になっていない。
 高木氏は、本格ミステリ(すなわち犯罪における謎の合理的な解決を主体とする推理小説)の作家であったから、怪奇小説的なものとは相容れぬ作風だと思われるのに、こうした興味深い作品を残してくれたのは、読者にとって予期せぬプレゼントではないだろうか。 (鮎川 哲也)


 ルーマニアのトランシルバニア地方に隠れ住み、恐怖の黒ミサを行う邪教集団とは? 現代の吸血鬼の恐怖を描く表題作「吸血の祭典」、ローマの都で権勢を誇ったボルジア家は、毒薬を用いるのを得意としていた……色欲と権力欲にとり憑かれた一族の骨肉相喰む争いを描いた『ボルジア家の毒薬』等、本格ミステリの巨匠が、古今東西の実話に材をとった、異色の怪奇犯罪小説集!
 単行本未収録作品を含む全18篇を一挙に収録、江戸川乱歩が絶賛した歴史推理の傑作『ロンドン塔の判官』を加えた決定版!

目次

ボルジア家の毒薬
白い王女の秘宝
吸血の祭典
王女のミイラ工房
樹海に沈む孤島
スマトラの妖術師
死の谷の恐怖
ラプクンドの白骨
ダンチヒ公の奥方
ホチムの魔王
世界最大の魔術師
王国を手にして死んだ乞食
青銅の顔の女
マタ・ハリ嬢の復活
空飛ぶ円盤
海賊キッドの秘密
断頭吏の末裔
ロンドン塔の判官

著書リスト
初出一覧

抄録

 「おい、じいさん、おれの運命を占ってくれ、料金はウイスキー二杯だ」
 老人はうなずいてトランプを切り出した。
 中風にでもかかっているのか、それともアルコール中毒なのか、手先はぶるぶるふるえているが、カードさばきはあざやかだった。
 何度かカードをくっては並べなおした末、やがてスペードのエースと、四枚のキングを次々に指さし、愕然としたように震えながらも、ズーテルの顔を見つめた。
 「どうした? おれがお尋ね者だとでも出ているのか?」
 老人は首をふって、突然、途方もない大声で叫んだ。
 「あんたは王様みたいな身分になる! さわったものが残らず金になる!」
 酒場中がどっと笑い崩れた。
 「トミイ爺さん。いよいよ頭に来たな」
 「何とまあ、おっそろしく汚い王様もあったもんじゃねえか」
 しかし、当のズーテルは笑わなかった。
 「爺さんそれで?」
 「じゃが。金に注意しなされ。金に手を出すと、あんたは金のために身を亡すぞ。マイダス王の話は知っとるじゃろう」
 再び、酒場は割れかえるような笑声に包まれてしまった
 「ははあ、トミイ爺さんじゃあるめえし、まさか金をみんなアルコールにかえて、飲み過ぎて死んじまうわけもあるめえ」
 「いよう、マイダス様、ちょっとおいらのグラスにさわってくれよ」
 「爺さんの占いも、こうなると、とんでもない代物(しろもの)だな」
 しかし老人はそんな罵声には耳を貸さなかった。
 「わしの占いは当たるんじゃ。わしが七つの海をさまよう運命であることも、わしは自分でいい当てたんじゃ……いいかな、あんたはこれから南へ行って世界一の大金持ちになる。じゃが、最後には、ソロモン王以来、それ以上の富は世界にないというぐらいの金を掌ににぎりながら、乞食になって飢え死にする……」
 「どうしてだ?」
 「そこまではいえん。とにかく、あんたは何万人もの人間を、いや国家をさえ相手にして、一人で戦わなくてはならん。そして、勝ちながら負けるのだ……負けて、死ぬのじゃ……」 (「王国を手にして死んだ乞食」より)


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