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憎しみの代償【ハーレクイン文庫版】

憎しみの代償【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 リン・グレアム(Lynne Graham)
 北アイルランド出身。七月三十日生まれの獅子座。十代のころからロマンス小説の熱心な読者で、初めて自分でロマンス小説を書いたのは十五歳のとき。大学で法律を学ぶと同時に、十四歳のときからの恋人と卒業後に結婚。この結婚生活は一度破綻したが、数年後、同じ男性と恋に落ちて再婚するという経歴の持ち主。イギリス郊外に家と五エーカーの森林を持ち、そこで現在、スリランカとグアテマラからの養子を含めた五人の子供を育てている。時間のあるときは大好きな庭仕事に励み、得意のイタリア料理に腕をふるう。小説を書くときのアイデアは、自分自身の想像力とこれまでの経験から得ることがほとんどで、彼女自身、今でも自家用機に乗った億万長者にさらわれることを夢見ていると話す。ロマンス映画も大好きだが、ハッピーエンドでないものは好きではないという。

解説

17歳のときに両親を亡くしてから7年間、セアラは自分を犠牲にして妹の幸せのためだけに生きてきた。だが、最愛の妹は、ギリシア人の愛人に捨てられたあげく、19歳になったばかりで赤ん坊を遺してこの世を去ってしまった。それはすべて愛人の兄アレックス・ターザキス――気が遠くなるほどの富豪で権力を一手に握っている男が、ふたりの結婚を頑として許さなかったせいだった。しかも、アレックスは妹の葬儀の日に現れたばかりか、端整な顔に冷酷さを滲ませて、セアラに赤ん坊を渡すよう告げた。
*本書は、ハーレクイン・クラシックスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「教えてくれないか」アレックスが厳しい口調で言った。「どうやったのかね?」
 どうやったって何を? リムジンの後部座席で、セアラはちらりと彼を見た。できる限り離れて座ったつもりでも、まだ近すぎる。この人のそばにいるとなぜこうも落ち着かないのだろう? 結婚登記所での式を終えたあと、彼が口をきいたのはこれが初めてだった。
 だが、アレックスはさっきからこちらを見てばかりいる。相手が彼でなければ、私のあまりの変身ぶりに口もきけないのだとも考えられる。でも、美女に取り囲まれている彼に限ってそんなはずはない。
「なんのこと?」セアラは新しい夫には目もくれず、後続の車を心配そうに見やった。ニッキーがあの車に乗っている……新しく雇った乳母と一緒に。
 乳母のブラウンは、アレックスから泣きわめくニッキーをぽんと手渡され、すかさず言ったのだった。“ずいぶん甘やかして育てられましたね”セアラは乳母など欲しくなかった。ニッキーはこの手で育てたい。だが今はそれを持ち出すときではないだろう。
「たったひと晩かそこらで、どうやってそれだけ変身したんだね?」
 彼の皮肉にセアラは頬を染めたが、それでも顎をつんと上げた。「イメージ・コンサルタントを雇っただけです」
「えっ?」彼は狐につままれたような顔をしている。
「どうすればいいかわからないときは、専門家を雇えばいいんです」
「そんなことを、なぜ今まで知らなかったんだね?」
 セアラは、アレックスの視線が自分の唇に向けられているのに気づいた。ふっくらとした唇が、靴と同じピーチ色の口紅に彩られている。この人はどうしたのかしら? こんなばかなことをきくなんて。もともと専門家を雇えばいいと言ったのは彼なのに。
「おしゃれについては、よくわからないの。正直言って、今までは時間も興味もなかったし……」セアラは挑戦するかのように言葉を切った。「それに、お金も」
「だが、お金なんて雀の涙しか使っていないじゃないか」
 冗談でしょう。私にすればひと財産使ったつもりなのに。ブランド物こそ買わなかったが、今、彼女のワードローブには流行に左右されないセパレーツやスーツがずらりと並んでいる。そのうえ、さまざまな色の靴まで。それに、あのコンサルタント料の高かったことといったら!
「あれでは、使ったとも言えないね」アレックスは繰り返した。視線はまだセアラの優雅な姿に吸いつけられたままだ。
 どうやら彼は本当にそう思っているらしい。いいことだわ。少なくとも、この人がけちでないことだけはわかったのだから。
「僕のために、それほどきれいになってくれるとは嬉しいね」
「あなたのため?」なんということだろう。このうぬぼれ屋さんは、勝手に解釈してひとり悦に入っている! 「これはニッキーのためよ。なぜ、あなたのためにしなければならないの?」
「ニッキーのため?」
「あの子に恥をかかせたくないから……」
「まだ、生まれて六週間しかたっていないのに?」アレックスは信じられないといった顔で、セアラをにらみつけた。「じゃあ、僕の立場はどうなるんだ?」
 怒ると彼の高い頬骨がいっそうきわ立つ。どうやら、かなり腹を立てているらしい。男性のエゴって、こんなにもろいものなの? 結婚はあくまで便宜上のもの。しかも私を死ぬほど嫌っているのに? そういう人のために、なぜ美しくなる必要があるの?
「そんなふうに見つめないでいただけないかしら?」
「ほかにどうしろと言うんだね?」彼はこともなげに言い返した。「君は見違えるほど美しくなった……それにその髪……」
 声がかすれ、妙に荒々しい。セアラはたじろいで、自分のほうに伸びてくるしなやかな手を呆然と見つめていた。
 彼がそのすんなりした指を、セアラの髪にゆっくりとからませた。追いつめられ、息を殺してセアラはただ震えていた。
 これは、いったいなんのまねかしら! 彼の気をそらそうと、セアラはほとんどあえぐような声で言った。「乳母なんていらなかったのに」
「乳母?」彼は、耳慣れない言葉を聞いたかのようにつぶやいた。
「ニッキーの世話は、私が自分でします」
「君は僕のことだけで、手いっぱいのはずだが?」彼がベルベットのようになめらかな声で言った。
「使用人がいるじゃありませんか」
「いや、僕にはもう妻がいるんだから」アレックスはセアラのそばに寄ってその顎に指をかけ、じっと見つめた。
「その手を離して!」思いがけないアレックスのふるまいに、セアラは両腕で思いきり彼の胸を押し戻した。
「やれるものなら、やってみるんだね」
 エメラルドグリーンの瞳が燃え上がり、荒々しい金色の瞳を真正面からとらえた。その瞬間、セアラの全身に電流のようなものが走った。てのひらを通して、アレックスの体温と、たくましい胸の鼓動が伝わってくる。そのうえ男っぽいコロンの香りが鼻をくすぐる。なんてエロティックな香りかしら。エロティック? ああ、神様。いったいどこからこんな思いがわいてくるの?
 かすかな笑い声をあげて、アレックスがゆっくりと体を離した。優雅で自信に満ちた、自分の魅力を存分に心得ている態度だった。彼は相変わらずセアラを見つめている。だがその冷静な目には、何か今までとは違ったもの――言葉ではうまく表現できないようなものが浮かんでいた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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