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億万長者の予期せぬ求婚

億万長者の予期せぬ求婚


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 スーザン・メイアー(Susan Meier)
 ペンシルベニア生まれ。結婚して二十年以上になる夫と三人の子供とともに、今もそこに暮らす。販売員や弁護士秘書、地方新聞のコラムニストなどさまざまな職業を経て、現在は執筆に専念。職場で出会ったいろいろな人物をモデルとして作品に登場させている。

解説

不機嫌な大富豪がふと見せた笑顔。でも心の奥までは見えなくて……。

グレナディ国の王女付き秘書官のクリステンにとって、アメリカ人の天才実業家ディーンが最後の頼みの綱だった。祖国の景気回復のため、彼の企業を誘致しなければならないのだ。パリのホテルでつかまえた彼は目を奪われるようなハンサムだったが、傲慢との評判どおり無愛想で冷たく、彼女のことなど歯牙にもかけない。恐怖に震えつつも、クリステンは話を聞いてほしいと食いさがった。すると、リムジンの中で聞く、飛行機の中で聞くと言われながら、けっきょく話す機会を与えられないままニューヨークに着いてしまった。そして、振り回され疲れ果てた彼女に、彼は思いがけない提案をする――「10万ドル払うから、今夜僕とパーティーに出席してほしい」

■さすが億万長者らしい破格の提案をするディーンと、魅力的なうえに多言語を操る敏腕実業家の彼を畏怖するクリステン。超然とした大富豪と世慣れていない純真なヒロインが繰り広げるクリスマス・ロマンスをお贈りします。本作は〈ザヴィエラの花嫁〉関連作です。

抄録

 ぴしゃりと言ったディーンの声がこの話は終わりだと告げ、だめ押しのように彼の電話が鳴った。
 常に自分の思いどおりにするディーンのやり方にむっとして、クリステンは窓の外に目を向けた。滑るように通りを走るリムジンの窓から見るニューヨークの街並みはぼやけている。信号でとまると、巨大な街の高層ビルや街灯を彩るクリスマスのイルミネーションが美しかった。
 午後の買い物のときに気づいてはいたものの、グレナディとはまるで違うニューヨークの街を目の当たりにすると、またもクリステンは息をのんだ。自分の理解を超えるおかしな感情が心に忍び込んできて自信を揺るがそうとする。でも、そうはさせないわ。経験はなくても、私には知識があるのだから。
 それにアーセラの夢を実現するという目標がある。大都会の雰囲気や一人の男性の意見で動揺しないくらい強くならなければ。王女夫妻ときちんと向き合って、アレックス王子の意に反する行動をしたことを謝るためにも。
 クリステンは肩を怒らせ、さらに背筋を伸ばした。少し自信が揺らいだからって失敗するものですか。
 ディーンがようやく電話を切ったときには、アレックス王子との間に何があったにせよ、もう気にしないことにした。起業を目指す人間として、自分が起こした問題は自分で解決しなければ。ディーンならこれをレッスンその三と呼ぶだろう。
 重苦しい沈黙を破ろうと、クリステンは口を開いた。「街はもうすっかりクリスマス一色ね」
「ああ。年々飾りつけが始まるのが早くなっているみたいだ」いったん言葉を切ってから続けた。「ニューヨークに来たのは初めてなのか?」
 クリステンは窓から向き直り、黒い目と目を合わせた。見つめ合うと、例によって肌にぞくぞくするようなうずきが走る。
 こんなに魅力的な男性がいまだに独り身だなんて信じられない。ただ、いくら息をのむほどハンサムでも、彼は気難しい。今夜はそんな彼を普通に――できれば好感が持てる男性に見せるのが私の務めだ。それを肝に銘じておかなければ。
「あまり旅に出たことがなくて。大学時代を除いては家にいるほうが好きだったから」
「だが、ゆくゆくは世界規模の慈善事業を始めたいんだろう?」
 ディーンの口調には批判というより好奇心が感じられたので、クリステンは正直に答えた。「今夜のことは、自分の殻を破って現実の世界に飛び込む第一歩みたいなものよ」
「実に野心的だな」
 クリステンは笑い声をあげた。ディーンがもう気難しくも、堅苦しくもなくてほっとしていた。「ほとんどの人はパリへの旅がニューヨークへの旅に変わるとは考えないでしょう。あなたから短期集中講座で裕福な人のやり方を教わったわ」
「役に立ててうれしいよ。きみが僕の力になってくれているのと同じくらい、きみの力になりたいんだ。あくまでもこれは仕事上の取引だと心得ていれば、僕たちは対等でいられるし、やりやすくなる」
「今のはレッスンその四?」
「いや、レッスンその二と関連している。“仕事とプライベートを混同しない”というルールさ」
「そうね」
 ふとディーンが眉をひそめた。「レッスンその三はなんだったんだ?」
「“自分が起こした問題は自分で解決しなければならない”よ。わかったの。アレックス王子とあなたとの間に何があろうと、私が王室に内緒であなたに会ったという事実には関係ないわ。だから自ら潔く認めて謝らないと」
「いいところに気づいたな。よし、それを正式にレッスンその三にしよう」ディーンが本物の笑みを浮かべた。
 喜びが湧き上がり、クリステンは背筋がぞくぞくした。ディーンがこんなふうにいい人だと、肉体的に惹かれるばかりか、心まで虜になってしまう。私の目を見つめるまなざしが、彼も私に惹かれていると告げているとしたらなおさらだ。
 そのときリムジンがホテルの前にとまった。運転手がドアを開けると、ディーンが先に車を降りてクリステンに手を差し出した。温かなその手に包まれたとたん、ぞくぞくする興奮が雪片さながら彼女の全身に降り注いだ。
 そっと引っ張られてリムジンから降りた拍子に、クリステンはたくましい腕の中に飛び込みそうになった。二人の視線が絡み合う。いくら仕事とプライベートを混同したくなくても、全身に流れる甘い電流のせいで考えずにいられなかった。このデートが本物だったらどんなふうになるかしら、と。
 どうかしているわ。おかしいわよ。
 ディーンは思ったことをそのまま口に出して、いつも自分が正しいと考えていて、自分の思いどおりにしたがる。そういう面からすると、とてもいい恋人にはなれないわ。
 ディーンが身を引くと同時にクリステンも体を離した。もしお互い、この惹かれる気持ちに従ったらどうなっていただろう? つかの間、二人の間にそんな疑問が漂ったが、二人とも何も言わなかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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