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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

ひと夏の恋は遠く

ひと夏の恋は遠く


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジャクリーン・バード(Jacqueline Baird)
 趣味は油絵を描くことだったが、家族からにおいに苦情を言われ、文章を書くことにした。そしてすぐにロマンス小説の執筆に夢中になった。旅行が好きで、アルバイトをしながらヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回った。英国に戻ったときに結婚。二人の息子に恵まれ、現在も生まれ故郷のイングランド北東部に夫とともに暮らしている。「二人のバレンタイン」と「恋は強引に」がお気に入りの作品だという。ロマンティックタイムズ誌の賞の受賞歴があり、ベストセラーリストにもたびたび登場する。

解説

パーティに姿を現した男性を見て、ジェイシーの鼓動は速まった。10年前に別れた、傲慢でハンサムなレオがそこにいた。目を閉じると、封印していた悦びや胸の痛みが甦ってくる。まばゆい太陽のもと、彼の魅力に抗えなかった日々が。レオとは結婚まで考えたが、彼はギリシアの大物実業家で、しかも思わぬ誤解から娼婦と侮蔑され、手酷く捨てられたのだ。それなのにいま、レオは臆面もなく彼女を誘惑してきた。微笑の裏に嘲りを潜ませて。「いつもこうしてじらすのか?じらされるのは好きじゃない」

抄録

 そろそろ彼がやってくるころだ。ジェイシーは幸せな気分で居間へ入っていった。白い壁にこの島を描いた絵が一枚かかっている。観光客に貸すための部屋なので、ソファベッドに椅子が二脚、コーヒーテーブルがあるだけだ。それでもジェイシーは気に入っていた。
 この三日間は魔法のようだった。レオと船上で結ばれたあの午後から、彼女はばら色に輝く愛に包まれて生きていた。あの日は何時間も愛しあったあとようやく錨を上げ、港に向かったころには夜になっていた。レオは優しく思いやりのある恋人で、熟練した愛の教師だった。
 港に着くとジェイシーは船から飛びおり、彼の指示にしたがって係留を手伝った。「わたし、漁師のいい奥さんになれそうな気がするわ」深く考えもせずに出た言葉だった。
「きっとなると思うよ」笑いながら言うレオの答えは、ますます彼女を幸せな気分にした。
 だけど……。ジェイシーは顔をしかめた。母のことが気がかりだった。休暇もあと四日を残すのみとなった今朝、イギリスの母に電話して、自分は帰らないかもしれない、九月に始まる大学にも行かないかもしれないと正直に伝えたのだ。母は、パパがちょうどイギリスに帰ってきているから、まずは三人で話しあいましょうと言った。ギリシア人の漁師に身も心も捧げていることを知ったら、父はなんと言うだろう。
 車が止まった音を聞きつけ、彼女は玄関へ急いだ。タックの入ったクリーム色のズボンと同色のポロシャツを着た背の高いレオの姿に、ジェイシーは思わず見とれた。彼は片手にシャンパン、片手に黄色いばらの花束を持っている。
「黄金の女の子に黄金のばらを」レオはにっこりして軽くキスをした。
 ジェイシーは息をのんだ。ものすごくハンサムで、いつもの陽気な漁師とはどこか感じが違う。もっと洗練されていて大人に見える。今日が初対面なら、都会の人だと思っただろう。くだらない想像よ。この人はわたしのレオ。そして今夜は二人にとって重大な一歩を踏みだす日になる。彼はプロポーズしてくれるだろうか?
 ジェイシーは急に恥ずかしくなり、受けとった甘い香りのするばらに顔を近づけた。「ありがとう。とってもきれい」
 彼女の肩を抱いて、レオはくすりと笑った。「とげに気をつけて。きれいな顔が傷つくのは見たくないから」
 ジェイシーは顔を上げてほほ笑み返した。彼の腕のなかにいると、誰よりも愛され大切にされている気がする。「愛してくれているのは顔だけ?」彼女はからかってみた。
「顔だけじゃない。この体も大きな理由だ」レオが挑発的なまなざしを向けてくる。
 二人一緒に笑いだし、今宵の幕開けとなった。キッチンに用意されたキャンドルライトのもとで、二人は冗談を言って笑いながら、いかにもイギリス式の料理を味わった。ミントソースをかけたローストラムにローストポテト。ヨークシャープディングと数種類の野菜が添えられている。
「ぼくをどうするつもりだい?」魅惑的な唇の端を上げてほほ笑んだレオは、やわらかく煮た果物とパンで作った冷たいサマープディングを平らげ、スプーンを置いた。「胃袋を攻めてぼくの心をつかむ気なのか?」
 ジェイシーもつられてほほ笑む。「いけない?」
「いや、そんなことはないさ」レオは一瞬ぎくりとし、鋭い目で探るように彼女の顔を見てから椅子を引いて立ちあがった。「さあ、シャンパンの残りは居間で飲もう」
 ジェイシーはなぜか彼があわてている気がしてならず、グラスを二つ持って彼のあとを追った。だが、ソファにもたれて手招きする彼を見て、不安は消えた。コーヒーテーブルにグラスを置き、レオの横に丸くなる。彼の温かい腕がむきだしの肩にまわされた。今夜着ている青いジャージー素材のサンドレスには、胸元にひもがついていた。海辺で着るようなドレスだけれど、手荷物を小さめにしたので、おしゃれな服までは入らなかったのだ。
「おとなしいね。どうかしたのかい?」レオが彼女の耳に鼻をすり寄せた。
「何も」ジェイシーはため息をついた。「あなたに喜んでもらえるようなすてきな服があればと思っただけ」彼の広い胸を手で撫でる。「あなたにはビキニ姿かパンツルックしか見せていないもの」
「ばかだな」唇が彼女の首筋を這いおり、さらに下へと向かった。「着ているものなんてどうでもいい。実際、いつも裸でいてほしいくらいだ」胸元で結ばれているひもを歯で引っ張る。
 ジェイシーは彼の頭に手をあて、黒い巻き毛に手櫛を入れて、そのなめらかな感触と彼のにおいを楽しんだ。「時間の問題もあるの」
 レオが顔を上げた。「問題?」
 ジェイシーは勇気を奮い起こした。「友達が今日にも戻ってくるわ。金曜の便で帰国することになっているから。三日後よ。わたし、あなたと別れたくない」細い指で彼の眉を、鼻を、それから唇をなぞる。今まで知らなかった喜びを教えてくれた唇。彼を心から愛している。ジェイシーはレオに唇を押しあてた。ああ、彼が欲しい……。
 レオはしばらくしたいようにさせておいてから、彼女にまわした腕に力をこめた。深まるキスの激しさに、ジェイシーの体は熱いもので満たされた。欲望が燃えあがり、漆黒の髪に両手をもぐらせる。レオが彼女の脚を自分の膝の上に持ちあげ、そのままソファに寝かせた。


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