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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

暗黒王子の白き花嫁

暗黒王子の白き花嫁


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 ヴィクトリア・パーカー(Victoria Parker)
 イギリスの作家。物語を読むたびに登場人物の男性に恋していたが、初めてハーレクインを読んだとき、理想のヒーローに出会ったという。作家になりなさいという教師の勧めに反して企業に勤め役職も得たが、常に心の奥で囁き続ける声に屈し、小説の執筆を開始。やはりロマンス作家が天職だと悟った。

解説

大切な息子を奪われたくない。黒い噂のつきまとう冷酷な王子にだけは。

ついに父との約束を果たす日がやってきた。ルシアーナはこれから、政略結婚の相手と正式に婚約するのだ。5年前、彼女は酔漢から救ってくれたセインと恋に落ちた。だが、彼がルシアーナの一族の敵、ガランシア国の王子だと気づき、泣く泣く黙って姿を消した──妊娠しているとも知らずに。秘密裏の出産と引き替えに、ルシアーナは冷酷な父と取り引きした。母子で過ごすのは5年間だけ。あとは言いなりになると。まさにプロポーズを受ける瞬間、別の男の人影が現れた。セイン!凍りつく彼女をリムジンに押し込むと、セインは悠然と走り去った。

■気鋭の新人作家ヴィクトリア・パーカーの、ドラマティックなロイヤル・シークレットベビー・ロマンス!“暗黒王子”と呼ばれ恐れられているヒーローは、まさか自分に息子がいるとは知らないまま、ヒロインをさらって……。

抄録

 腕に鋼のような手がかかり、次の瞬間にはセインの熱く固い体にぶつかっていた。恐怖と興奮が等しく体のなかを駆け巡る。これ以上はないほど彼に引き寄せられると、あらがうどころか、正気を保つことさえできなくなった。力強い腕が腰に巻きつき、もう一方の手が首筋を撫でてうなじを支える。
 何も感じないでいるなんて無理だ。火花が散りそうなほどの熱気に、ルシアーナの体に欲望がほとばしり、激しく渦巻いた。身を震わせながら唇を噛んでもそれを止めることはできず、羽音めいた切ない声が口からもれる。
 底なし沼のような暗い瞳に見入られ、ルシアーナが下唇に舌を走らせたとき、頭のもやを分け入って、どこからか記憶が押し寄せた。
 煉瓦の壁に腰かけ、彼が下ろしてくれるのを待っていたときだ。“キスをしないの?”そうしてほしくて自らきいた。
 彼が熱意と恐れの入り混じった顔になり、ルシアーナは戸惑った。
“女性にキスをしたことがないの?”
 彫りの深い頬に、見逃しそうなほどのかすかな赤みが差した。照れくささもあったのだろう。だが、それ以上に彼は緊張しきっていた。彼女は壁から彼の足元に降り立った。
“では、わたしからしましょうか?”彼の眉間のしわを指先で伸ばし、髪を耳の後ろにかけてやった。“かまわない?”
 セインの顎が脈打つのを見て見ぬふりし、爪先立って唇を重ねた。温かく。柔らかく。そして、舌で唇を開かせたとたん、男の本能が働いて彼が自ら唇を奪い、甘く貪った……。
 ルシアーナはまばたきをして現実に戻った。今も二人のまわりで雪が渦巻き、冷たい結晶が顔に当たってしずくとなる。惹かれ合う強い力の前で、セインの黒い瞳は飢えたように輝き、琥珀のかけらをちりばめたようだ。
「ぼくのジェット機はあっちだ、エンジェル」セインは物憂げに言った。彼女の抵抗は想定内で、むしろかわいいとでも言いたげに。
 ルシアーナは彼を蹴りたくなり、今にも凍えそうな足がうずいた。
 エンジェル……。前にそう呼ばれたことはない。この数年で口説き上手になったようだ。わたしには彼しかいなかった。彼にもわたししかいなければいいのに……。そんなふうに思う自分に、ルシアーナはあきれた。すべての男性と同じく、セインも日々欲望を満たさずにいられなかったのだ。こんな間近にいると、あの長く蒸し暑い日中と熱い夜を思い出さずにはいられない。汗でべたつく肌。麝香めいた情熱の匂い。彼は原始の欲求に駆られて何度も自分の刻印をわたしに残したがった。
 ルシアーナの下腹部が引き締まった。体の芯がねじれ、うずきだす。ああ、だめよ……。
「セイン、放して」彼女は強く言ったが、悔しいことに吐息が混じっていた。「冗談じゃないわ。おもしろくもない。あなたと一緒には行かない。こんな無理強いはできないわ」
 黒い瞳が挑戦的な光を帯びると、それだけでルシアーナの血はたぎった。なんて不埒な。
「いや、できる。してみせる。自分の足で歩くか、ぼくの肩にかつがれるか、どっちがいい?」なめらかな響きを持ちながらも、その声には隠しようもない脅しがこもっていた。
 よりによってその瞬間、気だるい胸が彼の体に押しつぶされ、ルシアーナは至福の心地を味わった。雪のかけらが彼の鼻に落ちると、なぜかそれをなめたくなった。
「セイン……」自分のものとも思えないほど、みだらで切ない声だった。
「ルシアーナ……」わがままをたしなめるように彼はゆっくりと応じた。「ぼくと争うのはやめろ。国には戻りたくないんだろう?」
「いいえ、戻りたいわ、セイン」
「いや、エンジェル。それは嘘だ」
 もう! 「今、叫べばあの作業員が駆けつけるわ」
 彼の口元が皮肉っぽくかしぐ。「そうしたらぼくがそのすばらしい口をふさぐまでだ」
 あえぎ声がルシアーナの喉元までこみ上げた。「できるものですか」
「確かめてみたいか?」セインがうなった。
 ルシアーナのなかに恥ずべき興奮が湧き起こり、鼓動が乱れた。「いいえ」泣き声に近くなる。彼女は気を取り直し、強く言い張った。「お断りよ。さあ、わたしを放して」
 セインが舌打ちをして首を振った。「本気でそう言えるのなら、ぼくも考えよう」
 あなたが招いたことよ。ルシアーナは彼の腕のなかでもがき、胸をぐいと押しやった。声を張りあげようと胸いっぱいに息をためたとたん、彼の熱い唇に甘く口を覆われた。
 だめ、キスを返さないで。絶対に。
 だが数秒後には、セインの見えない力に取り巻かれ、彼女の唇から喜びの吐息がもれた。
 彼が左手でうなじを支え、右手でルシアーナの体を引き上げて欲望のあかしに押し当てる。同時に、顔を傾けて唇を貪った。
 ルシアーナの口のなかにみだらな味が広がり、罪深い放蕩の味が骨を侵す。彼がからかうように唇を舌ではじくと、体は熱くとろけ、もはや立っていられなくなった。彼女の貪欲な手はたくましい肩の線をたどり、首を通って耳の下から髪のなかへと忍びこんだ。一房をつかみ、長く低く彼をうならせる。その声がルシアーナの激しく震える体にこだました。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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