マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

侯爵家の花嫁【ハーレクイン文庫版】

侯爵家の花嫁【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 サラ・クレイヴン(Sara Craven)
 イングランド南西部サウス・デボン生まれ。海辺の家で本に囲まれて育った。グラマースクール卒業後は、地元のジャーナリストとして、フラワーショーから殺人事件まで、あらゆる分野の記事を手がける。ロマンス小説を書き始めたのは一九七五年から。執筆のほかには、映画、音楽、料理、おいしいレストランの食べ歩きなどに情熱を傾けている。サマセット在住。

解説

「マリサ、君を連れて帰る。跡継ぎを産んでもらうために」別居から8カ月、突如イタリア侯爵家の血を引く夫が現れた。生前に、母親同士が決めた年上の婚約者ロレンツォを、孤児のマリサは密かに慕い、結ばれる日を心待ちにしていた。だが、彼にとって結婚とは一族の義務であって愛などなかった。マリサは結婚式でロレンツォを激しく拒絶するが、初夜を強引に奪われて、傷ついて、家を飛びだしたのだ……。侯爵家に育ててもらった恩あるマリサに逃げ場はない。今度こそ、妻としての“責務”を果たさなければならないのだ。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「名づけ親は石段の往復で健康を保てると言っていたよ」彼は少し愉快そうに言葉を添えた。「彼の奥さんも毎日プールまで下りていくそうだ。これは妻殺しの計画の一つかしら、と言いながらね」
 マリサは手すりにもたれて庭を見渡した。「あなたも同じ計画なの?」軽い冗談は続ける価値がある。
「まさか」ロレンツォは彼女を見つめたまま、物憂げに応じた。「|美しい人《ミーア・ベツラ》、僕は君を生き生きとさせたいんだ」
 マリサは少し頬を染めながら思った。こんな答えが返るなら、彼を黙らせておくほうがよかった。
 イタリアの遅い食事に慣れてはいたものの、夕食がようやく出されたころには、マリサは一日の疲れに襲われていた。申し訳ないことに、エヴァンジェリーナのすばらしい料理、とくにメインである鯛の料理もあまり喉を通らない。
 ロレンツォは彼女の食欲のなさに気づいた。「おなかがすいてないのかい? それとも、別のものがいいのかな?」
「いいえ」マリサはあわてて否定した。「このお魚はとてもおいしいわ。ただ、疲れているだけ……それに、頭痛もしてきて」だめ押しのひとことだった。「エヴァンジェリーナにあとで謝っておいていただけないかしら。私はこれで失礼させてもらうから」
「かまわないよ」ロレンツォは礼儀正しく立ちあがった。「|おやすみ《ブオナ・ノツテ》」
 マリサは静かにドアへ向かいつつ、逃げだすように見られまいと必死だった。彼は一瞬たりとだまされないだろうが、とにかく行かせてはくれた。
 寝室に入ると、ベッドの上掛けが折り返されていた。嫁入り衣装の一つであるシルクのナイトドレスが、見た目も美しく置いてある。
 これも舞台セットの一つだ。けれども、ありがたいことに今夜の劇は終わった。
 マリサはラベンダーの香りがする温かい湯につかったあと、ナイトドレスに着替えた。嫁入り衣装はどれも、自分ではなくロレンツォの趣味を考えて選んである。もっとも、彼の趣味を知っているわけでも、知りたいわけでもなかった。ただ、細いリボンの肩ひもがついた薄手のドレスなら、たいていの男性は魅力を感じるだろうと思ったのだ。
 彼女はベッドに入り、枕にもたれた。ラベンダーがまだ香っている。妙に心が重たいのはなぜだろう。
 眠るのがいちばんだ。朝には物事もよく見えてくる。心を決めて横向きになったとき、不意に物音がした。
 はね起きてドレッシングルームのほうを見ると、ドアが開いてロレンツォが入ってきた。
「何かご用?」マリサはかすれた声できいた。
「奇妙な質問だな。初夜に寝室を訪れた夫に対しては」
 マリサは枕を背にして、近づく彼を見つめた。黒いシルクのローブ姿で、胸を大きくはだけている。下に何も着ていないのか、足は素足だ。
 彼女は顎を突きだした。「私、疲れていると言ったでしょう。わかってくれたと思ったのに」
「頭痛もするということだったね」ロレンツォはうなずいた。「僕を遠ざける口実はほかにもいろいろ思いついたかもしれないが、それは今後のために取っておくといい」ベッドの端に腰かける。
 ベッドが大きいので、彼との距離は充分にある。それでもマリサは安心できなかった。後ずさりしたいけれど、おびえていると思われたくはない。
「まだなんの用か答えていないわ」マリサは警戒心あらわな声音で言った。
「おやすみを言いに来たんだ」
「それなら階下ですませたでしょう」
「しかし、お互いにまだ話すことがあるんじゃないか?」ひと呼吸おく。「僕らは出だしでつまずいた。この種の問題は早めに解決したほうがいい」
「ど……どういう意味?」
 ロレンツォは上掛けの刺繍を指でたどった。「式のあとで君は言ったね。僕が熱心に求愛しなかったようなことを。だが、僕がよそよそしくしたのは、君がそれを望んでいると思ったからだ」
「ええ、望んだわ。そう言ったでしょう」
「その気持ちが本当だったとしたら」彼は静かに言った。「なぜ、わざわざ口にした?」
「この結婚は見せかけの茶番だと教えたかっただけよ」マリサは反抗的に答えた。「それがしきたりだからって人前でお芝居をする気はない、と」
「なんと立派な信念だ」彼は姿勢を変え、さらに近づいた。「だが、いまは二人きりだ。僕が君に何を頼もうと、誰も見ている者はいない」
 マリサは喉をごくりと鳴らした。「だけど……約束したじゃないの……頼んだりしないと」か細い声になる。「だから出ていって……お願い」
「すぐに出ていくとも。用事をすませたら」
「い、意味がわからないわ」
「簡単さ。おやすみのキスをしたいんだ、マリア・リサ。けさ君が拒んだそのかわいい唇に」
 マリサは彼を見つめた。「でも、待つって……」
「待つよ」彼は身を乗りだし、マリサの顔からほつれ毛をそっと払った。「でも、思わないか? 妻として、僕のキスに少しは慣れたほうがいいと」
「それで?」息を切らした彼女の声はとても幼く聞こえた。「私はキスの魅力に負け、ついにあなたを求めるようになるわけ?」首を振って続ける。「いいえ、いくら体裁をつくろっても、あなたが私を買った事実は変わらないわ。なんであれ、あなたが私にすることは、合法的なレイプよ」
 恐ろしい沈黙のあと、あまりにも平静な、抑揚のない声で彼は言った。「二度とそんな言葉は使わないでくれ、マリア・リサ。わかったね? 無理強いしないというのは本当だ。だが、二十四時間のうちに二度も僕の忍耐力を試すのは賢明じゃない」
「とにかく、私はキスをする気はないの」反抗的に顔を上げる。「だから出ていって、いますぐ」
「どうかな」ロレンツォは彼女の肩に手をかけ、引き寄せた。決然とした顔から、その意図は明らかだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。