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クララの秘密

クララの秘密


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ソフィー・ペンブローク(Sophie Pembroke)
 学生時代にロマンス小説と出合い、のちにランカスター大学で英語の学位を取るために夜どおしハーレクイン小説を読んだ。それがきっかけで、ハッピーエンドの信奉者となった。自著ではみずからが住んだことのある土地を題材にすることが多く、イングランドの郊外の町に漂う気取ったユーモアやウェールズの山々の野性味、ロンドンの夏の熱気や緊張感を好んで描く。また、主人公たちにお城でキスをさせる傾向があると語る。

解説

わたしは都合のいい妻、愛されない妻。そのうえ望まれぬ子を身ごもったら……。

仕事に夢中な大富豪ジェイコブとの結婚に嫌気がさしたクララは、都合のいい妻でいるのがつらくて、身の回り品だけを手に家を出た。その後、新たな命を授かっていることに気づいたが、子供は欲しくないと明言していた彼に知らせるつもりはなかった。愛されないならいっそ別れたいと再三訴えるクララに対し、彼はつねに弁護士を通じて、離婚には応じないと伝えてきた。だが5年後、イベント業を営むクララのもとにジェイコブが現れ、余命わずかな父のために家族パーティを企画してほしいと頼んでくる。密かに産んだ娘の存在、いまだくすぶる彼への愛は、知られたくない!悩み苦しむ妻に、夫は言った。「引き受けてくれるなら、離婚に応じる」

■夫を愛しているからこそ、いびつな関係に耐えきれず別れを選ぼうとするクララ。そんな切ない望みを、なぜかつっぱね続けるジェイコブの真意がわからずに悩みます。さらには、物心ついた娘が町のサンタに“パパが欲しい”とお願いしているのを聞いてしまい……。

抄録

「クララ、驚いたな」たった今起きたばかりだと思われないよう努めて落ち着いた声を出した。
 しかしクララは寝起きのジェイコブをよく知っている。「横の髪に寝癖がついているわよ」
 髪を撫でつけながら、ジェイコブは別居中の妻を眺めた。ドアを入ったところに立っているクララは深紅のコートを着て、手袋をはめた両手を脇の下に挟んで温めている。つややかな焦茶色の髪のてっぺんにはグレーのフェルト帽がのっていて、きれいに化粧をしている。
 濃い色の口紅をつけ、どういうトリックを使っているのか、いつもより目を大きく見せていた。受付係がクララを通したのもあながち責められない。持ち前の魅力に自信が加わったこの新しいクララにノーと言うのは難しいだろう。
「結論が出たのかな?」ジェイコブはオフィスの一角にある応接スペースを手で示しながら言った。
「ええ」クレアは帽子を取り、ソファの脇のテーブルに置いた。それからコートを脱ぐと、また体にぴったり沿ったラップドレスが現れた。今日は森のように深いグリーンだ。チョコレートブラウンの革張りのソファに身を沈めたクララは、とてもリラックスした様子だった。このオフィスにいて違和感がないというだけではなく、ビジネスの世界そのものになじんでいるように見える。
 ジェイコブは応接スペースの後ろにあるコーヒーメーカーのほうに歩いた。この会話にはコーヒーが必要だ。
「パートナーと相談したの」クララが言った。「ほかのことがなんとかなりそうだから、あなたの依頼を引き受けるわ」
 その結論に至ったことをあまり喜んではいない口ぶりだが、それは僕には関係ないことだ。パートナーの男には気の毒だったが、それもどうでもいい。ジェイコブは自分でも気づかなかった何か硬いものが体の中でほぐれていくのを感じた。
 クララが力になってくれる。重要なのはそれだけだ。
「それはよかった」安堵が声に出ないように気をつけながらジェイコブは答え、濃いブラックコーヒーをいれるのに忙しいふりをした。「契約書や支払請求書などの書類は用意してあるのかい?」
「もちろん。ただ日程を考えると、全額前払いにしてもらったほうがいいと思うの」
「もっともだ」前払いは問題ない。むしろクララのほうは金を受け取れば、なんとしてもこの仕事をやり遂げなくてはならなくなる。
 ジェイコブがクララの前のテーブルにコーヒーを置くと、彼女は顔をしかめた。「私、コーヒーはもう飲まないの」
「本当に?」昔はあんなに飲んでいたのに。結婚の祝いに高価なプレゼントをいろいろもらったが、クララがいちばん喜んだのはヘザーから贈られたシンプルなコーヒーメーカーだった。「それなら紅茶にしようか?」ジェイコブは眉根を寄せてコーヒーメーカーを見た。あれは紅茶もいれられるのか?
「いいえ、結構よ。何もいらないわ」
 五年前もクララはそう言った。家を出たあとで僕の援助を断ったときに。
「それじゃ、契約に入ろう」ジェイコブはコーヒーカップを口元に運び、深い香りを吸い込んだ。
「ええ。ただ今回の契約には……通常の契約書には含まれていない個人的な条件があるから」
「つまり、離婚のことか?」クララが離婚を望んでいることを思うと、やはり心穏やかではいられない。なぜ僕はこの無意味な関係をいつまでもつなぎとめようとしているんだ? なぜクララを自由にして、自分の人生を進むことができないんだ? 弁護士でさえ、この話題が出ると天を仰ぐようになった。わかっている。もう前に進んでもいいころだ。ただ、離婚届にサインしない限り、結婚に失敗したことにはならない。厳密には。
 おそらくクララは違う意見だろうが。
「そうよ」クララが言った。「離婚の件。私……できれば新年には区切りをつけたいの。そのほうがお互いのためにいいと思うわ。ちゃんと前に進めるから」
「再婚するのか?」尋ねたとたん、後悔した。
「まさか。いつかはするかもしれないけど、今はないわ。なぜそんなことをきくの?」
 そうさ、ジェイコブ、なぜきくんだ?
 ジェイコブは肩をすくめ、無関心なふりをした。「さっき君が“パートナー”と言ったから」
「ビジネスパートナーよ。メリー。昨日会ったでしょう?」
 オフィスで会った赤毛の女性か。「それなら今恋人はいないのか?」きかずにはいられなかった。
「ええ、今はね。なかなか難しいわ。だって……」クララは言いよどんだ。
「夫が離婚してくれないから、か」別居してからもう五年だ。クララが本気で別の男と一緒になりたいなら、紙切れ一枚の問題であきらめるとは思えない。
 クララが本当に離婚を望んでいるなら、いくら弁護士が有能でも打つ手はないだろう。僕に対して何も要求していないから、簡単に離婚できるはずだ。
 しかしクララは無理強いしなかった。騒ぎ立てなかった。本気で離婚したいならそうすべきことをいっさいしなかった。
 本当は離婚を望んでいるわけではないのかもしれない。僕が追いかけてくるのを待っているのかもしれない。
 この完璧なクリスマスの企画を一緒に進めれば、それを確かめる絶好の機会になるだろう。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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