和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>シルエット・ディザイア
著者プロフィール
スーザン・マレリー(Susan Mallery)
シルエット・スペシャル・エディションを代表する人気作家。USAトゥデイ紙や大型書店などのベストセラーリストの常連である。ユーモアがありながら情感に満ちた作品を年五、六冊執筆するが、それでも頭の中にあるアイデアをすべて作品にする時間がないのが悩みだと言う。作家が書くどんな奇抜な作品も、ごく当たり前に受けとめられる土地、南カリフォルニアに居を構え、世界で一番セクシーな夫と、二匹のかわいいけれどあまり頭のよくない猫と暮らす。
シルエット・スペシャル・エディションを代表する人気作家。USAトゥデイ紙や大型書店などのベストセラーリストの常連である。ユーモアがありながら情感に満ちた作品を年五、六冊執筆するが、それでも頭の中にあるアイデアをすべて作品にする時間がないのが悩みだと言う。作家が書くどんな奇抜な作品も、ごく当たり前に受けとめられる土地、南カリフォルニアに居を構え、世界で一番セクシーな夫と、二匹のかわいいけれどあまり頭のよくない猫と暮らす。
解説
ネルソン家の三姉妹は、疎遠だった祖母から、百万ドルと引き替えに曾甥トッドと結婚してほしいと頼まれる。祖母の頼みをむげに断るわけにもいかず、代表として長女のジュリーが、渋々彼とデートをすることになった。結婚相手を探すのに大金が必要だなんて、ろくでもない男性に違いない。そう思っていたジュリーだが、会った瞬間、驚いた。予想に反して、トッドはすばらしく魅力的な男性だったのだ。たちまち心奪われ、がらにもなくジュリーはその夜のうちにトッドに身を捧げてしまう。彼が本当は誰で、何をたくらんでいるのかも知らずに。
★シルエット・ディザイアはおかげさまで1200号を迎えることができました。皆さまのご愛読に心から感謝いたします。記念号を飾るのは大人気作家スーザン・マレリーが紡ぐロマンス。著者からの祝福メッセージつきです。★
★シルエット・ディザイアはおかげさまで1200号を迎えることができました。皆さまのご愛読に心から感謝いたします。記念号を飾るのは大人気作家スーザン・マレリーが紡ぐロマンス。著者からの祝福メッセージつきです。★
抄録
どうすればいいのか迷っていると、トッドが引き寄せてウエストに手を添えた。気づいたときには、ジュリーは彼の肩に指をかけていた。
彼の体はどこも筋肉が固く引き締まっているわ。腿と腿が触れ合ったとき彼女はそう思った。胸が触れ合うほど寄り添ってはいないが、突然ジュリーは、寂しい猫のように身をすり寄せたいという、彼女らしからぬ激しい欲望を覚えた。
男性から遠ざかっている期間が長すぎたのよ。今はそのことを証明する絶好のチャンスじゃない?
「君はいい|匂《にお》いがする」彼が耳元でささやいた。
「コピー機のトナーの匂いよ」ジュリーもささやき返した。「この匂いが好き?今日、カートリッジを取り替えなくてはならなかったの」
彼がうなった。「ほめ言葉は嫌いかい?」
「わかったわ、ありがとう」
「そのほうがいい」トッドはほほえんだ。「君は扱いにくいな」
「そのほめ言葉なら納得よ」
「手を焼かせるのが好きなのか?」
「ときにはね。あなたは?」
トッドは彼女のウエストに添えた手を後ろにまわし、彼女の返事をそのまま返した。「ときにはね」
ジュリーは彼の目をのぞき込んだ。「あなたは自分のことを決めつけられるのが好きじゃない」
「君はそうした」
「あなたもね。これでおあいこよ」
「おあいこどころか、僕たちは相性がいい」
トッドはそう言って頭を下げ、唇を軽く合わせた。それは思いがけないけれど、甘いキスだった。彼女の胃は締めつけられ、胸はうずき始めた。彼は唇を動かしたが、キスを深めようとはしなかった。
人前よ、とジュリーは自分に言いきかせた。彼はわたしに恥ずかしい思いをさせたくないのよ。そのことに感謝するべきだわ。実際、わたしは感謝するだろう……あとになったら。
彼が顔を上げて|咳払《せきばら》いした。「席に戻って夕食の注文をしたほうがいい。責任ある態度をとろう」
ジュリーはもう少しで別のことをたずねそうになった。もしふたりが踊りながら触れ合い、キスを続けたらどうなるかしら。彼女はなんとなくその答えがわかるような気がした。
そこまでいくのは早すぎるわ。ジュリーは自分にそう言いきかせ、彼から離れた。久しぶりのデートなのだから、慎重に事を進めるほうがはるかに賢明だ。でもこの男性にはとても心を惹かれる。
トッドは彼女の手を握ったままテーブルに戻った。
「君はここに来た理由を話さなかったね」席に着いたとき彼が言った。「さっき言ったように、僕はルースおばに頼まれた。君は?」
彼は知らないの?本当に?驚いた。これはいいことかもしれないわ。
「母とルースおばあさまは何年も疎遠になっていたんだけど、三カ月前おばあさまがひょっこりわたしたちの前に現れたの。わたしたち姉妹はそれまで一度も彼女に会ったことはなくて、母は自分の母親のことを口にしたことがなかった。先週夕食の席でおばあさまが、彼女の曾甥と、わたしたちのひとりがあなたと出かけたらどうかと提案したの」
「おもしろいな」
「おもしろいどころじゃないわ。彼女はわたしたちに申し出を……これはどうでもいいわ」
「もちろん大事だよ」
「あなたは侮辱されたと受け取るわ」
「僕は真実を聞いても耐えられるよ」彼がからかった。「彼女は何を申し出たんだい?」
「お金よ」
トッドは彼女をまじまじと見た。「僕とデートをさせるために彼女は君に金を払うつもりなのか?」
「いいえ、違うわ。デートは無料よ。もしあなたと結婚したらもらえるの。それぞれ百万ドルずつ、わたしたち姉妹と母に。すごいでしょう」
顎が引きつったほかは彼は感情を見せなかった。彼がどう思っているのかジュリーにはわかりかねた。
「みんなびっくりしたわ。あなたにどんな大問題があって、結婚させるためにそんな大金を申し出る必要があるのか、わからなかった」
「問題?僕に?」
「もちろん」
ジュリーは楽しんでいたが、トッドにそれを悟られないように努めた。
「わたしたちは、ひとりがあなたとデートをして、あなたがどのくらいおぞましいか確かめることに決めたの」彼女は続けた。「わたしたちは最有力候補を決めるために、じゃんけんをしたわ」
彼はたじろいだ。「じゃんけんとは……」彼は咳払いをした。「それで君が勝ったんだね」
ジュリーはほほえんだ。「とんでもないわ、トッド。わたしは負けたのよ」
*この続きは製品版でお楽しみください。
彼の体はどこも筋肉が固く引き締まっているわ。腿と腿が触れ合ったとき彼女はそう思った。胸が触れ合うほど寄り添ってはいないが、突然ジュリーは、寂しい猫のように身をすり寄せたいという、彼女らしからぬ激しい欲望を覚えた。
男性から遠ざかっている期間が長すぎたのよ。今はそのことを証明する絶好のチャンスじゃない?
