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王子様と秘蜜の戯れ

王子様と秘蜜の戯れ


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆2
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解説

俺が教える快感をもっと覚えてくれ
手練れな王子は恋の初心者!? 一途な溺愛ロイヤル・ラブ

公爵令嬢のベルは18歳の誕生日までに婚約者を見つけなければ、両親の遺産を相続できない。期日まで残り三カ月になったある日、ベルは思い出の庭で王子・ステファンと再会した。「月光の妖精」と呼ばれ、甘美な指技で心と身体を優しく激しく開かれ、恋心は高まるばかり。しかし、相続問題とステファンの他の婚約者のことが頭から離れず……。

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「…………それより、私の髪を放してください。妻でも恋人でもない女性の髪に触れるのは失礼です」
「ホーク家の令嬢に一夜の恋人を求めるわけにはいかない。月光の妖精が消えていなくなっては困る……が、これくらいなら許されるだろう」
「そういう恥ずかしい言葉を使わないでください……あっ」
 さっきよりも強引に髪を引っ張られて、ベルはステファンに抱き留められる。
 昨夜からここにいたと言っていた彼からは、汗臭いどころか爽やかな香りがした。
 王子様ってこんなにいい匂いがするものなの?
「え? な、何! ちょ……ちょっと! 王子っ!」
 お父様以外では生まれて初めて。こんな風に、男の人にぎゅって抱き締められるのは初めてなのに、こんなにドキドキしちゃっていいの? 「わたしの王子様」にぎゅって……夢みたい。顔が熱くて死にそう。
 このままでは心臓が破裂してしまう。
 なのに体は石になったように動かない。ぬくもりが手放しがたくて動けない。こてんと頭をステファンの胸に乗せると、彼の心臓の鼓動が聞こえてきた。
 もの凄い速さで心臓が動いているのを聞いて、もしかして緊張しているのは自分だけではないのかもしれないと、急に嬉しくなった。
「あの」
「ん? なんだ?」
「王子もドキドキしてます?」
「当然だろう? 月光の妖精を抱き締めているのだ。ときめくに決まっている」
「その……お揃い、です。私も……胸が苦しいくらい……。お気に入りの場所が、これからもっとお気に入りになりそう……」
 両親とお茶を楽しむときは、いつもここだった。
 大勢の使用人に囲まれて、時折、伯母やエルセットが訪れ、みなで楽しいひとときを過ごした。令嬢として過ごしたベルの、楽しかった思い出がここに詰まっている。
「それはよかった。だが俺に抱き締められているのだから、もう少し、違うセリフが聞きたいのだが?」
「それは王子が勝手に……」
 勝手にされたことだけれど、こんなに嬉しいことはない。私の一番大事な思い出として、心の奥底にしまっておくわ。絶対に誰にも言わない。私たちだけの秘密にしたい。
「剣術の練習をずっと覗いていたくらいだから、いっそ、俺が戦うところでも見せたらときめいてくれたかもしれないな」
「……っ!」
 にっこり笑って言われた。
 王子は、幼いベルが稽古を覗き見をしていたことを、知らない振りにするつもりはなかったようだ。
「は、恥ずかしい……。忘れて……忘れてください! 幼い私がしたことは忘れて!」
 大きな声を出しても「王子様」と憧れた相手に覗きがバレていたのは変わりない。
 素敵な、大事な思い出の王子様であるステファンに、自分を「月光の妖精」と呼んでくれた彼に幻滅してほしくなかったのに。
「元気な声だ、ベル。俺は君の、そういうおてんばなところは嫌いではない」
 耳元で優しく囁かれて、体に熱が集まる。きっと顔は真っ赤だ。
「お、おてんばどころか……覗き見なんて、はしたないですっ! 令嬢はもっとこう、しとやかでなければならないのに……」
「いやいや、なかなかにみな、コッソリと覗いているものだぞ? 俺など、城外に一歩出れば常に注目される。覗かれることも多い。ベルがそこまで気に病まなくてもいい」
 ステファンはカラカラと笑いながら、優しくベルの髪を撫でる。
「……覗き見ははしたないこととわかっているから、それがきっかけであなたが私と出会っていたことを思い出さないように頑張ったのに……」
「最初からわかっていたが、君が余りにも必死に演技をするから、それに乗ってみたまでだ。女優には到底向かないな。酷い演技だ」
「自分でもわかってます。頑張った甲斐はなかったです。ではもう、お戯れはやめて城にお帰りください、王子」
 これ以上ドキドキしたら、もっと大変なことになっちゃう。好きになっちゃいけない。憧れのままでいなくちゃだめなの。
 なのにステファンは、ベルの気持ちなど構わずに彼女の髪を撫でている。
「あの、本当に……もう、離して……」
「俺は名残惜しい。ベルがこんなに面白い令嬢だとは思わなかった! 俺が招待するから舞踏会へ来い。一曲踊ろう! そして、夜通し語ろうじゃないか!」
 美しいドレスを着てステファン王子と踊る。それはなんて素敵なことだろう。
 でも、今日出会えたことがご褒美だと思わなくちゃ。私は名ばかりの公爵令嬢。私と踊ったらあなたが笑われてしまうわ。
 ベルはステファンの胸で首を左右に振った。
「それは無理です。もう帰るから、本当に……離してください」
 ベルの低く暗い声に、ステファンは慌てて彼女から手を離す。
「泣いているのか?」
「泣いていません。人前で泣くのは恥ずかしいことって習ったもの」
 のろのろと顔を上げてステファンから離れようとしたのに、彼の指先で頬を撫でられて動けなくなった。
 そんな優しく触らないで。
「今にも泣きそうな顔だ。俺がそうさせているのか?」
「違います……では王子、もうこ、こんな荒れた庭には来ない方がいいと思います。幽霊屋敷の敷地に王子が入って行くらしいと、変な噂が立ってしまいますから……」
 最後に「ごきげんよう」と言って立ち上がるつもりだった。
 なのにステファンがベルの腕を掴んで引き寄せ、彼女の唇にキスをする。
 ふわりと。
「別れの挨拶がないのは寂しい」
 触れるだけの、ほんの一瞬の接触だったが、ベルにとって人生初体験のキス。
「な、な、何するんですかっ! おやすみのキスじゃないんですよっ! 初めてなのに、こんな、いきなり……っ!」
 ベルは衝撃が強すぎて、考えるより先に体が動いた。
 気がつくと、ステファンの左頬に気持ちよく平手打ちを決めていた。

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