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一人にさせないで【ハーレクイン・セレクト版】

一人にさせないで【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャーロット・ラム(Charlotte Lamb)
 第二次大戦中にロンドンで生まれ、結婚後はマン島で暮らす。大の子供好きで、五人の子供を育てた。ジャーナリストだった夫の強いすすめによって執筆活動に入り、百作以上の作品を著す。二〇〇〇年秋、多くのファンに惜しまれつつこの世を去った。

解説

ある夜、ピッパは車の接触事故に巻き込まれてしまう。対向車から降りてきた男性を見て、彼女ははっと息をのんだ。ランダル!ピッパの胸が疼いた――もう4年も経っているのに。彼は当時勤めていた会社の社長で、ピッパは彼を心から崇拝していた。妻子がいると知ったのは、彼に恋をしていると悟ったあと。罪悪感に苛まれたピッパは即座に会社を辞め、姿を消した。彼は逃げ出そうとしたピッパを追いかけてきて言った。「ぼくはもう、結婚していない」いいえ、違うのよ――ピッパは皮肉な運命を呪った。ランダルを忘れるため、別の男性の求婚を受けたばかりだったのだ。

■2000年秋に惜しまれつつこの世を去った後も読み継がれている作家シャーロット・ラム。年の差や、許されない者どうしの恋など、切なさや男女のすれ違いを書かせたら右に出る者はないと言われた彼女の遺作を、どうぞお見逃しなく。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「何かあったのかな?」
 ピッパはぎくっとして反射的に手の甲で涙をふき、背筋を伸ばした。
「別に何も……。ちょっと疲れてしまって」ランダル・ハーディングの視線を避けてつぶやいた。
 彼はつかつかと近づいてきてピッパのあごに手をかけ、顔を上に向かせて見おろした。灰色の瞳で、ピッパの緑の瞳から震えるピンクの唇へと視線を移した。
「泣いていたの?」
「疲れただけです」そう繰り返してピッパは彼を見返した。いつもの体の震えがまた起こるのがわかった。心臓の鼓動があまりに大きく、耳にはその音しか届かない。息がまともにできず、近すぎる彼の瞳に焦点を合わせることもできなかった。
「何かあったのはわかるさ。言ってごらん」
 ピッパは首を振った。口が乾き、血が熱い火となって全身を駆け巡った。それは生まれて初めての経験だった。恐ろしかった。私は恋をしたのだろうか。絶対にだめ、と思いながら、どうやって自分を止めたらいいのかわからない。
 ランダルの顔がどんどん近づいているように思えた。ピッパは燃えている灰色の瞳を見つめた。ぼんやりし、混乱してまともにものが考えられなかった。ふと視線が彼の唇に落ちた。くっきりした形のいい唇――パニックがピッパを襲った。
 あまりに強く望んでいたから勝手に想像してしまっているのだろうか。それとも彼は本当にキスをしようとしているのかしら。次の瞬間、ランダルの唇がピッパの唇に触れ、ピッパは体を震わせて目を閉じていた。
 初めは軽いキスだった。が、それは急に熱を帯び、腕が体に回された。ピッパを椅子から立たせると、彼はぴったりと抱きよせた。太ももが押しつけられ、体温とともにその心臓の鼓動までがはっきりと伝わってきた。
 こんなふうにキスをされるのも、抱かれたのも初めてだった。どうすればいいか、どう感じたらいいのかわからず、ピッパは固く目を閉じてベルベットのような闇に身を投じた。彼の腕の中でなすすべもなく小さくもがき、無意識に力を抜いて唇を開いた。
 彼の唇が離れて魔法がとけると、やっとピッパはまともに考えることができるようになった。屈辱とショックでピッパは赤くなり、次に血の気を失った。
「だめ。やめて。あなたには家庭があるわ」
 ピッパを見おろすランダルが、相反する感情と闘っているのがわかった。彼は長いうめき声をもらした。「そうだ。君に触れてはいけなかった。キスをするつもりはなかったんだ。だがどうしても自分を止められなかった」彼は優しくピッパの頬をなで、指先で唇をなぞった。ピッパの鼓動がまた目覚め、大きくなった。
「やめて」そう言いながらピッパは再びキスされるのを望んでいた。
「君がそんなに若くなかったら……」彼はつぶやいた。「まだ子供なのに。君に近づいてはいけなかった。僕が自分を恥じていないなんて思わないでくれ。ただ、どうしても君のことを考えてしまうんだ。ずっと君にキスしたいと思っていた」
「ランダル」ピッパはまた身震いしてうめくように彼の名を呼んだ。「いいえ、だめよ。いけないわ。あなたは結婚しているもの」えぐるような嫉妬がピッパの心を切り裂いた。「きれいな奥様がいる」
 ランダルの顔がくもった。「そうだ。だが僕らはもうだめなんだ。ほとんど顔も合わせない。妻には一年も前から別の男がいて、家に寄りつかない。なぜプレゼントを買うのを君に頼んだと思う? 妻はジョニーの誕生日など忘れているよ」
「まあ。お気の毒に。円満だと思っていた。みんなもそう言っているわ」ふと別のことを思いついて彼女は唇を噛んだ。「だけどそこに私を巻き込まないで。あなたを慰める道具になりたくないもの」
 ランダルは苦々しげに口元をゆがめた。「君を利用するつもりはないよ、ピッパ。キスをしたのはどうしても我慢できなかったからだ。本当のことを言うと、君に会った瞬間、そうしたいと思った。妻とは関係ない。彼女とはとっくに終わっている。ずいぶん前から僕らの結婚は形だけ、名前だけになっているんだ。今の男が三人目の愛人だよ。長続きはしないが、相手がいる間は彼女は夢中だ。離婚しないのはジョニーのためだ。二度と妻と顔を合わせなくてもなんとも思わないが、息子を不幸にはしたくない」
「かわいそうだわ。お母さんがそばにいなくてさぞ寂しいでしょうね」ピッパはため息をついた。「私もそうだった。子供心に家族がほしくてたまらなかったわ。片親でもいい、私を愛してくれる親がいてくれたら、と思った。ジョニーはお父さんが好きなんでしょうね。息子さんにはあなたが必要だわ」
「片親しかいないのも同然だ。何週間も母親が帰らないのはしょっちゅうなんだから」
「でもいつかは戻るでしょう?」ピッパは大きく息を吸い込んだ。「あなたまで外に女の人を作ったら、いけないわ」
 ランダルは苦笑した。「君は見かけよりずっと大人だし、賢明だね。そのとおりだ。僕は息子を傷つけるようなことはしたくない」彼は乱れたピッパの髪をそっとかきあげた。「それに君もね。君を傷つけたくない。だが僕が君を好きになりかけているのは事実だよ」
 ランダルは、ピッパも自分のことを好きなのを知っていた。彼は危険な予感に体が震えるのに気づいた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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