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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ スペシャル

淡い輝きにゆれて

淡い輝きにゆれて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツスペシャル
価格:900pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

彼の無事を祈り流した涙はやがて、彼に愛されない悲涙へと変わり……。

最愛の父を亡くし天涯孤独となったテスの頭に浮かんだのは、いまは遠くへ行ってしまった初恋の人、マットの美しい顔だった。かつて瀕死の重傷を負った彼をテスの父が救い、傷が癒えるまで、彼女がつきっきりで看病したのだ。そのときから胸の中でマットへの恋心を密かに育ててきたテスは、身寄りなきいま、彼を頼るほかないと列車に飛び乗った。目的地シカゴでは、以前にも増して大人の色香を漂わせる、エレガントなスーツを着こなしたマットが待っていた。ところが、痛いくらい胸を高鳴らせるテスとは対照的に、彼はこちらが近づこうとするほど彼女の想いをはねつけて……。

■少女のころから一途にマットを慕い続ける看護婦のテスは、自分が彼に愛されない理由は永遠にわからないのだろうかと熱い涙を流します。一方の彼には、じつは12年間守り続けたある“秘密”があって……。ひたむきなヒロインと異色のヒーローが織りなす傑作長編!

抄録

「約束するわ。町のバーを手斧で襲ったりはしないって」彼女は澄まして言った。「安心した?」
「いいや」彼は言った。「お父さんもきみを心配していたよ」
 テスの目に悲しみの色が浮かんだ。「ええ、そうだったわね。パパが恋しくてたまらないわ。でも、居留地に留まるわけにはいかなかった。あの仕事はパパのもので、わたしのじゃないもの」
「たのめば、教師として雇ってもらえたかもしれないよ」
「そうね。でも、あのしつこい中尉もいたし。あのままあそこにいたら、誘惑に負けそうだったの」
 マットの眉が上がった。「誘惑?」
「ええ、あの男に弾丸をぶちこんでやりたくてたまらなかった。わたしだって、ウーンデッドニーにいたのよ、マット。あいつが女性や子供やお年寄りを撃ったことは知ってるわ」
 彼の手がゆっくりと下りていった。「もうなかへ入ったほうがいい。無駄話をするには、ここは寒すぎる」
「なんて苦しそうな顔……あの大虐殺のことなんか、持ち出すんじゃなかった」テスは静かに言った。「ごめんなさい。わたしにとってもいやな思い出だけれど、あなたにとっては、その百倍もつらい記憶なのよね」
 マットはテスを見おろした。胸の内で心臓がよじれた。彼女は美しい。しかし、そこには外面的な美しさをはるかに超える魅力があった。彼女は優しさと不屈の独立心とを兼ね備えている。彼が息をのむほど、荒々しい気性を。
「何を笑っているの?」テスが訊ねた。
「きみの喧嘩っ早さのことを考えていたんだ」マットは答えた。「それに、その心の優しさのことを」彼は真顔になった。「優しさを表に出してはいけないよ」彼の声は静かだった。「世間は残酷だからね」
 その険しい顔を見て、テスは彼の眉間の皺へとためらいがちに手を伸ばした。彼がびくりとすると、彼女はさっと手を引っこめた。
「ごめんなさい!」うろたえて、彼女は叫んだ。
 彼の表情がさらに険しくなった。「人に触れられるのには慣れていないんだ。特に女には」
 テスは神経質に笑った。「そのようね!」
 マットはほんのわずかに緊張を解いた。「ここに来てから、殻を作ってしまってね」彼は打ち明けた。「いまではそのなかに閉じこめられているんだよ。おれは成功したし、金もある。だが、ひと皮むけば、相変わらず貧しい粗野なインディアンなのさ。きみほど見る目のない連中からすればね」
「わたしは昔からあなたを友達だと思っていたわ」
「こっちもだ」マットは厳粛に言った。「きみのためならなんでもするよ」
「わかってる」テスは古いコートをかき合わせると、熱っぽい目で彼を見あげてほほえんだ。「わたしもあなたのためならなんでもするわ、マット」
 そう言って家に入ろうとしたとたん、マットがいきなり腕をとらえて彼女を振り向かせた。彼女は思わずよろめいて、彼の胸に倒れかかった。マットの手が背を支える。彼女はその胸に身を寄せ、石鹸とコロンと彼がときおりたしなむ葉巻の匂いを感じた。
 マットの目は荒々しかった。その抱擁は、これまで経験したことのないもので、興奮を誘った。
 テスは軽い驚きとともに、かすれた声で訊ねた。「どうしたの?」
 彼の視線がテスの顔をさまよい、やがて口もとで留まった。彼女の唇は豊かでやわらかだ。そこに唇を重ねたらどんな感じだろう? ふたりの長いつきあいのなかで、彼がそう考えたのは初めてではない。欲望に、鼓動が激しくなった。
「ねえ、マット、怖いわ」テスが早口でひと息に言った。
「きみに怖いものなんかないさ。きみは、あの兵士たちがライフルを逃れた者をまださがしているときに、負傷者の海のまっただなかへ足を踏み入れたんだ。人生がまだ始まったばかりの、純粋無垢な少女がだよ。きみとお父さんは実に優しく……実に勇敢だった」
 たくましい胸の感触に、膝の力が抜けていく。テスは唇を噛みしめ、懸命に自分を取りもどそうとした。彼のシルク地のベストを両手でそっと押しやった。
「こんなの……型破りだわ」
「看護婦として働くのはそうじゃないのか?」
 テスは彼のあばらにパンチを食らわせた。「それは言わないで。お説教なら、あそこのおばあさんたちからたっぷり聞かされているんだから」彼女は下宿屋の暗い窓に目を走らせた。いまカーテンが動かなかった?
「きっとあの連中、つぎはどうなるのか見たくて窓にしがみついてるな」
「つぎはどうなるのかって言うとね、あなたが腕をほどいて、わたしはあったかな家のなかに入っていくの」自信ありげな声とは裏腹に、テスの心は揺れていた。マットの抱擁が呼び覚ました感情は、思いがけないもので、少し恐ろしくもあった。これまで彼女は、自分が男性の愛撫に弱い女だと思ったことはなかった。
 マットの力強い手が細いウエストに下りてきて、そこで止まった。彼はなおも、じっと彼女を見つめつづけている。
「きみは、おれがこれまでに出会った他のどんな女とも似ていない」息づまるような長い沈黙のあと、彼は言った。
「シカゴには、弓を射たり、スー族の言葉を話したりする女性はあまりいないんでしょう?」
 マットはそっと彼女を揺さぶった。「ふざけないでくれ」


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