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富豪ゆえの束縛

富豪ゆえの束縛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・モーティマー(Carole Mortimer)
 ハーレクイン・シリーズでもっとも愛され、人気のある作家の一人。1978年にイギリスでデビューして以来、これまでに刊行された作品は実に百冊を超える。十四歳のころからロマンス小説に傾倒し、アン・メイザーの作品に感銘を受けて作家になることを決意した。キャロルは三人兄妹の末っ子としてイギリスはベッドフォードシャー州の小村で育った。一時は看護師を志したが、転倒した際に痛めた背中が治りきらず断念。その後、某有名文房具メーカーのコンピューター部門に勤め、そこで働く間に時間を見つけて小説を書くようになった。物語を書くときに一番楽しいのは、ヒロインとヒーローの性格を考えるとき。書いているうちに徐々に主導権がヒロインとヒーローに移り、いつのまにか彼らが物語を語りはじめるのだという。現在キャロルは“イギリスで最も美しい場所”マン島に、夫と子供たちと住む。

解説

ダニーはロンドン郊外の大きな屋敷で庭師として働いている。屋敷の主は家のまわりに高い石塀を巡らし、つねにボディガードに囲まれて暮らしており、いまだ姿を見たことはない。きっと人間不信の哀れなおじいさんに違いないわ。ある夜、庭の芝を刈っていたダニーは背後からの声に驚いた。振り向くと、若くハンサムな男性が睨みつけている。彼こそがこの屋敷の主、ピアス・サザランドだった。謎めいたピアスの魅力に惹かれ、ダニーは身も心も捧げるが、彼の言葉は、あまりにも冷たいものだった。「僕が君を愛することは決してない。期待するな」

■1987年に刊行された、人気作家キャロル・モーティマーの意欲作です。謎めいた過去を持つ人間不信の大富豪を愛してしまった、貧しく無垢なヒロイン。彼の心は固く閉ざされたままで……。

抄録

「僕の知る限りでは、これまでに彼の知性を求めて近寄ってきた女性はいないね」
「それは失礼千万ね」ダニーは笑った。
「ああ、だが事実だ」ピアスはいらだったように言うと、強く水をかき始めた。「スピードアップしよう。このぶんだと一晩中つかってなきゃならない」
 七往復半すると、ダニーはもう息を切らしてプールサイドに這い上がり、冷たい大理石の上に倒れ込んだ。彼女が呼吸を整えるころにはピアスは最後のコースを泳いでいた。彼はやすやすと抜き手を切っている。全く力を入れてないかのようだが、そのストロークは力強い。彼は満足げな顔で水から上がってくるとタオルを首にかけた。
「僕は考えてたんだが……」
「少なくともひとりには効果があったようね」ダニーはにっこり笑った。
「君は自分の悩みの解決法を見つけなかったのかい?」
「まだよ。でもそのうち見つけるわ。あなたは何を考えていたの?」
「君が夜遅く塀のまわりをジョギングするとき、なぜ警報器が鳴って電気がつかないのかと」
「厳重な安全装置よね。あんなに警戒しなきゃならない何を、伯父様は持ってるの?」
 ピアスは口をゆがめた。「もっともとらえどころのない所有物、つまりプライバシーさ」
「非常に高くつくものでもあるわね」
「君は僕の質問に答えていない」彼が厳しく追及した。
「警報器と電気のこと? 私がジョギングする間、デイヴ・ベンソンがスイッチを切ってくれてるのよ」
「彼が、なんだって?」
 ピアスの怒りを感じてダニーは眉を寄せた。「そんなに驚かないで。ちゃんと見回りはしてるんだし、そんなに長い時間でもないし……」
「充分長いね」ピアスは荒々しく言った。グレイの目が氷のように冷たくなっている。「信じられないよ。ベンソンは、君が毎晩八キロのジョギングをするために、百万ポンドもする設備の電源を切るというのか?」
「百万ポンド?」ダニーは息をのんだ。「サザランドさんがお金持だってことは知ってたけど、でも……」
「ヘンリーはそのことを知ってるのかねえ」
 ダニーは肩をすくめた。「どうしてそんなに大騒ぎするのかわからないわ。ほんの数分間のことなのに……」
「それだけあれば誰かが忍び込んで家までたどりつくのに充分だ」ピアスがぴしりと言った。怒りが顔に深く刻まれている。
「忍び込むなんて無理よ。犬が放してあるのに」
「フェルディナンドとキルパトリックは君と一緒だと言ったじゃないか」
 ダニーはいらだたしげなため息をついた。「見回りのガードマンがいるじゃない」
「設備のスイッチを切る話を聞いたあとでは、彼らが見回りの代わりにジョギング中の君に見とれてると聞いても驚かないね。全く信じられないことだよ、これは!」
 ピアスが本気で怒っていることに気づいて、ダニーは唇を噛んだ。「伯父様に言うつもり?」
「彼も自分の家で起こってることは知っておいたほうがいいと思うね!」
「サザランドさんはどうするかしら?」
「さあ。ともかくこれ以上、夜遅く彼の庭に入らないほうがいいだろうな」ピアスは穏やかに忠告した。
「デイヴ・ベンソンが困った立場になるなんてことはないわよね?」ダニーは困惑した目を向けた。あんなこと、口をすべらすんじゃなかった。だけど私は黙ってるということができないたちだし……。それにまさかこんな騒ぎになるなんて思いもよらなかった。
「ベンソンは彼にふさわしい措置を受けるだろう」ピアスの鋼のような声に、ダニーは思わず身をすくめた。ピアス・サザランドは無慈悲な決定をくだし、迷わずそれを実行に移すだろう。
「ピアス、私……」
「君はどうするつもりだ?」
「どうするって?」
 ピアスは彼女が懇願するように彼の胸の上に置いた手を冷たく見おろした。
 ダニーも自分の手を見おろした。戸外で長時間働くせいか、彼の胸と同じぐらい日焼けしたその手は決してかわいくも繊細でもない。爪は短く四角く切りそろえてあり、長い指は洗練されているというより仕事がよくできるという感じで、てのひらにはすり傷がいくつもできている。確かにそれはきれいな手ではない。でも、だからといって、こんなふうにうさんくさげにじろじろ見られる筋合いもないはずだ。
「どうして僕にさわってるんだ?」彼がゆっくりときく。
 その質問の意味するところに気づいてダニーは静かに息を吸い込んだ。「私は手で話をするの。手を後ろに縛られてたら私は静かになるだろうと、よく父も言ってたわ」
「それは疑わしいね」
「本当よ。だって……」その説明は途中でさえぎられた。なぜならそのとき、しっかりした形のいい唇がいきなりダニーの唇の上におりてきたからだ。
 驚きがすぐに喜びにかわった。ダニーは低くうめいて腕を彼の首に巻きつけ、目を閉じた。
 背中に大理石の床の感触がひやりと冷たい。ピアスの胸が彼女の胸を押しつぶす。
「ダニー……君の名はなんていうんだ?」ピアスが胸のカーブに唇を当てたままきく。
 ダニーはもごもごと返事をした。まだ自分の名を覚えていたのが不思議なくらいだった。本当に、この人は……。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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