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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

十万ドルの純潔

十万ドルの純潔


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニー・ルーカス(JENNIE LUCAS)
 本屋を経営する両親のもとたくさんの本に囲まれ、アメリカ、アイダホ州の小さい町で遠い国々を夢見て育つ。十六歳でヨーロッパへ一人旅を経験して以来、アルバイトをしながらアメリカじゅうを旅する。二十二歳で夫となる男性に出会い、大学で英文学の学位を取得した一年後、小説を書き始めた。現在、幼い子供ふたりの育児に追われながらも執筆活動を通して大好きな旅をしているという。

解説

貧しいウエイトレスを、大富豪は買った。父の手で売られた、かつての恋人を。

雪が舞う2月の夜、レティは念願の恋をついにかなえた。ダレイオスは10年の間に、ギリシア人富豪として成功していた。そして彼女をやさしくベッドに誘い、喜びを与えた。ところが目を覚ましたとき、レティは彼からこう言われた。「きみは10万ドルで、バージンを売ったんだ」いったいどういうこと? レティは小切手を投げつけられ、深夜の寒い通りへ追い出される。まるで商売女のように。みじめに捨てられた彼女は、ダレイオスを忘れようとした。数週間後、小さな命が宿ったことがわかるまでは……。

■“ロマンスの新女王”の呼び声も高い、ジェニー・ルーカス。その評判にふさわしく、今作も冒頭から飛ばします!再会した恋人にバージンを捧げたとたん、捨てられたヒロイン。妊娠がわかって思い出したのは、「子供も金で買う」という彼の冷酷な言葉でした。

抄録

 レティことレティシア・スペンサーは、凍てつく二月の寒さに背中を丸め、ブルックリンのダイナーをあとにした。一日の仕事を終え、疲れはたまっていたが、重いのはむしろ心のほうだった。
 今日はいい一日ではなかった。
 着古したコートの中で身を震わせ、寒風の吹きすさぶ暗い通りを歩いていると、肌の出ている部分ににわか雪がふれた。
「レティシア」背後から声が聞こえ、レティは振り向いた。
 もう誰もわたしをレティシアとは呼ばない。レティシアのわたしは、甘やかされて育ったお嬢さまだった。でもレティのわたしは、家計をささえるために額に汗して働く、ニューヨークにいる無数のウエイトレスのひとりにすぎない。
 いまの声には、聞き覚えがある……。
 あの人の声みたい……。
 ハンドバッグのストラップを握りしめ、レティはゆっくりと振り返った。
 そして、息をのんだ。
 ダレイオス・キュリロスは、つややかな黒いスポーツカーにもたれていた。黒い髪に黒い瞳、目もくらむような美貌。黒いウールのコートに包まれた体はたくましい。
 一瞬、レティは自分の目を疑った。ダレイオス? どうして彼がここに?
 今朝、彼女の父はキッチンのカウンターに新聞を広げ、興奮した口調で言っていた。“この記事を読んだか? ダレイオス・キュリロスが二百億ドルで会社を売却したぞ!”
 父の目は鎮痛剤のせいで焦点が合わず、折れた腕は三角巾で吊られていた。“電話しなさい、レティ。あの男の愛情を、もう一度勝ち取るんだ”
 父がダレイオスの名前を口にするのは、十年ぶりだった。暗黙のルールは破られたのだ。けれどレティは、“仕事に遅れるわ”と言ってその場から逃げたのだった。
 そのせいでトレイを落としたり、注文の内容を忘れたりと、今日は失敗の連続だった。あげくのはてには、ベーコンエッグを客にぶちまけさえして、くびにならなかったのが奇跡に思えた。
 違うわ、とレティは息もできない中で思った。奇跡はこっちのほう――ダレイオスがわたしの目の前にいるほうだ。
 彼女は一歩前に踏み出した。「ダレイオス? ほんとうにあなたなの?」
 近づいてくるダレイオスは黒い天使のようだった。街灯の光の中で彼が白い息を吐き、足を止めてレティを見下ろす。光の加減でその顔には影が差し、表情は読み取れない。ふれたとたんダレイオスが消えてしまいそうで、レティは怖くて手を伸ばせなかった。
 手を伸ばしたのは、ダレイオスのほうだった。ポニーテールからこぼれ落ちた、レティの黒髪に指を巻きつける。「驚かせてしまったかな?」
 かすかなギリシア語のアクセントがある、低くハスキーな声に、レティの体は震えた。これは夢じゃないんだわ。
 本物のダレイオスだと思って、彼女の胸は高鳴った。十年のあいだ、レティは彼への思いを断ち切ろうとしてきた。それでも、夜になると考えずにはいられなかった。そのダレイオスがいま、目の前にいるのだ。「こんなところでなにをしているの?」
「我慢しきれなかったんだ」
 街灯に照らし出されたダレイオスの顔は少しも変わらず、レティは驚きに打たれた。ダレイオスは、彼女の記憶にあるとおりの姿をしていた。十八歳のとき、レティはいちずに彼を思い、禁じられた恋にのめりこんだ。そして愛する人を救うため、みずからの幸福をも犠牲にした。
 ダレイオスはレティの肩に手を置いた。薄いコートを通して彼のぬくもりが伝わってきて、レティは泣きだしそうになり、ダレイオスにこう言いたくなった。“どうしてわたしをこんなに長く待たせたの? もう少しで希望を捨てるところだったわ”
 そのとき、レティはダレイオスの視線に気づいた。彼はファスナーの壊れた、着古したコートを凝視していた。しかも彼女がその下にまとっていたのは、漂白をくり返してすり切れかけた、ウエイトレスの制服だった。
 レティは顔を赤らめた。「外を出歩く格好じゃないわね……」
「服なんかどうだっていい」声には奇妙な響きがあった。「いっしょに来るんだ」
「どこに?」
 ダレイオスがレティの手を取ると、電流のような衝撃が走り、彼女はうろたえた。
「ミッドタウンにある、ぼくのペントハウスだ。来るだろう?」
「ええ」レティはあえぐように答えた。
 ダレイオスは官能的な唇に笑みを浮かべ、スポーツカーの助手席のドアを開けた。
 座席に腰を下ろしたレティは、深く息を吸い込んだ。革の香りが鼻孔をくすぐる。ウエイトレスとして稼いだ過去十年分の給料をそっくりつぎ込んだとしても、こんな高級車は買えないはずだ。
 ダレイオスが運転席に座り、エンジンをかけた。スポーツカーは轟音とともに発進し、ニューヨークでもっとも観光客と富裕層が集まるマンハッタンを目指した。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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