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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ 別冊

秘書は危険な職業

秘書は危険な職業


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ケイ・ソープ(Kay Thorpe)
 シェフィールドで生まれる。学校を卒業後、さまざまな職種を経験。趣味で書いた最初の作品が1968年のデビュー作となり、小説家の道を歩む。それ以後、50作以上を発表している。現在は夫、息子、愛犬のシェパード、幸運を呼ぶ黒猫とともに、イングランド中部のチェスターフィールド郊外に住む。読書、ハイキング、旅行が趣味。

解説

大企業に重役の秘書として派遣されたトリシアは、オフィスに入った瞬間、息をのんだ。リー・スミス――3年前、ふたりは休暇中の豪華客船で、熱く燃え上がる3日間を過ごした。だが彼は、トリシアを――エマという偽名を使い、自由奔放なブロンド娘を演じていた彼女のことを、覚えてはいなかった。短い恋が胸に深い傷を残して終わりを告げて以来、トリシアは二度と恋などしないと心に誓い、仕事に打ち込んできた。それなのに、まさかこんなところで彼とまた会うなんて! リーは淡々とトリシアに翌週の出張旅行への同行を命じてきたが、やがて彼女が何者かに気づくと……。

■再会をテーマに〈忘れえぬ記憶〉と銘打ちお贈りする企画第1弾は、ドラマチックなストーリーで人気のケイ・ソープ。ボス&秘書のスリリングな恋物語をお楽しみください。

抄録

 二人はヴェランダデッキに二つあるバーの、小さいほうに入った。五時近いのでトリシアはドライマティーニを飲んだけれど、オリーヴは食べられなかった。
 それを見てリーが言った。「ぼくもあんまり好きじゃないんだ。この次オーダーするときは、オリーヴ抜きにすることを忘れないようにするよ」
 トリシアはおかしそうに笑った。「この次があるって、あなた、ずいぶん自信があるのね?」
「もちろんさ。船で最高の美人を、このぼくがほかの誰かに独占させるとでも思うのかい?」
「まだくらべるチャンスなんかなかったはずよ。そこまで言いきるのは早すぎるんじゃない?」
「ぼくには早すぎないよ。きみはどんな人ごみの中でも際立ってる。ぼくがこのクルーズに興味を持つようになったのも、きみが乗船してくるのを見たときからだもの」
「それじゃ、なぜクルーズに加わったの?」
「医者の命令さ。悪性のインフルエンザにかかって、すっかり弱ったんだ。潮風にでも当たれば回復すると言われてね。三週間も無為に過ごすのかとうんざりしていたんだが、それも乗船するきみを見つけるまでのことだった。西インド諸島には行ったことがあるの?」
「いいえ。わたしは同じところに二度行くのはいやなの。このクルーズを選んだ理由のひとつも、そのせいよ」嘘ではなかった。外国はフランスとイタリアしか知らないことは、この際問題ではない。
「理由のひとつというと?」
「しばらく逃げ出したかったの」
「男性問題?」
 そこまでは考えていなかったが、その設定も悪くなかった。「もう、うんざり」
「いいね。それじゃぼくたちは、二人とも何にも縛られない自由の身ってわけだ」
 クルーズの第一週は飛ぶように過ぎた。トリシアの目覚めている時間のほとんどすべてを、リーが独占した。毎朝七時に、二人は顔を合わせ、デッキでジョギングをした。プールサイドでスープを一杯飲み、別れてシャワーを浴び、朝食のために着替える。
 リーの部屋は上甲板の特等船室だった。自分の船室を広くて居心地がいいと思っていたトリシアは、そのあまりの豪華さにショックを受けた。寝室部分はアコーディオンドアで仕切ってあり、居間の部分だけでも、トリシアの自宅の寝室兼居間より広かった。
 夕食のあとお酒に誘われて初めてリーの部屋を訪ねたとき、トリシアが感心すると、リーはまったく気にかけない口調で言った。「まあ、悪くはないな。きみもこのデッキに部屋をとればよかったのに」
「そうね」そうつぶやきながら、トリシアは心の中で、ずいぶん高くつくけれど、と言い添えた。明らかにリーにとってお金は問題ではない。そういう暮らしに生まれついているのだ。自分はそうではないと気づかせるつもりはなかった。二人の生活があまりに隔たっているのを知ったら、リーはきっとわたしへの関心をなくしてしまうだろう。
 ありがたいことに、なぜかリーはトリシアの過去にあまり興味を示さず、今一緒に過ごすだけで満足している様子だった。会話は広くいろいろな話題におよんだが、ほとんどについてトリシアははっきり自分の意見を言うことができた。少なくとも知性は、金持の特権ではなかった。
 初めてキスしたとき、トリシアは目を開かされる思いがした。それまで、キスがそんなにすばらしいものだとは知らなかった。リーは経験を積んだ大人で、不器用な若者とは違うからだわ。そうトリシアは思った。そのころ、つかの間つき合ったボーイフレンドは、トリシアに“火をつける”と信じて、口を開いてべたべたとしたキスをしたものだ。リーのキスはじらすように始まり、ゆっくりと強さを増していって、トリシアのほうから唇が開くように仕向けた。舌が触れ合ったとたんに背骨がちりちりするように感じた。
 トリシアはリーに、疑いもなく“火をつけられ”たのだった。唇へのキスはまもなく胸へのキスへと進み、その官能的な刺激に、トリシアの全身は燃え上がった。つつしみは舷窓から飛び去ったかのようで、リーの前では少しもためらいを感じなかった。彼の愛撫に夢中になり、一緒にいても離れていても彼を求めた。こんな気持になるのは生まれて初めてだし、これからも二度とないだろう。リーと恋に落ちるのは避けられなかった。
 トリシアが何でも与える覚悟ができているとわかっていても、リーはすぐさまそれにつけこんだわけではなかった。関係を深める動きを見せたのは、クルーズも二週目に入ってなかばを過ぎたときだった。
 バルバドス島のブリッジタウンに入港して、二十四時間滞在することになった。バスツアーの団体に加わるなんてまっぴらだと、リーはレンタカーを借り、トリシアと二人で観光することに決めた。トリシアに異存のあるはずがなかった。リーと二人きりになることこそ、彼女がいちばん望んでいたことだった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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