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貴公子と床磨きの乙女

貴公子と床磨きの乙女


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ケイトリン・クルーズ(Caitlin Crews)
 ニューヨーク市近郊で育つ。12歳のときに読んだ、海賊が主人公の物語がきっかけでロマンス小説に傾倒しはじめた。10代で初めて訪れたロンドンにたちまち恋をし、その後は世界各地を旅して回った。プラハやアテネ、ローマ、ハワイなど、エキゾチックな地を舞台に描きたいと語る。

解説

嘘でしょう? 捨て子の私が、異国の王の許嫁だなんて……。

マギーは20年前、道端に捨てられているところを保護された。以来、里親のもとを転々とし、不遇な子供時代を過ごして成長した。ある夜、マギーが勤務先のコーヒーショップで床磨きをしていると、護衛たちを大勢引き連れた尊大な男性がいきなり入ってきて、コンスタンティン国王レザだと名乗り、マギーを鋭く見つめた。いったい何の騒ぎ? 驚き怯える彼女にレザが厳かに口を開いた。マギーはじつは彼の隣国の、暗殺された国王夫妻の娘だというのだ。そして彼女を腕にかき抱くと、蠱惑的な笑みを浮かべ宣告した。「君は生まれたときに僕と婚約した。それが君の運命だ」

■貧しいヒロインが磨き上げられ、別人のように生まれ変わる展開は、まるで『マイ・フェア・レディ』そのもの。人気のケイトリン・クルーズが描く、至高のシンデレラ物語をお楽しみください。

抄録

 マギーの魅惑的な目が鋭く細められた。「当ててみましょうか。あなたは王家の娘を救うために世界をめぐっている。行く先々で出会った王女を連れてきて、土曜日ごとに養子縁組のイベントを開いている」
 レザは気がつくとマギーの生意気な唇に引きつけられていた。そこから驚くべき言葉が飛び出すからという理由だけでなく。彼女の目に視線を戻せと、レザは自分に命じた。
「僕は昔から迷子にはやさしくしているよ、マグダレナ」低い声で言うと、あらわになっているマギーの胸元に鳥肌が立つのが見えた。彼女のこういう喧嘩腰で辛辣なところが、レザはありえないほど気に入っていた。「迷子たちにはいつも二つのことを伝えている」
「待って。一つはわかるわ」マギーの瞳が放つ光は、腹を立てているだけにしてはあまりに熱を帯びていた。「あなたがどれほど偉大な王かということでしょう。しかも、万一聞き逃した人がいると困るから、それを繰り返し伝えるのよね」
 ほかの誰かがこんな言葉を口にしたら激しい怒りを覚えただろう。だが、マギーのいたずらっぽい口調と表情のせいで予想外に愉快な気持ちがわき起こり、レザはそれを必死に抑えこんだ。彼女のふるまいに当惑しているのか、自分自身に当惑しているのか、あるいは両方なのか、自分でもわからなかった。
「一つめは」レザはマギーの言葉が聞こえなかったかのように言った。そのほうが無難なのは明らかだった。「彼らがもう安全だということだ。そして二つめは、僕を敵に回すよりは味方につけたほうがずっといいということだよ」
「従順な人たちには喜ばれるでしょうね」マギーは少しも懲りずにぶしつけに言った。「あなたの言うことをおとなしく聞くようになるに違いないわ」
 小さなテーブルに向き合って座り、マギーがまるで攻撃に備えるように用心深くこちらを見ている中で、レザはふと思った。僕はどんな結果になるかわからずに女性と関わることに慣れていないのだ。
 そういう状況になったことはこれまで一度もなかった。父親のせいで国が崩壊しかけているころ、ケンブリッジ大学に通い、自分は自由だという幻想にひたっていたときでさえも。レザにはずっと護衛がついていた。誰も彼のそばに来すぎないように、あるいは許可なく近づくことがないようにするために。
 そして今は在位中の王だから、自由にデートはできない。そのルールを曲げ、脅迫されるような立場に陥った父親を見てきたのだからなおさらだ。そもそも、デートをする機会さえない。王妃としてふさわしい女性を真剣に探す前は、まったく違うやり方でつき合う女性を見つけなくてはならなかった。王に出会いのチャンスはないからだ。恋人のいない者たちが集まるような店へ行ったとしても、何も起きない。許可も綿密な調査もなしに王の前に現れる女性などいないし、友人の友人との偶然の出会いもありえない。
 出会いは相談役たちが用意する。王が関心を持つに値する女性について詳しく記した分厚い人物調査書を持ってくるのだ。レザは気が向くとそれをめくり、興味を引く女性を見つける。そのあと、個人的に会う手はずが整えられる。たいていは今夜のように食事の席が用意されたり、忠実で口の固い古い友人が慎重に選ばれて同席したりする。
 そういうふうにして会う女性は確実だ。上品にたわむれ合いながら、レザがもっともらしいほめ言葉を口にし、女性のほうが畏敬の念を示す。一緒に席についた時点で、すでに彼女たちはレザのものだ。
 しかしながら、長らく消息不明だったこの王女はまったく違う。彼女は昔二人が婚約していたというレザの言葉を無視し、さらには、彼に敬意を抱いていないことを、高貴な身分に興味さえないことを隠そうともしなかった。その事実だけで十分驚くべきことだが、そのうえレザは、これから何が起きるかわからないという不慣れな状況に置かれてひどく落ち着かない気分だった。
 向かい側に座るマギーは少しもおじけづいていないようだ。僕が王だということははっきりわかったはずなのに。
「正確には、私にどうしてほしいの?」マギーの声がレザを現実に引き戻した。
 しばらくの間、レザは王でなく、完全に一人の男になっていた。そんな感覚を味わったのは初めてで、まるで父親の世界に投げこまれたような気がした。“私は王であると同時に一人の男だ”父親の声が頭の中に響いた。そのことにショックを受けるべきだったのに、レザはマギーの官能的な唇に夢中になっていた。その唇でしてほしいことに。
 いいかげんにしろ。今はそんなことを想像している場合ではない。
 だが体は、冷静で理性的な思考を完全に無視していた。マギーを求めていた。
 彼女が欲しい。
 生まれた日から僕の后となることを約束されていた女性だからではない。一人の男として彼女が欲しい。
 そんな自分の気持ちをどう扱えばいいのか、レザはまったくわからなかった。
「言っておくけど」ありがたいことに、レザの頭の中で何が起きているかにはまるで気づかないようすで、マギーが話しはじめた。「たとえ危険を冒すことになっても、私はあなたの望みどおりにはしないわ。それがどんな望みであろうと」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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