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星の秘密

星の秘密

著: 剛しいら
発行: フロンティアワークス
レーベル: ダリア文庫e シリーズ: 月の秘密シリーズ
価格:578円(税込)
10ポイント還元
形式:XMDF形式⇒詳細 
対応端末:パソコン ソニー“Reader”
みんなの評価 ★★★★☆3
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著者プロフィール

 剛 しいら(ごう しいら)
 6月9日生まれ東京都出身。魚座・A型。趣味は映画・舞台・格闘技・F1鑑賞。プラチナ文庫、ルビー文庫、アズ・ノベルズなどで作品を多数発表。

解説

 両親を亡くし、悲しみに暮れる天之昴は、星空の下で侯爵と呼ばれる謎の金髪の男に出会う。 一目で彼に惹かれていった昴だが、実は彼は純粋種の吸血鬼だった。昴は侯爵の別荘に血液提供者として連れ去られ、最初は途惑うものの、次第に悲しみを背負う侯爵を愛しく思い始めてしまう。 一方、侯爵は遠い過去に愛という感情を捨ててきてしまったようで……。 悠久の時を紡ぐラブストーリー!

※ イラストは含まれていません

抄録

 時代遅れのおかしな口説き方だったが、あの夜の侯爵との出会いはやはり印象的だった。今夜もまたあんな風に迫られたら、昴のことだ、あっさりと 堕ちてしまうだろう。
 その時、ふっとスタンドの灯りが消えた。
「恋は生殖行為のスパイスに過ぎない」
 背後からの声に、昴は驚いて顔を振り向けた。
 ドアを開いた音がしなかった。足音すら立てずに、またもや侯爵は昴のすぐ側にいて、その体を抱き締めていた。
 人間とも思えない動きと無表情さに、昴は一瞬恐怖を感じた。
「あっ、そうだ!」
 慌てて昴は十字架を手にして、もう何年も口にしなかった祈りを唱える。
「天にまします、我らが父よ…」
「無駄だ。私はそんなものを恐れない」
 侯爵は昴の手の上から、十字架を握りしめてみせた。
「昴……私は美食家だ。汚れた肉体と 邪 よこしま な心を持った人間は選ばない。君のいいところは……子供のように純真な心。傷つくことを怖がるあまり、人を傷つけることも出来ない優しいところだ。私に安らぎを与えてくれると約束してくれ」
 さっきまでは夢だと思おうとしていたのに、すっかり侯爵のペースに巻き込まれてしまった。
 動けない昴を自分の方に向かせると、侯爵は額に優しく唇を押し当てる。そこに鋭い牙があるのではないかと、昴は顔を背けた。
「や、止めてください。あなた達は、本当に人の血を吸ったりするんですか」
「怖がらなくていい。初めての夜は、あんなに素直だったじゃないか」
「僕をどうするつもりなんです? ずっとここで飼うつもりですか?」
「何も心配しなくていい。人の一生なんて夢のようなものだ。少し長く、夢を見ただけだと思えばいい」
 侯爵の唇が、昴の唇を塞いだ。
 途端に昴の全身から力が抜けていき、何もない宇宙空間に浮いているような気がした。
 目を閉じているのに、星が見える。巨大な星雲が渦巻き、昴の 傍 かたわ らを彗星が尾を引いて流れていった。無音の筈の宇宙なのに、金属が触れ合うような音が聞こえる。遠くで一つの星が、真っ赤に膨らんで爆発していくのが見えた。
 唇が離れたのでそっと目を開くと、侯爵の金色の髪が見える。昴の手は絹糸を思わせる柔らかな髪に触れていた。
 恐れるよりも、侯爵を信頼する気持ちがずっと強くなっていた。心を繰られているんだと分かっているが、侯爵に抱かれているだけであの時と同じ 酩酊感を味わえる。その心地よさが、抵抗する気持ちを綺麗に消し去っていた。
「もう恐れる気持ちはなくなっただろう…」
「はい……」
 侯爵の手が、昴のパジャマのボタンを外していた。
「眠る時は裸でいるといい」
「何で裸になるんですか」
「その体のすべてで、直に私を感じるんだ。すると私のことが、より分かるようになる」
「侯爵の手は冷たいです」
 薄いシルクのシャツ一枚だけを身に 纏った侯爵の体からは、体温がほとんど感じられない。だが唇は温かかったことを思い出し、脱がされながら昴の手は、今度は侯爵の唇に触れていた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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