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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・セレクト

偶然のシンデレラ

偶然のシンデレラ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・メイザー(Anne Mather)
 イングランド北部の町に生まれる。息子と娘、二人のかわいい孫がいる。自分が読みたいと思うような物語を書く、というのが彼女の信念である。ハーレクイン・ロマンスに登場する前から作家として活躍していたが、このシリーズによって、一躍国際的な名声を得た。

解説

パーティでケータリングをするサマンサに、男性が声をかけてきた。マシュー! ハンサムな彼はイギリスとギリシアの血を引く、船舶会社アポロニアス・コーポレーション後継者という有名人だ。彼は、祖父の誕生日パーティの手伝いをしてほしいのだという。仕事の話にしては、まなざしや態度が親密すぎる気がしたが、彼のような男性がわたしなんかに興味を持つはずがないと、サマンサは恥ずかしくなり、慌てて仕事を請け負った。まさかそのパーティが、ギリシアの美しい孤島で催され、その間ずっと、マシューと寝食をともにすることになるとは――そしてそれこそが彼の思惑だったなど、彼女はまだ知らなかった。

■ハーレクイン・セレクトもめでたく500号を迎えました。これもひとえに、いつもご愛読くださる皆様のおかげにほかなりません。感謝を込めて、ハーレクイン・ロマンスを代表する作家アン・メイザーのシンデレラ・ストーリーをお贈りします。

抄録

「なぜ急に話を断る気になったのか教えてくれないか」とうとう我慢しきれなくなって、マシューは手を伸ばす。そしてサマンサの耳の後ろの、絹を思わせるようなカールした髪を一筋つまみあげた。サマンサは頭を後ろに引きはしたが、手をはねのけたりはしなかった。マシューは衝動的にサマンサの首筋から上着の襟元へと指をはわせた。
「あなたにはわかっているはずだわ」言葉を使うしかこの急場を逃れるすべはないとでもいうように、サマンサは激しい口調で言った。「あなたがねらっているのはわたしの体だってことはわかっています。でもわたしにはあなたとそうなるつもりは全然ないの。だから帰してください」
 マシューはあごを引きしめた。それまでは、すんなりサマンサを帰してしまってもいいと思っていた。相手は婚約しているのだし、こんな手段で再び会う機会を作ったことを悪いと思う気持もあった。彼女は身持ちの固い娘なのだし、メリッサに振られた腹いせをするなら、ほかに女は山ほどいる。遊ばれたところで何も失うもののない女たちが。
 けれども軽蔑をむき出しにされて、そんな良心的な思いは吹き飛んでしまった。こちらが許すのと、彼女が自分の力で拒めると思うのとはまったく別の話だ。それほど僕に興味がないのだろうか。それにしてももう少し言い方があるはずだ。間違っているのは君のほうだと証明したくてこらえきれなくなる僕の気持がわからないのだろうか。
 マシューはサマンサを見やった。口で勇敢なことを言っている割には呼吸が速い。レースのひだ飾りが細かく震えている。不安を表に出すまいとして、必死に書類入れを握りしめているのがわかった。
 下唇を噛みしめているらしく、歯の当たっている部分が赤くなっている。すると彼女は舌でその部分をなめて、再び唇を噛んだ。
「君はゲームを楽しむことはないのかな、サム?」サムと呼ばれて、サマンサがぎくりとするのがわかった。ウェイトレスとの会話を聞かれていたのを知らなくて驚いているに違いない。
「帰ってもいいかしら」返事の代わりにサマンサは少し上ずった声で言った。だんだん心配になってきているな。マシューは鋭く見抜いた。もしだめだと言ったらどうする気だろう?
「座ってゆっくり話そうよ」親指と人さし指で彼女の襟のない上着のふちをなぞりながらマシューは言った。純真なサマンサにこんなことをして悪いとは今でも思うのだが、指先が胸のふくらみに触れると、電流に触れたような衝撃が走った。つるっとした布地の下の温かい肌がマシューの手の下でふくらみ、彼はその豊かさを確かめたいと思わないではいられなかった。
 けれども彼の手がふくらみの頂上に触れる前に、サマンサはその手をはねのけてドアに向かって突進していた。マシューも負けじと走り寄り、ドアにどんと手を突いた。すぐ横にサマンサの頭がある。
 サマンサは当惑を瞳にみなぎらせて振り向いた。いや当惑という言葉では弱すぎる。ショックといったほうが正確かもしれない。追いつめられた獲物のように、必死に逃げようとしている動物の絶望に満ちた目だった。それまでの気持がなえて、マシューは一瞬後悔を覚えた。
「気でも狂ったの?」息をつまらせるサマンサの頭の片側に、マシューがもう片方の手を置いた。「大きな声を出すわよ」
「どうぞ」再び女らしいかおりがマシューを包んだ。相手が抗うほど、マシューの気持は高まった。それにまさか助けを求めるなどという恥ずかしいことを本気でするとは思えない。
 けれどもその時、サマンサは大きく口を開けた。不本意だけれど、黙らせる方法は一つしかない。マシューは相手を傷つけるほどの激しさで、自分の口でその悲鳴を封じてしまった。
 もちろん彼女は抵抗した。サマンサは書類入れをほうり出し、両手でマシューの体を突き放そうとした。こぶしが彼のみぞおちに食いこむ。膝で急所をけられそうになって、マシューは怒りに任せて全体重をかけてサマンサの体にのしかかり、彼女をドアにぴったりと押しつけた。
 重みに耐えかねてサマンサはあえいだ。彼女の息が苦しいのはわかっていたが、マシューにはこうする以外に相手をコントロールするすべがなかった。手がサマンサの喉にからみつき、張りつめた肌をそっとなでた。相手の抵抗が甘くなったすきに、舌が歯を割って入りこんだ。
 サマンサはその舌を噛んだが、力は入っていなかった。執拗にキスを続けるうちに彼を受けいれるかのように唇が開き、手が彼の上着の襟にすがりついた。
 サマンサの体は柔らかく、従順だった。彼女が震えているのがわかる。二人の間に炎が燃えあがった。このままこの場でサマンサを押し倒したいという欲求がわき起こってくる。その誘惑に抗えなくなって、マシューはサマンサを抱いていた手を、彼女のブラウスの中へと移そうとした。
 その時、サマンサが全力でマシューの体を突き放した。外でごみ箱が倒れる音と、ミセス・マッケイの悲鳴が聞こえた。マシューに残されたのは、なぜサマンサが突然出ていったかをミセス・マッケイに説明する不名誉な仕事だった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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