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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ 別冊

あなたに言えたら

あなたに言えたら


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ステファニー・ハワード(Stephanie Howard)
 スコットランド生まれ。ロンドンに出て経済学を学び、数々の女性誌を舞台に、十年間にわたってジャーナリストとして活躍した。仕事でイタリア、マレーシア、中東など、外国生活も多く経験している。現在はケント在住。

解説

ローラにはつらい恋の過去があった。婚約者ファルコとの仲を彼の父親の策略によって裂かれたのだ。多額の慰謝料をローラに渡したように見せかけた父親の嘘――ファルコはそれを見抜けず、誤解したまま彼女と別れてしまった。その後、ローラはお腹に宿ったファルコの娘ベルを育てながら彼を忘れようと仕事に打ち込んできた。だが、別荘の改装を依頼され、イタリアのアルバ島を訪れたとき、ローラの3年間にわたる平穏な日々は終わりを告げた。依頼主がファルコだとわかっていたら、ここへは来なかった。なぜ私をここへ呼び寄せたの?まさかベルのことを知って……。

■〈ロマンス・タイムマシン〉と題してその年の名作をお贈りする企画、1995年の今回は、ペニー・ジョーダン、ベティ・ニールズをも凌ぐ販売部数を誇っていた大人気作家、ステファニー・ハワード。シークレットベビーがテーマの切なくドラマティックな名作です。

抄録

「君に異存はない?」
「おしゃべりに? ええ、かまいませんけれど」胸の鼓動が恐ろしいほど速くなっている。「どんなことを話したいんですか?」
「君のことさ、ローラ・ミスキン。君のすべてを話してほしい――ドアを通り抜けるときに人にぶつかったり、傘も持たずに豪雨の中を歩くはめになるような君の秘密の夢の世界のこともね」
 ローラが当惑して目をそらすと、ファルコが手を伸ばしてそっと彼女の腕に触れたので、驚いて息が止まりそうになった。
「簡単なことから始めればいい。出身とか学校はどこか、兄弟や姉妹は何人か、父の会社に何年くらい勤めているのか……それから明日の夜ディナーに誘ったらオーケーしてくれるか、そんなことさ」
 ローラは緊張が解けて笑い声をあげた。ファルコの快活な態度が移ってしまった。「最初にどの質問に答えればいいのかしら?」
「もちろん、最後の質問だ」
 再びファルコに見つめられると、ローラは強烈な幸福感に包まれた。
「いいわ」そのとき、ローラの運命が決まった。
 こうしてファルコとの恋が始まったのだ。ローラの人生で最初の、そしてただ一つの恋が。雨の中をファルコに車で送ってもらいながら、ローラにはそれが何か特別なことの始まりだとわかっていた。
 二人の愛情は急速に深まっていったが、それもごく自然に感じられた。最初から他人のような気がしなかった。何かぴたりとくるものがあった。
 本能的にお互いをわかり合うことができた。こうなる運命だったのだと、ローラは夢心地で思ったものだ。
 それまで誰にも打ち明けなかった自分の夢を、ローラはファルコに話した。思ったとおり、彼はすぐに理解し、励ましてくれた。
「いつかきっとそうなるよ。一流のインテリアデザイナーになれる。君にはものを見る目が備わっているんだ。僕が保証するよ」
「本気でそう思う?」
「思うだけじゃない。わかっているんだ」
 ファルコは言葉で励ますだけではなかった。ローラの誕生日に、一流のインテリアデザインの通信教育講座という最高のプレゼントをしてくれた。ローラはそれを夢にまで見ていたが、費用を負担できずにいたのだ。
 それから二人はロンドンのオークションに出かけるようになった。ローラは、ファルコが美術品の収集にひそかに情熱を燃やしているのを知った。オークションの会場で、ローラは家具や磁器、ヴィクトリア朝のみごとな骨董品などについて、豊かな知識を吸収した。それまでたたいてみることさえ考えなかったドアが、突然大きく開かれたのだ。
 でもそんなことは、二人の間に起きた魔法のほんの一部でしかない。ローラの心を目覚めさせたのは二人が分かち合ったすばらしい愛だった。
 ローラは最初に口づけを交わしたときのことをいつまでも忘れないだろう。ファルコが両腕をローラの腰に回して燃えるような目で見つめ、彼女が息をつめて顔を上げたとき、世界がぐらりと傾いた気さえした。あのときのことを思い出すと、何年もたった今でも胸がときめく。
 それから、本当に愛を交わすときがやってきた。
 そのころにはほんのわずかな時間でも離れられなくなっていた。だから、いずれそうなるのは二人ともわかっていた。心から望んでいたのに、それでもローラには大きな決意が必要だった。ファルコは初めての恋人だ。簡単に一線は越えられなかった。
 実際には、それはローラの人生の中で最も美しい経験だった。
 場所はファルコの部屋。料理の好きなファルコが夕食を作った。それからソファーでくつろぎ、互いの肩に腕を回しておしゃべりをしたり、笑ったり、キスを交わしたりしていた。
 しばらくして、ローラは時計を見てつぶやいた。「もう帰らなくては」
 友人と一緒に住んでいる寒い部屋に帰りたくない。そんな思いがローラの口調ににじんでいた。そのころにはファルコと離れるのが耐えられなくなっていた。彼も同じだと言っていた。
 ファルコはそっとキスをした。「泊まってくれ。行かないで、ローラ」
 ローラは息をのんだ。そんなことができるだろうか? 泊まればどうなるかはわかっていた。
 ファルコはすぐにローラのためらいに気づいた。「君にいてほしい。僕を信じてくれ。いいかげんな気持だったら、こんなことは言わない……」ファルコはローラの頬をなでながら、じっと彼女の目を見ていた。「君を抱きたいなんて考えもしなかっただろう。君が僕の結婚したい女性だという確信がなかったら」
 あまりの幸福感にローラは息もできなかった。
「愛しているよ」言葉もなく見つめているだけのローラにファルコがほほ笑んだ。「返事は今すぐでなくていい。ただ僕の気持をわかってほしい」
 その忘れがたい夜、ローラの返事は決まっていたが、口には出せなかった。ファルコが言ったことの重大さがしっかりのみ込めなかったからだ。何度も夢に見たけれども、現実になると思ったことは決してなかった。
 ローラはただこう答えた。「私も愛している。泊まるわ。本当にそうしたいの」
 その決心をローラは悔いたことは一度もない。それからあとに起きたできごとも、すばらしく歓喜に満ちた最初の夜の思い出をけがしはしなかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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