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傲慢王の花嫁選び〜琥珀の乙女は一途な愛に溺れる〜

傲慢王の花嫁選び〜琥珀の乙女は一途な愛に溺れる〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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解説

おまえはあの瞬間から──おれのものだ
若き国王によるお妃様教育は、夜毎に甘く激しく……。

琥珀の天使と呼ばれる子爵令嬢アメリアが戸惑いながらも迎えたお妃選びの舞踏会。「よかったら一曲、おれと踊るか?」そう差し出された手を取っただけなのに、アメリアは妃と決まり、若き美貌の国王クロワに激情のまま狂おしく愛されることに。「感度がいい──悪くない」無垢なアメリアは愛に身を任せるが、王家が隠す秘密を知ってしまい……?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「……ずいぶんと豪華なお部屋ですのね」
「そうか?」
 クロワはこともなげに言うが、大きな部屋の中央に据え置かれた寝台は、四隅を金箔飾りの支柱が支える天蓋付きの立派なものだったし、吊り下げられた覆いも、完全な闇を約束してくれそうなほど分厚い天鵞絨地だ。房飾りにまで金糸がたっぷりと使われていて、まるでこれでは──王の寝台だ。
「ま、まさか、ここ……!?」
「おれの寝室だ」
 クロワがけろりと言い放つに応えて、アメリアは弾かれたように飛び起きた。
「そんな……っ!」
「寝てろ」
「違うでしょう!?」
 礼儀も失念してただ叫ぶ。クロワがにやりと口の端をつり上げた。
「面白い」
 どきっとした。
「……あっ、いえ、違いますよね。失礼しました。そうではなくて、あくまでもクロワ様がお休みになられるために、ああした騒ぎを装っただけで──、ここに横たわるべきはあなた様でございます」
 体をずらして降りかけて、さあどうぞと場所を譲れば、いいから奥へ行けとやられてしまった。
「寝ろというならいくらでも寝てやるから、少しそっちへ詰めろ」
「いえ、ですからっ……!」
 下着がわりのペチコートの上にパニエまで重ねたスカートが重すぎて、機敏に動けないのが歯がゆい。
 もたついている間に、クロワもまた礼装のまま寝台へあがってきてしまった。
 いくら礼装とはいえ、男女の装いには機能性に差がありすぎる。アメリアはうまく逃げられない。
「ク、クロワ様っ……!」
「騒ぐな、三日寝てないというのは本当なんだ、頭に響く」
 言われてぎくっとするけれど、だからといって素直に従えるものでもない。
「だからこそおひとりでゆっくりと、少しでもお休みになってください。せっかくの貴重な時間です。きっとまだこの先だって長いのでしょうし……!」
「もう、終わった」
「……、は、はい?」
 迫り来るクロワが、けろりと言った。
「もうあの馬鹿騒ぎ自体がおしまいだ。結論ならちゃんと出してきたのだから」
「……え?」
 ぱちくりする間に、アメリアは男性の接近を許してしまう。さらに身を寄せてきたクロワから、逃げようとあわてる肩をそっと押さえつけられた。間近に見つめられて固まった。その美しい唇が──、信じられない言葉をもたらす。
「もう、おまえを選んだ。あの催しにもはや意味はない。きっと今ごろはお開きとなっているか、往生際の悪い大貴族たちが飲んだくれているか、せいぜいそんなところだろう。戻る必要がどこにある」
「…………な」
 とアメリアは自分の口を手で覆った。
 自分が今、なにを聞かされたのか、すぐには理解できなかった。
「え、選んだ、って……」
「おれの誘いを拒まなかったじゃないか。おれはちゃんと、踊るか? とおまえの意志を確認したつもりだぞ」
 その瞬間、よくぞ絶叫しなかったものである。アメリアはあとから自分を誉めたくなったくらいだ。クロワが淡々と続けた。
「王たるおれが誘いを示して、それに否を唱えなかったのだから、つまるところは了承だ。あそこにいた者、皆が証人だ。……そう考えると、レダニヤの提案も理に適っていたのだな。確かにいっぺんに済んで効率がいい」
「……ぁ……」
 と、ようやく小さく喉が開いた。とはいえ、そこからなにをどう言っていいのかはわからなかった。
 知らなかった。
 そんなこと、聞かされてもいなかった。
 父親は知っていたのだろうか。
 あまりにも宮廷ごとに疎い自分が悪いのだろうか。
「そんな……」
 知らなかったと、今さら首を横に振っても、もう遅い。
 思わず肘で後ずさろうとしたアメリアを、クロワはその上半身で捕らえてきた。生々しく感じる体重が──、はっきりと恐怖だった。
「あ、あの……!」
「おまえはあの瞬間から──おれのものだ」
 ゆっくり顔を寄せられる。いつのまにか手首を捕らえられている。驚愕に見開いていた目は、唇と唇が触れ合った瞬間、思わずきゅっと閉じてしまった。
「……んっ……!」
 それは、最初に盗まれた口づけとは、まったく違うキス。
 ただ表面を触れ合わせるだけでなく、しっかりと強く押しつけられた粘膜は、瞬く間にアメリアを息苦しくさせる情熱を秘めていたし、その苦しさからわずかに口を開けば、待っていたかのように舌まで差し入れられてしまった。
「ん、……ふ……!」
 驚いたけれど、噛みしめることはできない。相手は王だ。その玉体に傷を付けることなど、この世の誰にも許されない。
 驚きに縮こまる舌が、クロワの舌によってすくい上げられた。くちゅり……と絡まる不思議な感触が、すぐにアメリアの頭をぼぅっとさせる。
「ふ……、ぁ……」
 なにがなんだかわからない状態だ。
 根元から引き抜かれるように強く吸われて、くらりとした。歯列の先をたどられて、やがて頬の内側すら蹂躙された。
 まさに、貪られている、と言って差し支えないような強烈な口づけ。
 これをこそ本当のキスと呼ぶのなら、先日、医療院で盗まれたものなど、こどもの挨拶程度のことだ。あれくらいで大騒ぎしていた自分が恥ずかしい。

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形式

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