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もう一つのクリスマス【ハーレクイン・セレクト版】

もう一つのクリスマス【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジョージー・メトカーフ(Josie Metcalfe)
 大家族のなかで育ち、子供のころから本が友だちだった。書くほうに回った現在も同様で、物語の終わりにさよならを言いたくなくなるという。コーンウォールで“我慢強い”夫とともに暮らしている。四人の子供がいる。

解説

セイラは身重の体で交通事故に遭い、九死に一生を得た。身ごもっているのは愛する医師ダンとの子だが、生まれた瞬間から、その子は彼女のものではなくなる。そう、セイラは密かに想っていたダンを妹に奪われた上、妹が妊娠を拒否したため代理母になることを強要されたのだ。事故はセイラを打ちのめしたが、お腹の子の無事と、毎日病室を訪れてくれるダンだけが、心の救いだった――彼が気にかけているのは子どものことだと、わかってはいるけれど。妹は見舞いに来ない。セイラは決して誰にも言えなかったが、事故の瞬間、車の運転席に見えたのは……妹の顔だったのだ。

■涙なくしては読めない感動のメディカル・ロマンスが人気のジョージー・メトカーフ。双子を妊娠した代理母ヒロインの、ドラマティックなクリスマス・ロマンスをお届けします。
*本書は、ハーレクイン・ディザイアから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「両親には話したの?」これを知ったら、母はどういう状態になるだろう?
「いや、まだだ。まず君に話すべきだと思ってね」
 両親よりも先に知らせてくれたことを知り、うれしさがセイラの心に広がったが、ダンの次の言葉でそれはもろくもしぼんだ。
「病院内の噂が君の耳に入れば、事実がゆがんで伝わる。それは避けたかった」
 ダンと一緒に働くようになって二年になる。いかにもダンらしい言いぐさだ。論理的で冷静。もちろん、彼が自分の口から私に知らせた理由が個人的なものであるはずがなかった。出会ったころに築きはじめていた二人の間柄の痕跡を、私は今もさがそうとしている。ダンが私に寄せていた思いは、ザラに会った瞬間に消えうせたという事実を、いつになったら受けとめられるのだろう。
「ザラはどこにいるの? どんな治療をしているの? 会えるのはいつ?」自分も論理的かつ冷静になるのだと言い聞かせ、セイラはきびきびした口調で尋ねた。ベッドの上に起きあがろうとしたが、体じゅうの筋肉と関節が悲鳴をあげ、うめき声をもらして、あおむけに倒れた。
「君はまだ動ける状態じゃないんだよ」うなるように言うと、ダンはセイラの肩の下にそっと腕を入れて体を造作なく起こし、うしろに枕を差し込んだ。
 セイラは震えた。抱えられている彼の腕のぬくもりに反応して、ふいに鳥肌が立つ。病室が寒いわけではない。むしろ暑すぎるぐらいだ。背に巻かれた幅広の包帯に彼の腕から熱が伝わる。彼のやさしい息づかいが私の髪をそよがせ……。
「でも……」こんなに近くにいられては、考えがまとまりそうもない。ありがたいことに、仕事中はすれ違う程度で、それ以上近寄ったことはなかった。さもないと、仕事に励むことなどとうていできなかっただろう。セイラはあえてじっと息をひそめていた。ダンは彼女の背をそっと枕にもたせかけると、手を離して、ベッド際から身を引いた。
「セイラ、ザラの容態が落ち着いて面会ができるようになったら、すぐ知らせるよ」緑色の瞳にひそかな真剣さをにじませて、ダンは約束した。「今はまったく意識がないから、君が行っても、ザラにはわからない。それに、動くなんて無茶だ。今の君にはじっくり治す時間が必要だ」
「でも、今夜、あなたは両親に言うつもりなんでしょう……もちろん、ザラのことだけれど」
「言い換えれば、君の身に起きたことも話すことになる」
「だめよ! 私が自分で言うわ。私が――」
「セイラ、よく考えてごらん」ダンがさえぎった。「ご両親とも君に会いたがるよ……病院に来れば、ザラの担当医の許可が出るまで、当然、君も|集中治療室《ICU》の前で一緒に待ってくれると信じてね」
「でも……」言い返せずに、セイラは目を閉じた。たしかにダンの言うとおりだ。私の体はまだ、狭い家族控え室で一晩を過ごせるほどの状態ではない。
「どっちがいい? 君が事故に巻き込まれた事実を知られるのと、君を必要としているときに、君はそばにいてもくれないと誤解されるのと」選択を突きつけられ、セイラは枕にもたれかかった。このたぐいの論法にはとてもかなわない。
「赤ちゃんたちは元気だって伝えてくれる? あら!」セイラはほんの少しだけいつもの笑顔を取り戻した。「両親は赤ちゃんが双子だってことをまだ知らなかったんだわ!」大切な超音波画像の写真を取り出そうと、セイラはベッドわきのロッカーに手を伸ばしかけて、うめき声をもらした。「写真をとってくれる? 両親に渡してほしいの」
「実は……」ダンが一瞬言いよどんだ。その引き締まった頬にうっすらと赤みがさすのを見てセイラが驚いていると、彼はポケットから財布を取り出した。「君には悪かったんだが、ロザリーに頼んでコピーをもらったんだ」
 もちろん、ザラのためにね。
「配慮がたりなかったわ……あなたたち二人のために、もう一枚コピーしてもらうべきだった。結局、この子たちはあなたたちの赤ちゃんなんだもの。写真を持つ権利は私よりもあなたたちにあるのにね」
「セイラ、やめるんだ」ダンは即座にたしなめ、驚くことに、温かな手でセイラの手を包み込むと、濃さを増した緑色の瞳でセイラをじっと見おろした。「ここにいたるまでの過程は、僕には想像もつかないほどつらかっただろう。でも、赤ん坊たちは君の中で育っているんだ。写真を持つ権利は当然、君にある。君がしてくれていることに僕がどれほど感謝しているか、口では言えないぐらいだ。超音波画像の写真をもう一枚コピーすることなどたいしたことじゃない」
 ダンの誠実さがセイラの心にしみ込み、この状況を受け入れざるをえなくなったとき以来、胸にのしかかっていた苦痛が少し軽くなった。結局は手放さなければならないのを承知で、愛する人の子を身ごもるなんて、これほどつらいことはなかった。でも、私が払っている犠牲をダンは心から感謝してくれている。この事実は心の癒しとなった。あとは、私の心が彼に向いていることを悟られないようにするだけ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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