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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

砂漠の魔法に魅せられて

砂漠の魔法に魅せられて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・マリネッリ(Carol Marinelli)
 イギリスで看護教育を受け、その後救急外来に長年勤務する。バックパックを背負っての旅行中に芽生えたロマンスを経て結婚し、オーストラリアに移り住む。現在も三人の子供とともに住むオーストラリアは彼女にとって第二の故郷になっているという。

解説

母国の女性を娶るのが彼の定め――愛を夢見た私は、愚かなシンデレラ。

介護施設にいる母を見舞う生活を6年続けている看護師のアデル。有能な医師であり砂漠の国の皇太子でもあるザヒールに片思い中だが、彼は次々と浮き名を流しているのに、彼女には目もくれない。しかし、病に倒れたザヒールの母を看護しに砂漠の国を訪れたとき、彼がやがて父王の選ぶ同国出身の花嫁を娶ることを知る。それが故にザヒールがこれまであえて自分を避けていたと気づき、アデルはほとばしる愛をどうすることもできず、彼に純潔を捧げた。しかし、二人が深い仲になった事実を知って激怒した父王によって、彼女はあえなくロンドンに帰されてしまう――愛してはいけないザヒールの子を、その身に宿しているとも知らず。

■主人公たちの心の機微を、こまやかに切なく描く表現者キャロル・マリネッリによるシンデレラストーリーをお贈りします。結ばれる望みのない恋と砂漠の魔法にからめとられ、無垢なアデルの運命は激しく翻弄され……。ドラマティックな展開に一気読み間違いなし!

抄録

 アデルは病室を出ると、手術衣を脱いでTシャツとジーンズに着替えた。時間は十時をゆうに過ぎていて、いつものバスには乗り遅れた。次のバスが来るまで、気が遠くなるほど待たなくてはならない。
 もっとも、こんなことはこれが初めてではないし、最後でもないだろう。
 ところが、いつもは素通りしていく銀色のスポーツカーが初めてバス停の前で止まった。
 車の窓が開き、ザヒールが声をかけてきた。「せめて家まで送らせてくれ」
 アデルは昨夜のことをまだ根に持っていたが、断るのは大人げないとわかっていた。
 そして、ついに彼の車の助手席におさまった。
「車は持っていないのかい?」ザヒールが尋ねた。
「ええ。ロンドンではとくに必要ないので」
 いつもの言い訳だった。本当は、あの恐ろしい事故以来、運転することを考えただけで具合が悪くなるのだ。
「夜遅くバスに乗るよりいいだろうに」
「そうかもしれません」アデルは肩をすくめた。
 彼女には車を買う余裕がないのかもしれないと、ザヒールは思った。今のフラットを出るためにお金をためていると聞いたことがある。
 だったら、ぼくが車を買ってやろう。
 いや、それはやりすぎだ。どうかしていると思われる。
 ぼくの家族ならこう言うに違いない。車を買ってあげなさい、親切にしてもらった借りは十倍にして返すものだと。だが、そんなことをされたらアデルは気分を害するだろう。
 彼女にとって、今日のことは貸しではない。
 看護師としての職務を果たしただけなのだ。
 彼女は実によくやってくれている。
 ぼくがときおりそっけなくしてしまうのは、彼女のせいではない。
 ぼくがぼくであるためには、そうする必要があるからだ。
 ぼくは彼女に心を引かれている。
 愉快で、あけっぴろげで、それでいて何かを心の内に秘めた、つかみどころのない女性……彼女のことを知りたくてたまらない。だからこそ、距離を置くようにしているのだ。
 知ったら、きっといいことはない。
「今日は本当に世話になったね」ザヒールは言った。
「わたしは自分の仕事をしただけよ」
「それはそうだが、おおいに母の支えになってくれた。母は自分の国から遠く離れて心細かっただろうし、誰か話を聞いてくれる人が欲しかったはずだ」母が目を泣き腫らしていたことを思い出し、ザヒールは口ごもった。「子供を亡くしたことは言っていたかい?」
 そのことは内緒にしておいてほしいとレイラから頼まれていたアデルは答えなかった。すると、ザヒールのほうから切り出した。
「ぼくも詳しくは知らないんだ。宮殿内ではこの話はタブーになっているから。母が身重でドバイに発ったことは知っている。そのあと父も発ち、そしてみんなで帰ってきた。アーファクは砂漠に埋葬されたが、それ以来、今日まで……」そこでザヒールがアデルをちらりと見た。何か情報を引き出せはしないかというように。なんでもいいから。
「そのことはお母様と話し合うべきだわ」アデルは突き放しつつも同情をこめて言った。物事を曖昧にされてしまうのがどんな気持ちか、よくわかるからだ。あの事故のあと、ジャネットから情報を聞き出そうとしたときのことは今でもはっきり思い出せる。自分にとって重大な事実を知っている者がいるというのに、その事実を教えてもらえないのはつらい。「申し訳ないけれど」
「そうだな」ザヒールがうなずいた。「きみを困らせて悪かった。母がミスター・オマーンに正直に話していることを祈るよ」
 アデルは何も言わなかった。
 彼女のこういうところは尊敬に値する。
「ここで降ろして」アデルが言い、ザヒールは大きな建物の重厚な門の前で車を止めた。「送ってくださって、ありがとう」
「またいつでも送るよ」ザヒールはそっけなく返した。
 本当かしらと言いたげにアデルは小さく笑った。一年間もわたしの前を素通りしておいて。ゆうべだって、びしょ濡れのわたしを完全に無視したくせに。辛辣だと思いつつも、彼女は言わずにはいられなかった。「恩を感じたときはいつでも、ということね」
 ザヒールは前方を見つめているが、ハンドルを握る手に力が入っている。
 ゆうべのことを言われたとわかっているのだろう。
 やはりわたしに気づいていたのね。
 そして、わざと素通りした。
「おやすみなさい、ザヒール」
 アデルは車を降りて門を開けた。
 そこが彼女のフラットではないことはザヒールも承知していた。ここは介護施設だ。彼女は重病の母親のもとを頻繁に訪れていると聞いている。
 けっして自ら探ったわけではない。
 そうしたい気はあったが。
 アデルに対する自分の気持ちを掘りさげてみたい。こんなにも誰かを自分のものにしたいと思ったことはない。
 だが、ぼくは王になるために生まれてきた男だ。常に冷静さを保っていなければならない。自分の気持ちは胸に閉じこめておかなければならないのだ。結婚するまでは。


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