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復讐とは気づかずに【ハーレクイン・セレクト版】

復讐とは気づかずに【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジャクリーン・バード(Jacqueline Baird)
 趣味は油絵を描くことだったが、家族からにおいに苦情を言われ、文章を書くことにした。そしてすぐにロマンス小説の執筆に夢中になった。旅行が好きで、アルバイトをしながらヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回った。英国に戻ったときに結婚。二人の息子に恵まれ、現在も生まれ故郷のイングランド北東部に夫とともに暮らしている。「二人のバレンタイン」と「恋は強引に」がお気に入りの作品だという。ロマンティックタイムズ誌の賞の受賞歴があり、ベストセラーリストにもたびたび登場する。

解説

シャーロットは、画家だった父の遺作展覧会で、若きイタリア人実業家のジェイク・ダマートと出会った。遺作となった裸婦画のモデルは、父の若い愛人で、ジェイクの妹だったのだが、シャーロットが知るはずもない。自分がジェイクにとって、憎き男の娘であることなど露知らず、シャーロットはその謎めいた魅力に強く惹かれていった。誘われるままバカンスに同行し、ジェイクに身も心も捧げたが、休暇が終わると、彼からの連絡はぱたりと途絶えた。わたしは弄ばれたんだわ――シャーロットは打ちのめされた。体の中に息吹いたばかりの小さな命が、愛の証ではなかったことに。

■HQロマンスで不動の人気を誇るJ・バードが描く、手練れのラテンヒーローと無垢なヒロインのロマンスです。非情なヒーローはヒロインを翻弄しますが、同時に彼女のピュアな愛に心溶かされていくのです。愛憎の螺旋の終着地を見届けてください。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 ジェイクは一心に絵を見つめている。黒い目の表情にシャーリーは平手打ちを食らったような衝撃を受けた。この男性は絵に心を奪われている。
 でも大金を払って買い求めたほどだから、魅了されて当然だ。シャーリーは、彼の注意を絵からそらしたい衝動に駆られ、そんな自分に内心で悪態をついた。
 確かにジェイク・ダマートは太った中年男性ではなかったが、そのほかの点では予想は当たっていた。彼は裕福だ。自信にあふれた態度、デザイナーズスーツからオーダーメイドの靴、高価な絵を買っても平然としている様子を見ればわかる。しかし残念ながら、裸の女性の絵に夢中になる男性であることに変わりはない。
 とても理想の男性とは言えない。すでにずいぶん長い時間この会場にいたから、頭がおかしくなっているのだろう。シャーリーはバッグを固く握り締め、脇に一歩寄って、ふたりの間に距離を作った。
「それでは、ごゆっくり、ミスター・ダマート。そろそろ失礼します。お会いできてよかったわ」自分を見失ってこれ以上ばかなまねをしないように、くるりと後ろを向き、人々の間を縫って退散した。
 洗面所に入ると、シャーリーは鏡をのぞき込んだ。顔は上気し、青い目は異様に輝いている。父と同じようなタイプの男性にこんな影響を及ぼされるなんて……。父を愛してはいたが、こと恋愛に関しては、かかわり合いになりたくないと思っていた。
 そのとき、ふとある考えが浮かんだ。ジェイク・ダマートも既婚者かもしれない。そう思うと、そんな男性に心を騒がせた自分がますます滑稽に思えた。さっさと元の自分に戻らなければ。タクシーでアパートメントに帰ろう。簡単に夕食をすませ、あとはゆっくり過ごす。男性のことで心を惑わされるのはごめんだ。彼女は背筋をまっすぐに伸ばして洗面所をあとにし、早足で建物の外へ出た。
 舗道に立って通りを見まわしたが、タクシーは一台も目に入らない。「まったく」小声でつぶやいた。
「おやおや、ご機嫌ななめのようだね」低く渋い声には、からかうような調子があった。
 振り向くと、目の前にがっしりとした体があった。「あら、ミスター・ダマート」落ち着き払って言ったが、頬が赤らむのはどうしようもなかった。
「ジェイクだよ。どうしたんだい、シャーロット? ぼくでお役に立てるかな?」
 名前の呼び方に親しみが感じられ、シャーリーは肌がほてった。「みんな、シャーリーと呼ぶのよ。タクシーをつかまえて帰ろうとしていたの」
「きみのように美しい女性には、シャーロットという名前のほうが似合うよ。タクシーだったら、心配いらない」彼の笑顔はとても魅力的で、シャーリーは笑みを返さずにはいられなかった。「ぼくの車はあそこだ」十メートルほど先の黄色い駐車ラインの内側に、ネイビーブルーのセダンが街灯の光を照り返していた。「送っていくよ」
「いいえ、ご迷惑でしょうから――」
「ディナーのほうがいいかな。よし、そうしよう」
 五分後、シャーリーは高級車の助手席に座っていた。結局ジェイクに押しきられ、ロンドンの有名なレストランへ行くことになった。
「いつも自分のやり方を押し通すの?」
 ジェイクはわずかに助手席に体を向けた。腿と腿が触れ合う。「いいや、いつもというわけではないよ」まじめな顔をして答えた。黒い目がシャーリーの視線をとらえる。親指と人差し指で彼女の小ぶりな顎を挟み、顔を運転席へ向けさせた。「でも、物でも人でも、本当に欲しいと思ったら、必ず手に入れることにしているんだ」
 シャーリーは大きく息をのみ、気の利いた言葉を返そうとした。だが、肩をなでられ、喉にものがつかえたようにひと言も発することができなかった。体が引き寄せられ、唇が重なる。キスに情熱がこもっていくと、シャーリーの体は奥底から燃え上がった。初めて経験する感覚だ。彼が欲しいという思いが込み上げ、無意識に手を伸ばし、広い肩を触ろうとしていた。だが手は届かなかった。
「|まいったな《デイオ・ミオ》」ジェイクはイタリア語で悪態をつき、彼女の手を取ると押し戻した。シャーリーの茫然とした顔に細くした目を向け、唇のあたりにすえた。「きみはなかなかの女性だよ」じっと見つめるジェイクの目の奥に、怒りのような表情が浮かんだ。ジェイクはシャーリーの鼻のてっぺんに軽くキスをしてから先を続けた。「まずはディナーだ」いたずらっぽく笑ってからエンジンをかけ、車を出した。
 シャーリーは黙り込んでいた。自分の身に起こったことが、信じられない。常識や冷静さはどこへ行ったの? 一回のキスで、何もかも吹き飛び、興奮に体が溶けてしまった。驚きなのは、どうやらジェイクも同じように、わたしに引かれているらしいということだ。彼の心臓の鼓動や、唇を離すときに身を震わせた様子から、その思いを感じ取れた。
 断ろうとしていたディナーが、急に魅力的なものに思えてきた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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