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甘美な企み【ハーレクイン・セレクト版】

甘美な企み【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリア・ジェイムズ(Julia James)
 十代のころに初めてミルズ・アンド・ブーンのロマンスを読み、それ以来の大ファン。ロマンスの舞台として理想的な地中海地方、そしてイギリスの田園が大好きで、とくに歴史ある城やコテージに惹かれるという。趣味はウォーキング、ガーデニング、刺繍、お菓子作りなど。現在は家族とイギリスに在住。

解説

ジャニーンは母亡き後、初めて実の父を知った。なんと父はギリシア人のホテル経営者で、大富豪だったのだ。父は現在の妻を傷つけたくないという配慮から、娘がいたことは隠した上でギリシアに呼び寄せてくれたが、“あの若い女は社長の愛人だ”という噂が流れてしまう。そんなある日、ジャニーンはニコスという男性と出会った。彼もギリシア人の実業家で、父の親友だという。ジャニーンはニコスの魅力の虜になり、彼も熱く求愛してくれた。だが彼女は知らなかった――ニコスが実は父の妻の弟で、“姉の夫をたぶらかす女”を罰するために近づいてきたことを。

■ジュリア・ジェイムズはHQロマンスらしいドラマティックなストーリーを得意とする人気作家。自信家で情熱的でセクシーなラテンヒーローと、無垢なヒロインの愛のうねりを描きます。
*本書は、ハーレクイン・ヒストリカルから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 半ばまどろんでいたジャニーンは、足音が聞こえるのを意識するまでしばらくかかった。一瞬後に頭上に影が落ちて、彼女はぱっと目を開いて上を見た。
 男が立って見おろしていた。浅黒くてとても背が高く、ステファノスより一世代若い。ホテルのスタッフだろうか? なんの用かしら?
「|ミズ《キリア》・フェアラムですか?」外国語なまりが感じられる深みのある声だった。ホテルのスタッフではないと直感的にわかった。この人は命令を受けるのではなく発する側の男だ。それに、間違いなくホテルの客でもない。客たちはみんなカジュアルな装いだけれど、男は非の打ちどころのないビジネススーツを着て、役員会議から出てきたばかりというふうに見える。
 男の顔に目を移したとたん、ジャニーンは胸が高鳴るのを感じた。黒いサングラスに覆われた目がしげしげとこちらを見ている。ふいに、自分がほとんど裸であることを強く意識した。一方、男はフォーマルなスーツを着ている。その落差に無防備で頼りない気分になった。
 ジャニーンは本能的に体を起こして下に敷いていたサロンを巻きつけ、足を温かい敷石に下ろした。それでもまだ不利な感じがする。男は依然として頭上に立っていた。顔だちとアクセントで彼はギリシア人に違いないと思うが、ギリシア人にしては背が高い。軽く百八十センチはあるだろう。
 ジャニーンは立ちあがり、しなやかな動作でサロンを結びつけた。男の顔をはっきり見ると同時に、息が止まる感じがした。言葉もなく口が開き、目が丸くなった。これまでに出会った中でもっとも圧倒される男だった。
 彼の疑う余地のない裕福さが、生まれつき男に備わっているものをさらに強調している。すばらしい仕立てのスーツはぴったりと体に合い、絶対に既製品ではない。黒髪は巧みにカットされ、広い額にかすかにかかっている。黒いサングラスは、デザイナーの控えめなロゴが記されていなくてもスーパーマーケットの品ではないとわかる。鼻はまっすぐでがっちりしている。
 口は……彫刻されたようだ。そうとしか言いようがなかった。ジャニーンは男の官能的な下唇からむりに視線をそらし、サングラスの陰の無表情な目を見つめた。
 男にはジャニーンの胸をどきどきさせる何かがあった。突然、まどろみから起こされたためだけではない。あたりの世界が変わり、別世界になったような気がした。
 そして、違う考えが浮かんだ。男に見とれるあまり、その男が自分を知っているらしいことを気に留めていなかったのだ。「あなたは?」ジャニーンは用心深くきき返した。ホテルの人間とステファノス以外にだれが、わたしがここにいることを知っているのだろう?
 彼女は唇をかすかに開いてさらにニコスを見つめた。なんということだ、とニコスは思った。完璧だ。セクシーなブロンドの夢のイメージだ。
 しかし、彼女は安っぽくなく、みだらな感じでもない。振り返って見ずにいられないほど美しい。顔のそれぞれの部分がたがいを引きたてている。ハート形の顔に収まる栗色の目からきゃしゃな鼻、その下のふくよかな口にいたるまで。しみひとつない肌は黄金色に染まっている。淡い金色の糸のような髪は、ターコイズ・ブルーの薄手のサロンからかすかに透けて見えるほっそりしたウエストまで流れ落ちている。
 欲望がわきあがった。急激にほとばしり、しつこく続いた。いっときニコスは圧倒されたが、やがて意識して自制し、欲望を静めた。
 ジャニーンに欲望を抱くのはけっこうなことだ。任務がずっと楽になる。彼女に欲望を抱くのは、この女性を義兄の結婚生活から取りのぞくという目的のためでしかない。目的を達するには、彼女がぼくに対して性的に無防備でなくては。
 ニコスはふたたびジャニーンに目を走らせた。彼女はたしかにぼくを性的に意識している。そのサインはよく心得ている。
 ニコスの視線を浴びて、ジャニーンはほおがじわじわと染まっていくのを感じた。血が熱くなった。自分の体がその男に反応しているのがわかるが、それを止められない。この人には、圧倒されるルックスや豊かさのオーラ以上の何かが、さらに、こういう男が振るうに違いない権力以上の何かが備わっている。注文仕立てのスーツやサングラスで隠された目の陰に生々しい男の性がある。ジャニーンはそれが自分をなめまわし、彼を求めるようしむけているのを感じた。
 そのことに気づいたのはショックだった。いったいどうして、会ったばかりの男にこんなに強く反応できるのかしら? でも現に反応していて、しかも止められない。胸がこわばり、瞳が大きくなり、ほおが染まっている。
 ニコスはそれを見守った。いいことだ、とてもいい。ジャニーンを誘惑するにはなんの問題もないだろうとわかる。
 女性は簡単にニコスに寄ってくる。いつもそうだった。デミトリアに嘆き悲しまれても、二十代のニコスは徹底的に遊んだ。三十代の今はもっと相手を選ぶようになり、自分の世界に入ってこられるような、洗練されてきちんとした女性を好むようになった。自分の求めることを理解し、サインを出せば去っていくような女性を。
 さあ、仕事にかかろう。ニコスはにっこりした。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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