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幼さと戸惑いと【ハーレクイン・ディザイア傑作選】

幼さと戸惑いと【ハーレクイン・ディザイア傑作選】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

無垢な少女に芽生えた恋心は、無惨にも踏みにじられた。

小さな町ジェイコブズビルの本屋で働くサラは、客のひとりジャレッド・キャメロンに心惹かれていた。ジャレッドは町に越してきたばかりで、その素性を知る者はいない。他人とは打ち解けないタイプのようだが、サラには幾分心を開き、二人の距離は日増しに近づいていった。そんなある日、近所でバーベキューパーティが催された。サラはジャレッドに家まで送り届けてもらうことになり、一度のキスで火がついた彼に、突然激しく純潔を奪われてしまう。それはサラが夢見ていたロマンティックなものにはほど遠かった――しかも彼は、サラがバージンだったことを信じてくれず……。

■様々な時代の選りすぐりのディザイアの話題作をお贈りする“ハーレクイン・ディザイア傑作選”。今作は、北米ロマンス界最重鎮ダイアナ・パーマーが描く、情熱を知ったばかりの無垢なヒロインが、ヒーローに振り回される物語です。
*本書は、ハーレクイン・ディザイアから既に配信されている作品のハーレクイン・ディザイア傑作選となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 サラが何か隠していることはジャレッドにもわかった。態度にありありと表れている。
 すると別の疑問がこみあげた。ジャレッドは眉をひそめた。「君はいくつになる?」
 サラが顔をあげてにっと笑った。「内緒」
 ジャレッドは考えるように唇をすぼめた。「まだ人生に幻想を抱いているようだし」サラのまぶたがぴくりと痙攣する。「二十四、五歳ってところかな」
 彼の誤解をサラは正さなかった。「悪くない読みね」
 ジャレッドは両手をポケットに押しこみ、空を見あげた。「まだ降りそうにないな。予報だとあと一週間は無理らしい。一雨来ないとどうしようもない」そこで腕時計に目をやった。「僕はそろそろ戻るよ。日本から電話があることになっている」
「日本語が話せるの?」
 ジャレッドが笑った。「まだまだ。だが取り引き先には通訳のできる社員が大勢いる」
「日本は面白いところでしょうね」うっとりと言った。「私、アジアには一度も行ったことがないの」
 ジャレッドが意外そうな表情を浮かべた。「近ごろではみんな行っているかと思っていた」
「お金がなくて。祖父にとっての海外旅行はフォダーズのガイドブックを買うことだったわ。自由になるお金はすべて本に費やしていた。何百冊もよ」
「歴史を教えられていたと言ったね。専門は?」
 引き締まったハンサムな顔を見つめて、サラは戸惑った。いまさら本当のことを言って、偶然にしてはできすぎだと思われたりしないかしら?
 彼が眉根を寄せた。「どうしたんだい?」
 サラは顔を歪めた。「第二次世界大戦よ」正直に告げた。「特に北アフリカ戦線」
 ジャレッドが息をのんだ。「僕が本を注文したときは何も言わなかったじゃないか」
「変に思われる気がしたの。だって顔も知らなかったあなたがたまたま本を探していて、その本と同じテーマを祖父が教えていたなんて。おかしな偶然でしょう」
「ああ、だがありえることだ」彼がそわそわと身を動かした。「お祖父さんの蔵書に自叙伝はあった?」
「ええ。戦争では指揮官の人物像が大きく関係するから。お気に入りのテーマはドイツ軍の元帥エルヴィン・ロンメルとジョージ・パットン将軍。でもオーストラリア第九師団の視点とバーナード・モントゴメリー将軍の回想録も好きだったわ」
「うちの役員にちょうど高校生の息子がいてね。その子に、歴史上の将軍では誰が好きか尋ねてみたんだ。今は軍人一人一人のことなど習わないらしい。ロンメルが誰かも知らなかった」
 その言い回しにどきりとして、サラは弱々しくほほ笑んだ。自分も二年前に高校を出たばかりなのだ。「私も授業では習わなかったわ。でも祖父に尋ねたら、たっぷり二時間は講義をしてくれたから」
 ジャレッドは心底興味を抱いたようだった。「北アフリカ戦線で、モントゴメリーの前に第八軍を指揮していたのは?」
 サラはくすりと笑った。「私が知らないと思う? オーキンレック――サー・クルードよ。赤毛の大男で、奥さんはアメリカ人」
 彼の眉が跳ねあがった。「たいしたものだ。ロンメルの奥さんはなんて呼ばれていた?」
「彼女の名前はルーシー。でもロンメルはルーと呼んでいたわ。二人の間にはマンフレートという息子が一人。彼は成人してドイツのシュトゥットガルト市長になった」サラは眉をあげた。「ロンメルの使ったどんな対戦車砲術に英国軍が混乱したか知っている? 八十八ミリの高射砲よ。彼はそれを隠して、英国軍戦車を射程圏内におびき寄せたの。彼らにとってはそれはある種のスーパー兵器だった。今ならごく一般的な対空兵器だけどね。捕虜として捕らえた将校がロンメルに言ったそうよ。戦車にそんな兵器を使うのはフェアじゃないって。でもそれが戦争というもの」
「そのとおり」ジャレッドのまなざしはこれまでとはまったく違っていた。「その本、貸してもらえないかな?」
 サラは眉をひそめた。「人に貸したことはないけど、あなたにならいいわ。祖父もあなたと北アフリカ戦線について話せたらきっと喜んだでしょうし」
「僕もだよ」ジャレッドが再び腕時計に目を落とした。「しまった、もうこんな時間だ!」
「私も帰らなくちゃ」サラは墓石に目を向けた。「お嬢さんのこと、お気の毒だったわね」
 彼の表情が引き締まった。「君のお祖父さんも。休日は特に辛いね。去年のクリスマスは飲み続けたよ。娘のいない初めてのクリスマスだった」
「私も。とてもクリスマスを祝う気になれなくて、老人ホームで本の読みきかせをしていたわ」
 ジャレッドが思いがけず髪にそっと触れてきた。「君にこんな優しい一面があるなんて思いもしなかったよ。サラ、だったね?」
 サラは少しどきどきしながらうなずいた。「サラ・ドブズよ」
 彼が優しくほほ笑んだ。「また連絡するよ」
 サラは瞳をきらめかせた。「ええ、また」
 ジャレッドはモーターショーに出てきそうな真っ赤なスポーツカーで走り去った。祖父の好きだった話題をきっかけに話が弾んだことを思うと、唇がほころんだ。最初はハーリー、今度は鋼鉄のカウボーイ。こんなに気持ちが浮き立つのは何年ぶりだろう。
 でも本当の年齢を知っても、まだ関心を持ってくれるかしら? ひとまず、年齢も過去も秘密にしておこう。どちらもまだ彼には知る必要のないことだし、必要が出てきたころにはたいした問題じゃなくなっているかもしれない。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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