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百鬼譚の夜

百鬼譚の夜


発行: 出版芸術社
シリーズ: 夜中に読むな倉阪ホラー
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 倉阪 鬼一郎(くらさか きいちろう)
 1960年、三重県生まれ。早稲田大学文学部文芸科卒、同大学院日本文学専攻中退。
 在学中に幻想文学会に参加、季刊「幻想文学」に書評などを執筆。本邦で唯一「怪奇小説家」を名乗り、俳句と翻訳も手がける。著書に短編集「怪奇十三夜」「地底の鰐、天上の蛇」(いずれも幻想文学出版局刊)、句集「怪奇館」など、訳書にストリブリング「カリブ諸島の手がかり」、ウエイクフィールド「赤い館(共訳)」(いずれも国書刊行会刊)などがある。

解説

 ホラーを知り尽くした著者が、自信をもっておくる本格的怪奇小説の決定版! とにかく怖い! 怪奇実話作家のもとに持ちこまれた一冊の日記帳。赤い羽根を極端に恐れる男の記録に隠された驚愕の真実とは? 切れ味するどい第一章「赤い羽根の記憶」から、幽霊屋敷パターンに新機軸をうちだす第三章「黒い家」、今までの登場人物が総登場して百物語をくりひろげる最終章「百鬼譚の夜」まで、奇想と企みに満ちた恐怖の迷宮の中で、“怪奇作家”が放つ連作恐怖小説!

目次

赤い羽根の記憶
底無し沼
黒い家
百鬼譚の夜
あとがき

抄録

「ちょっと妙だな」
 と、黒川が言った。
 ちょうど徳利が空になった。私は控えめな声で、あるじにおかわりを所望した。
 かつて高級遊郭で栄えた街、その一角に、ごくごくめだたない構えの店がある。時代劇にでも出てきそうな古い造りで、酒は日本酒しか出さない。由来は聞いたことがないが、屋号は「皿屋」という。ありそうであまりお目にかからない名前だ。
 年齢不詳だがもういい齢と思われるあるじと、口数の少ない痩せぎすの娘が切り盛りしている。あるじは妙に窮屈なところがあって、客が大声で話をしようものなら、だしぬけに渋い声で「お静かに願います」とたしなめる。奴や干物などの定番ばかりで、とくに凝った肴《さかな》は出ないが、静かな雰囲気が好まれるゆえか客筋は良く、まずまずの繁盛ぶりだった。
 私と黒川はよくここで飲む。
 私はフリーライター、最近は怪談実話の執筆が多い。年来の友人の黒川は、表向きはまっとうな勤め人だが、いわゆる好事家《こうずか》である。妙な俳句をひねったり、金にならない怪奇小説の翻訳をしたり、気ままな生活を送っていた。
 徳利が来た。あるじ自慢のぬる燗《かん》である。春は名のみの季節のぬる燗は、また格別だった。
「それから?」
 手酌で一杯やり、黒川は先を促した。無理もない。先ほどからさんざん気をもたせている。
「いや、これで終わりだよ」
 気づいていないのだろうか。そう思い、わざとそっけなく言ってみた。
 黒川は、いかにも腑に落ちないといった、妙な顔つきになった。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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