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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

あなたにすべてを

あなたにすべてを


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

ガビーの憧れの上司で、敏腕弁護士J・Dの妹が誘拐された。救出のために、ガビーも彼とともにイタリアへ向かうが、J・Dの提案で、ふたりは恋人のふりをすることになる。指一本触れないという誓いだったのに、思わずされる甘いキス。同じベッドで過ごす夜に触れる、J・Dの逞しい体の熱さには、男性経験がまるでない彼女は胸の高鳴りを抑えきれない。拒絶されることを恐れ、ひたすら恋心を隠していたガビーだが、ある日、気持ちを知られ、J・Dに白い目で見られてしまう。「わかっているだろうが、ぼくはきみを愛していない」

抄録

「ほかにはどこに行くの? ネロのお城……だったかしら?」
 J・Dが甘やかすようなまなざしを彼女に向けた。「ネロの黄金宮殿だよ。きみのミステリアスな瞳と長い髪によく似合う場所だ」
「わたしはおまつり騒ぎなんか好きじゃないわ」ガビーはきっぱりと言った。「暴君ネロの統治下にあったローマは退廃の極みにあったのよ。彼は妻のオクタウィアを惨殺した。自分の情婦に散々いじめさせたあげくにね」
「そんなことをタキトゥスが書いていたな。古代ローマではずいぶんと残虐なことが行われていた。でも考えてごらん、ハニー。似たようなことが現在でも行われている。マルティナが誘拐されたのがいい例だ」
 ガビーはちらりとJ・Dの横顔をうかがった。どうしても妹の安否が気づかわれてならないのだろう。「世の中はそれほど変わったわけではないのね」彼の腕にそっと手を置く。「誘拐犯たちは、少なくとも身代金を手に入れるまでは、人質に手出しはしないというわ」
「それはどうかな」J・Dはガビーの腕をつかんで引き寄せ、胸に抱いた。そしてその瞳をのぞき込む。「怖いかい?」かすれた声で彼は尋ねた。
「いいえ」ガビーは嘘をついた。
 J・Dはそのままの姿勢で言った。「休暇中の恋人同士だということを忘れないでくれ。誰が見ているかわからない」
 そう言って、J・Dが顔を寄せてくる。ガビーは思わず息を止めた。
「そんなに驚かなくてもいいんじゃないかな。予想していなかったわけでもないだろう」
 ガビーはうろたえながら目を伏せた。「予想って……つまりあなたとキスすることを?」
「そうだよ」
 ガビーは大きく息を吸った。するとJ・Dの腕に力がこもり、さらに強くその胸に抱きしめられた。ガビーは柔らかな胸が押しつぶされる感覚にたじろいだ。
 J・Dは両手で彼女の小さな顔を包んだ。そのままじっと彼女の目を見つめる。
 ガビーはなにも言えなかった。彼の手のぬくもりと力強さが思考を妨げているのだ。
「もしもキスするようなことになっても、あなたをがっかりさせることになるような気がして……」
「なぜ?」J・Dは不思議そうに眉を上げた。
 ガビーは身じろぎした。「これまでにあまり男性とキスする機会がなかったから」J・Dのまなざしにけおされ、あわてて言いそえる。「あなたのおかげで忙しくて」
「だから、キスの仕方さえ覚えられなかった。そう言いたいのかい?」J・Dは柔らかな声で笑った。「キスくらいぼくが教えてあげるさ。難しく考える必要はない。きみは目を閉じて、あとはぼくにまかせてくれればいい」
 ガビーは目をつぶった。すぐに彼の唇が強く押しつけられるのを感じた。ガビーは驚いて息を止める。
 J・Dは顔を離した。「窒息してしまうよ」
 ガビーは訴えるような目で彼を見た。「上司のあなたとこんなこと……」
「今は、ひとりの男として考えてくれないか」J・Dはガビーのあごに指をかけて上向かせた。ゆっくりと唇を寄せ、触れ合う直前で動きを止める。「そうやって体をこわばらせているものじゃないよ」
 ガビーはぎこちなくほほえんだ。「わかっているわ。でもあなたが近づいてくると、どういうわけか緊張しちゃって……」
「どうして?」J・Dは無表情に目を細めた。
 彼の胸に置いた手が、無意識のうちにシャツの襟もとを握りしめていた。
 彼女はつぶやくように口を開いた。「ほら、今もこんなふうに……」
 J・Dは瞳に安堵の色を見せ、目を閉じているガビーの額に軽くキスした。そして彼女の髪に手を差し入れる。
「ガビー」J・Dはささやいて、ガビーの頬に、額にキスをした。「こんなに体をかたくして……今までもずっとこうだったのかい?」
 ガビーの体から力が抜けていった。彼の唇の感触があまりにも心地よく、力強い腕にあやされているような気分になる。
「もっとしてあげようか」J・Dがささやいた。
 ガビーが目を開けると、J・Dの唇が自分の唇に近づいてくるところだった。そして次の瞬間、ふたりの唇は触れ合っていた。ガビーはふたたび目を閉じた。彼のキスはかすかにたばこの味がした。その唇の巧みな動きが、経験の豊富さを物語っている。いつしかガビーは彼のシャツにしがみついていた。徐々にキスは激しさを増していった。
 J・Dが唇を離した。ガビーも目を開けた。視線が彼の唇をとらえる。
「キスのあいだは目を閉じていろなんて、誰が教えたんだい?」
 ガビーはぼんやりと視線を上げた。「開いておいたほうがいいの?」息があがって声が震えた。
「ああ、そのほうがいい」J・Dはそう言って彼女の唇に指を当て、口を開けるように促す。「きみはどんな味がするかな」
 ガビーはなすすべもなく、ただ体を震わせていた。ふたたび彼が唇を重ねてきた。J・Dはさっきよりも激しく彼女を誘い、ガビーもまた、さっきよりも大胆に彼に応えた。頬にちくちくと当たる彼のひげそりあとが痛い。ガビーの喉から声にならないうめき声がもれた。
「怖がらなくてもいいんだよ」J・Dが唇を浮かしてささやいた。「痛くはないから安心して」そう言ってまたキスを続ける。
 ガビーの体を彼に対する信頼と思慕の情が突き抜けた。心の奥底に縛りつけていたものがほどけ、解放されてしまう。体を押しつけると、今度はJ・Dがうめき声をあげた。
「だめだ」J・Dは突然ガビーの体を押しやると、くるりと背中を向けて数歩離れた。たばこを一本とり出し、火をつける。
 ガビーは持っていたバッグをそっと胸に抱いた。頭が混乱して、たった今自分のなかに芽生えた感情がなんなのか、考えることができない。わかっているのはただ、J・Dが相手だからということだけだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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