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不埒な子爵の手に堕ち 愛と享楽のローハン子爵家

不埒な子爵の手に堕ち 愛と享楽のローハン子爵家


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫愛と享楽のローハン子爵家
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・スチュアート(Anne Stuart)
 二十五年以上におよぶ作家生活のなかで六十作を超える作品を発表。栄えあるRITA賞を三度も受賞した経歴を持つ。ベストセラーリストの常連で、雑誌ピープルやヴォーグにも登場したことがある。執筆の合間には、作家集会での講演のため各地を訪れる生活を送っている。夫と二人の子供とともに、バーモント州北部在住。「闇の貴公子」は1990年5月刊「ファベルジュの卵」と’91年12月刊「泥棒と探偵を」の関連作。

解説

かつて憧れた子爵は、もはや別人だった。妻を探してはいるが、愛する気はさらさらないと言う。

メリサンドは元売春婦たちに裁縫や料理を教えて更生させる慈善活動に勤しんでいた。愛の営みについてはよく知らないが、彼女たちが今も噂するベネディック・ローハン子爵のことは知っている。社交界にデビューした年、壁の花だったメリサンドが子爵の目に留まるはずもなく、彼女はただ、舞踏室の隅から彼を見つめていたのだった。そんなある日、更生中の娘がベネディックに呼ばれたという報せが入る。メリサンドは彼女を連れ戻そうとローハン邸に駆けつけた――欲望にたぎる子爵を邪魔すれば、どんなことになるかなど考えもせず。

抄録

 ドアを開けたのは女性だった。いや、少女というべきだろう。どう見ても十二歳ぐらいにしか見えない。この邸で更生中の元売春婦のひとりにしては若すぎる。いや、どうだろう? 少女が頭のてっぺんからつま先まですばやく見まわし、自分を値踏みしているのに気づくと、疑いがよぎった。それから、この邸で教えられたことを思い出したらしく、その少女は彼をなかに入れ、帽子と外套を預かります、と言った。
「奥さまはすぐおりてくるよ」まだ悪魔の化身でも見るように彼を見上げながら、少女が言った。この子は体を売るにはまだ若すぎる。ベネディックはうわの空でそう思い、安心させるように微笑んだ。レディ・カーステアズはともかく、子どもを威嚇する気はない。
「ローハン卿」階段の上からメリサンドの声が降ってきた。目を上げると、見たこともない女性が、優雅に階段をおりてくる。あれは誰だ? 彼は突きとめようとしながら、彼はつかのまぽかんと見つめた。いや、あれは有名な愛人や娼婦ではない。メリサンド・カーステアズその人だ。黄褐色の髪を美しく結い、なめらかな肌に白粉をはたき、炭でまつげを濃くした“チャリティ”だ。何年も愛人たちが化粧するのを見てきた彼は、そういうことをすべて知っていた。そして一瞬、理不尽な怒りを感じた。メリサンドが着ているドレスは、彼が予想していた野暮ったい時代遅れのものとはまるで違う、美しい夜会服だ。スカートの線は最新の流行、胴衣は首と肩の美しい曲線と、豊かな胸を引き立てている。きらめくエメラルドのネックレスとイヤリングをつけたメリサンドはあまりにも美しく、彼はその手をつかんで手近な部屋に引き入れ、男心をそそるドレスをいっきに腰まで引きおろしたくなった。いますぐ唇を重ね、まるでキスを待っているような、ふっくらした口を貪りたい。
 くそ、冴えない服を着ていたときでさえ、魅せられ、そそられてきたのに、このまばゆいばかりに美しく、彼の心を狂わせる新しいレディ・カーステアズなど、彼には必要ない。
「ローハン卿?」カーステアズが問いかけるように彼を呼んだ。
「どうやら庇護下にある売春婦たちからレッスンを受けたようだな」ベネディックは思わずそう言っていた。
 ところが、メリサンドはにっこり笑ってゴージャスな口元をほころばせた。「ええ、実はそうなの。どう? 彼女たちのおかげでずいぶんよくなったでしょう? 少しやりすぎかしら? よくわからないわ。こういうことにはうといから。マダム・カドベリーからは、流行の先端を行くレディに見えるとお墨付きをもらったのよ。社会改革に勤しむ、野暮ったい寡婦ではなく。でも、着替えたほうがいいと思うなら……」
「マダム・カドベリー? 彼女もこの邸にいるのか?」
「もちろんよ。どうして?」
「その道じゃロンドン一という評判のマダムが、いまやきみの知人とは」
「いいえ、ローハン卿。ただの知人ではなく、わたしの親友よ」
 皮肉を言っているのか? いや、メリサンドはただ真実を口にしている。“チャリティ”・カーステアズは、売春婦を友人にしているのだ。社交界の面々が、彼女を敬遠するのも無理はない。
 だが、この話題は避けて通るほうがよさそうだ。それに、彼になにが言える? メリサンド・カーステアズが誰を友人にしようと、彼にはなんの関係もないこと。重要なのは、彼女の主張が真実かどうか、弟が〈ホスト〉の愚行にかかわっているかどうかだけだ。おれはこの女にはなんの関心もない。
 ちょっと探りを入れ、そのあいまに見事な曲線美の体がかきたてるみだらな想像にふける。それが今夜の目的だ。淡い緑色のドレスは、思いのほか楽しい気晴らしを提供してくれるだろう。それ以上のことを心配するのは愚かだ。カーステアズは好きなように自分の評判を台無しにすればいい。彼はそれに関して、これっぽっちも関心はない。
「そのドレスはすてきだよ。化粧もほとんど目立たない」ベネディックはそれだけ言って、あとは彼女自身が自分で結論を出すに任せた。「では、行こうか? それとも、気が変わったかな?」
「とんでもない」カーステアズは鋭く言い返した。「わたしたちには任務があるのよ」
「やれやれ……」ベネディックはつぶやいて、腕を差しだした。
 ベネディックは自分の馬車が狭すぎると思ったことは、これまで一度もなかった。たしかにこれは街のなかを走るのに適した小まわりのきくランドー馬車で、遠出のときに使う旅行用の馬車とは違う。
 だが、メリサンド・カーステアズの向かいに腰をおろすと、かすかな香りが小鼻をくすぐり、体のなかへと染みこんでくるようだった。とらえどころのない、エロティックなその香りに、彼は苦い気持ちで思った。くそ、今夜は運命の女神たちが総出で、おれを殺そうとしているのか?


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