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国王陛下の逃げた花嫁

国王陛下の逃げた花嫁


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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解説

私の指で、口で、感じてみろ
オレ様国王の強引ラブ

「本当に嫌なら、私を突き飛ばして逃げてみよ」王宮に刺繍師と勤めることになった没落令嬢のアメリアは、寝室に忍んできたと勘違いされ、国王アウロに襲われる。誤解は解け、王の婚礼衣装を刺繍することに。何度も呼び出されては執拗に求められ、拒めず初めての快楽に蕩けてしまうアメリア。身分違いで婚約者もいるアウロへの想いに苦しむが……。

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

 王は許嫁を亡くし、今また新しい妻を迎えようとしている。過去の恋を忘れようとしているのだろうか。
 王であれば、たとえ許嫁を失った悲しみが癒えていなくとも、世継ぎを作るため結婚が必要なのかもしれない。おそらく寝室の模様替えは、かつての許嫁を忘れ、新しい生活になじむためのもの……。
 王の不運に寄り添い、その心情の安定に寄与できることは臣下として喜びであるはずなのに、なぜかアメリアは悲しかった。
 理由はわからない。亡くなった許嫁に今なお気持ちを残す王に対し、女性としては温かいものを感じるはずなのに、自身の心のどこにも潤いがない。
 そんな自分に、アメリアはなんとも嫌なものを感じていた。
「アメリア。そなたならこの部屋をどう変える」
 王が再び問うた。
 アメリアは内省を断ち切るように口を開く。
「は、はい……。まず、天蓋の垂れ布をもっと深い赤色のものに変えます。窓にかかる布も、そうですね……薄茶色にしたらいかがでしょうか。細かい模様のある布であれば、華やかさが損なわれることはないと存じます。家具も重みのある深い茶色に統一して、その代わりに季節の花を飾られたらどうでしょうか。寝台の掛け布なども薄茶色系にすれば、落ち着いてお休みいただけるのでは……」
 王が自分をじっと見ているのに気づき、アメリアは口を閉じた。
「ちゃんとしゃべれるではないか」
「え?」
 王は笑った。
「アメリアはどうも遠慮がすぎる。その調子でたくさん話をしろ」
「し……失礼いたしました」
「失礼などしていない。おどおどするほうがよほど失礼だぞ。だいたい、アメリアは私の命を忘れているだろう」
「命……?」
 なにか命じられていただろうか。アメリアは必死に記憶を辿る。
「ふたりのときには私をなんと呼べと言った?」
 アメリアはハッとした。
「……ア……アウロ陛下……と」
「陛下はいらない。アウロと呼べ、と言ったはずだ」
「は……はい。申し訳ございません」
「謝る必要はない」
 アウロ王はため息をついた。
「ノイマンでは違うのかもしれんが、ヴァレンテは堅苦しいことを嫌う国だ」
「……そうでございますか」
「死んだ許嫁もずいぶんと好き勝手にやっていた。アメリアと足して二で割ればちょうどよいのかもしれんな」
 アウロ王は笑ったが、アメリアには意味がわからなかった。
 いや、もっと寛いで自由にせよ、ということだと理解できるが、そこに亡き許嫁が出てくる理由がわからない。同じ女性という括りだろうか。
「まあとにかく、アメリアの助言どおりにしてみよう。女性を大切にするのはヴァレンテのよき伝統だからな」
「……」
 ますます意味がわからなかった。
 自分は家具の専門家でもないし、内装の勉強をしたこともない。専門家に任せたほうがいいのではないだろうか。
 しかし、そんな指摘ができるほどアメリアは図太くなかった。
「模様替えが終わったら呼ぶゆえ、すぐに来るのだ」
「は、はい……」
「アメリア」
 アウロ王は手を伸ばしてアメリアの腕を掴む。どきん! と大きく鼓動がした。
「もっとこちらへ寄れ。近づくのだ」
「は、はい……」
 アメリアは椅子をずらし、斜め前方に座る王へ少しだけ近寄った。
「そうではない。立って前に来い」
 王命に否は言えない。アメリアは椅子から立ち上がって王の前に立った。
 じっと見つめられ、なぜか胸が高鳴る。
「やはりアメリアの瞳は美しい。もっとよく見せよ」
 そんなことはないと思う。王の黒い、宝石のように輝く瞳のほうがよほど綺麗だ。
 でもそれは恥ずかしくて口に出せなかった。
「……承知しました……」
 心臓の音が聞こえるのでは、と思いながら、アメリアは膝を折って王に顔を近づける。
 王はじっと視線を寄せてくるが、アメリアは王を見返すことができずに視線を逸らしてしまう。
「唇も愛らしいな」
 王の呟きが聞こえた瞬間、何かが口をふさいでくる。
 王の黒髪が頬に触れていた。
 なにが起こったのか理解できないままに、アメリアは口を吸われていた。
 驚きで思わず体が逃げる。
 しかし王はそれを許さず、アメリアの後頭部を強く押さえた。
 身動きできなくなり、アメリアは突然の出来事に耐えるしかなかった。
 息を吸うことも叶わない。
 やがて王の唇が自分のそれをこじ開け、舌が入ってきた。
「!」
 その瞬間、アメリアの体を戦慄が走り抜けた。
 王の舌がまるで生き物のように口内でうごめき、自分の舌と絡まった。
 接しているのは顔だけなのに、下半身に痺れが走る。
 かつて王に下着の中をいじられた感覚がまざまざと蘇り、アメリアはどうしたらよいかわからなくなった。
 しかし相手は王。拒否するという選択はアメリアにはない。
 王の舌はアメリアの歯ぐきを撫で、舌を吸ってきた。
 強い衝撃が下半身から駆け上がってくる。
 これは恋人同士の口づけだと、さすがのアメリアにもわかった。
 しかしどうして王がそんなことをするのか理解できない。
 ヴァレンテの男は手が早い、と散々聞いた。そういうことなのか。私はもてあそばれているのか……。
 たまたま目の前にいる女に、王は戯れに口づけているのだ。私にとっては初めての口づけなのに……。いつか愛する男性が現れたときに、そのひとと……と思っていたのに。

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