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愛を授かりしベネチア

愛を授かりしベネチア


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・マリネッリ(Carol Marinelli)
 イギリスで看護教育を受け、その後救急外来に長年勤務する。バックパックを背負っての旅行中に芽生えたロマンスを経て結婚し、オーストラリアに移り住む。現在も三人の子供とともに住むオーストラリアは彼女にとって第二の故郷になっているという。

解説

ベネチアで終わったはずの恋は、小さな奇跡を彼女にもたらした。

リディアは継父に連れられ、ベネチアの高級ホテルに来ていた。傾きかけた家業を立て直すため、ある人物と会うのだという。でも何かおかしい。なぜ露出の多いドレスを着る必要があるの?答えは明白。お金と引き替えにリディアを差しだすつもりなのだ。恐ろしくなって逃げだした彼女に、一人の男性が声をかけた。ラウル・ディ・サヴォ──ハンサムな不動産王は彼女の話を聞き、深く同情すると、気晴らしにと観光へと連れだしてくれた。この夢のような時間が永遠に続けばいいのに……。意を決して純潔を捧げた彼女はやがて妊娠する。彼の残酷な真意も知らぬまま。

■強欲な両親に支配されてきたヒロインは、ヒーローとの出会いで愛を知り、変わっていきます。ところが妊娠がわかったとたん、運命は予想外の展開に……。HQロマンスの中心的作家キャロル・マリネッリの力作です。

抄録

「すてきなホテルで、快適な滞在です」
「光栄だ。ローマは楽しんでいますか?」
「もちろんです」今朝、ラウルにはもっと正直に答えたことをリディアは思い出した。
 時刻は六時を少しまわった。たぶんラウルはあまり長くは待たないだろう。この機会を逃したら、一生後悔する。
「ディナーには――」
「実は……」モーリスがバスティアーノの言葉を遮り、こめかみに指を当てた。
 やっぱり。頭痛をでっち上げてディナーは席を外すつもりだ。私とバスティアーノを二人きりにしようと企んでいる。
 六時七分。リディアは心の声に従った。
「あら、お聞きではありませんか?」リディアは、モーリスが言い訳とともに立ち去ってしまわないよう声をかぶせた。
 グラスをつかむ継父の手に力がこもり、警告するような目つきになってもかまわず、彼女は言葉を継いだ。
「今夜は久しぶりに友人に会うんです――夕食をともにするので、そろそろ出ないと。その前にお礼を言おうと思って」リディアは精いっぱいの作り笑顔を向けたが、バスティアーノはなんの反応も示さなかった。「ビジネスのお話の邪魔はしたくありませんから」
「君が邪魔になるはずがない」バスティアーノは如才のない返事をした。
「まあ、お上手!」リディアはそらぞらしく笑ってみせた。「では、お城の話をどうぞ」
 飲みかけのグラスをテーブルに置いて別れの挨拶をする。モーリスの瞳に燃える怒りの炎や、バスティアーノの頬の傷跡がぴくぴく動いているのには目もくれず。
 きっと、ただではすまないだろう。でも、私の覚悟はできている。今は自由だ。
 赤いドレスに赤い口紅を合わせたい。結局はこの瞬間のために買ったのだから。
 しかしあいにく、時間がなかった。
 ラウルはもう去ってしまったかもしれない。リディアは軽い不安を覚えながら、回転ドアをすり抜けた。通りの向こう側をちらと見て失望に襲われる。ラウルの姿はなかった。
 だが次の瞬間、背後で声があがった。
「遅刻だ」
 振り向くと、彼がいた。ネクタイを緩めてリラックスした、長身でゴージャスな彼が。そうよ、私はこちらを選んだのだ。
「遅刻したのはこれが生まれて初めてよ」
 彼はキスをするつもりだ。リディアは確信したが、先に立って歩いた。「早くして」モーリスが追ってくるのではないかと、気が気でなかった。
 リディアは足早に歩いた。傍らのラウルの足取りはゆったりとしている。彼女は高揚感にあおられたまま、脇道に入っていった。
「どこへ行くつもりだ?」
 ラウルに尋ねられてリディアは足を止め、振り向いた。「あなたは、この町を知りつくしているはずでしょう?」
 いつしか彼女は壁を背にし、顔の両脇にあるラウルの両手で動きを封じられていた。
 リディアは思わず彼の胸に両手を押し当てた。引き締まった筋肉を感じる。それから、目を見上げると、ラウルが唇を寄せてきた。その間も、リディアはじっと彼の瞳を見つめていた。
 熱い吐息が、触れる寸前の二人の唇の間をさまよう。唇が重ねられた瞬間、今までなかったものがふいに現れた。
 そっと押し当てられる唇の感触はこのうえなくすてきで、快感の渦を巻き起こす。
 もう、優しさだけでは物足りない――そう思う間もなく、ラウルが応えた。
 せがむように動く彼の唇に、体の奥底から揺さぶられる。ラウルはリディアの舌を求めながらも、こじ開けようとはしなかった。決して無理強いはしない。
 もっとも、その必要はなかった。リディアがあえぐようにして唇が少し開いた隙に、彼は舌を差し入れた。
 彼女のもらした声はラウルの下腹部にじかに響いた。柔らかな唇を味わった瞬間、リディアは自分のものだと彼にもわかった。後頭部にまわされた彼女の指に力がこもるのを感じて、さらにキスを深める。
 じらすようなラウルの舌の動きに、豊かな髪に差し入れたリディアの指にますます力がこもった。
 ここはローマの中心部。夕方の六時を少しまわったところ。脇道に入ったとはいえ、人目がないわけではない。
 だが、リディアはかまわなかった。
 ラウルは彼女の腰に腕をまわして抱き寄せた。壁から体が離れた拍子に、彼女の頭がのけぞる。
 ベッドがあったら彼女を横たえていただろう。部屋だったら、ドアを閉めていたに違いない。
 だが、ここは人目のある戸外だ。ラウルは動きを止め、唇を離しただけだった。
 密着した体が熱を放つ。ラウルはリディアの目をまっすぐに見た。彼の唇はキスで濡れ、髪は少し乱れていた。
「何がしたい?」それは、答えを聞くまでもない問いだった。
 ベッドに入るにはまだ早い時刻だが、ラウルはかまわなかった。とはいえ、リディアと一緒にいるところをバスティアーノとモーリスにひけらかす気は失せていた。
 それなら、通用口からだ。ラウルはリディアの首筋に唇を這わせた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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