「君はいい|匂《にお》いがする」彼が耳元でささやいた。
「コピー機のトナーの匂いよ」ジュリーもささやき返した。「この匂いが好き?今日、カートリッジを取り替えなくてはならなかったの」
彼がうなった。「ほめ言葉は嫌いかい?」
「わかったわ、ありがとう」
「そのほうがいい」トッドはほほえんだ。「君は扱いにくいな」
「そのほめ言葉なら納得よ」
「手を焼かせるのが好きなのか?」
「ときにはね。あなたは?」
トッドは彼女のウエストに添えた手を後ろにまわし、彼女の返事をそのまま返した。「ときにはね」
ジュリーは彼の目をのぞき込んだ。「あなたは自分のことを決めつけられるのが好きじゃない」
「君はそうした」
「あなたもね。これでおあいこよ」
「おあいこどころか、僕たちは相性がいい」
トッドはそう言って頭を下げ、唇を軽く合わせた。それは思いがけないけれど、甘いキスだった。彼女の胃は締めつけられ、胸はうずき始めた。彼は唇を動かしたが、キスを深めようとはしなかった。
人前よ、とジュリーは自分に言いきかせた。彼はわたしに恥ずかしい思いをさせたくないのよ。そのことに感謝するべきだわ。実際、わたしは感謝するだろう……あとになったら。
彼が顔を上げて|咳払《せきばら》いした。「席に戻って夕食の注文をしたほうがいい。責任ある態度をとろう」
ジュリーはもう少しで別のことをたずねそうになった。もしふたりが踊りながら触れ合い、キスを続けたらどうなるかしら。彼女はなんとなくその答えがわかるような気がした。
そこまでいくのは早すぎるわ。ジュリーは自分にそう言いきかせ、彼から離れた。久しぶりのデートなのだから、慎重に事を進めるほうがはるかに賢明だ。でもこの男性にはとても心を惹かれる。
トッドは彼女の手を握ったままテーブルに戻った。
「君はここに来た理由を話さなかったね」席に着いたとき彼が言った。「さっき言ったように、僕はルースおばに頼まれた。君は?」
彼は知らないの?本当に?驚いた。これはいいことかもしれないわ。
「母とルースおばあさまは何年も疎遠になっていたんだけど、三カ月前おばあさまがひょっこりわたしたちの前に現れたの。わたしたち姉妹はそれまで一度も彼女に会ったことはなくて、母は自分の母親のことを口にしたことがなかった。先週夕食の席でおばあさまが、彼女の曾甥と、わたしたちのひとりがあなたと出かけたらどうかと提案したの」
「おもしろいな」
「おもしろいどころじゃないわ。彼女はわたしたちに申し出を……これはどうでもいいわ」
「もちろん大事だよ」
「あなたは侮辱されたと受け取るわ」
「僕は真実を聞いても耐えられるよ」彼がからかった。「彼女は何を申し出たんだい?」
「お金よ」
トッドは彼女をまじまじと見た。「僕とデートをさせるために彼女は君に金を払うつもりなのか?」
「いいえ、違うわ。デートは無料よ。もしあなたと結婚したらもらえるの。それぞれ百万ドルずつ、わたしたち姉妹と母に。すごいでしょう」
顎が引きつったほかは彼は感情を見せなかった。彼がどう思っているのかジュリーにはわかりかねた。
「みんなびっくりしたわ。あなたにどんな大問題があって、結婚させるためにそんな大金を申し出る必要があるのか、わからなかった」
「問題?僕に?」
「もちろん」
ジュリーは楽しんでいたが、トッドにそれを悟られないように努めた。
「わたしたちは、ひとりがあなたとデートをして、あなたがどのくらいおぞましいか確かめることに決めたの」彼女は続けた。「わたしたちは最有力候補を決めるために、じゃんけんをしたわ」
彼はたじろいだ。「じゃんけんとは……」彼は咳払いをした。「それで君が勝ったんだね」
ジュリーはほほえんだ。「とんでもないわ、トッド。わたしは負けたのよ」
*この続きは製品版でお楽しみください。
本の情報
紙書籍初版: 2007/10/5
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