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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

塔の上の秘恋

塔の上の秘恋


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・マリネッリ(Carol Marinelli)
 イギリスで看護教育を受け、その後救急外来に長年勤務する。バックパックを背負っての旅行中に芽生えたロマンスを経て結婚し、オーストラリアに移り住む。現在も三人の子供とともに住むオーストラリアは彼女にとって第二の故郷になっているという。

解説

塔の上に咲いた秘恋の花は、せつない散り模様で……。

赤ん坊のとき母に捨てられ、冷血な医師の父に育てられたヴィクトリア。独りぼっちの少女は父の働く病院の上にある塔で孤独を癒やした。やがて彼女はそこで働くようになり、敏腕ドクターのドミニクと出会う。顔を合わせれば口論する二人だったが、塔の上で鉢合わせしたある日、ふとしたきっかけで激情に駆られて熱いひとときを過ごした。彼に惹かれる想いを抑えて一夜限りの関係と距離を置くことにしたが、思いがけずヴィクトリアは妊娠し、状況は一変した。事もあろうに、人間不信のドミニクは自分の子かどうかさえ疑う始末。それを知ったヴィクトリアは決心した――おなかの子は私一人で育てるわ……もう私には近づかないで!

■ロマンス作家として円熟の境に入った感のあるC・マリネッリ。本作は、親の愛を知らない孤独なヒロインと過去の衝撃体験から人間不信に陥っているヒーローの一筋縄ではいかないドキドキの恋物語で、ウィットに富んだ会話も楽しめます!

抄録

「あなたはどうやってこの部屋を見つけたの?」ヴィクトリアはもう一度尋ねた。
 彼の答えは驚くべきものだった。「二、三カ月前に君がこっそり棚の裏に入るのを見たんだ。それでどこへ行くのかと思って自分の目で確かめた」
「そんなはずはないわ」ヴィクトリアは思わず反論した。「いつも絶対見られないようにしているもの。それにあなたが近くにいればわかる……」はっとして口をつぐんだ。まるでいつも彼がどこにいるか気にしていると認めたようなものだ。
「待合室で患者の親に説明をしてたんだ。そうしたらガラス越しに君が見えた」
「ああ、緑の制服が目立つのね」
「緑の制服のせいじゃないよ」
 ヴィクトリアは笑った。確かに。今は黒だし。
 でも彼も私のことを気にしていると認めたってことじゃない?
「今夜も私が棚の裏に入るのを見ていたの?」
「そうじゃない。一人になりたかったんだ。君はもう帰ったと思っていたよ」
「そうよ。本当はデートの約束があったんだけど」おしゃれをしているわけをついでに説明しておく。「でもやめたの」
 悲しそうだった本当の理由はそれか、とドミニクは思った。
「別れたのかい?」
「今日が二度目のデートだったから、別れたという言い方は当てはまらないかも」
 ぞんざいに肩をすくめるヴィクトリアを見て、確かにそれを悲しんでいるわけではないとドミニクは思った。だとすればこの病院がなくなるのが本当に悲しいのだろう。
「そうか。きっと彼はがっかりしているだろうな」言ったとたん、撤回したくなった。まるで口説こうとしているみたいだ。「つまり、僕が言いたいのは――」そこでまた口をつぐむ。どんな言い方をしようと誘っているように聞こえそうだ。それだけは避けたい。
「これがお互いのためだと思うの」ヴィクトリアが続ける。「あの人、交代制の仕事というものをちっともわかっていなかったから」そこでまたさっきの質問に戻る。「それより、あなたはどうしてここに来たの?」最近彼の身に何かあったらしいが、それを知りたかった。
「ごたごたの最中で気がめいっているからさ。いや、最中じゃない。自分で終わりにしたことだから。とにかく、もう人とは深くかかわらないことにした」
「よかったわ。私も仕事では必要以上に人とかかわらないようにしているから」
 そう言いつつもこの部屋には二人きりだ。救命室で見つめ合ったときの緊張感が再び二人を包み込む。
「あなたは結婚しているの?」
 プライベートな質問だが、ヴィクトリアには重要なことだ。冷たい空気が徐々に熱を帯びてくる。
「していない」
「恋人は?」
「いないよ」いればこんなことはしない。ドミニクは手を伸ばしてヴィクトリアの頬に触れた。「イヤリング、もらってきたんだね」
「父からのプレゼントなの」
「それはよかったじゃないか」
「そうでもないわ。十八歳になったから仕方なくくれただけよ。何が好きかきいてくれれば、ダイヤモンドは嫌いだと言ったのに」
「どうして嫌いなんだ?」
「おとぎばなしは信じないから。永遠という言葉もね」
 ダイヤモンドを見るドミニクの指先が耳たぶに触れ、ヴィクトリアは息を詰めた。
 もしこれがほかの誰かなら、その手を払いのけているところだ。
 だがドミニクに対してはわざと誘うようなことを言った。「なくしたのはそっちじゃないわ」
 ドミニクがヴィクトリアの顔を横に向け、反対の耳に触れる。
 ばかげたことをしているのは二人ともわかっていた。仕事で顔を合わせる相手と親しくなりすぎるのはよくないとわかっていながら、惹かれる気持ちをとめられない。
 会えば言い合いになる理由もわかっている。肉体的に惹かれ合っているからだ。
「ヴィクトリア、今は誰ともつき合えないんだ」
 二人は向かい合って立っていた。ドミニクの両手がヴィクトリアの顔を包んでいる。張りつめた空気が震える。彼はもし何かあってもこれっきりだと言っているのだ。二人の将来はないと。
「かまわないわ」
 ヴィクトリアは本気でそれでもいいと思った。
「ダイヤモンドが嫌いなら、何が好きなんだい?」ドミニクが唇を近づける。寒いはずなのに彼との間の空気は熱い。
「これよ」
 温かい唇がそっと重ねられた。ムスクと石鹸の香りにヴィクトリアは頭がくらくらした。ドミニクの舌が滑り込んでくると、ヴィクトリアはさらに体を寄せた。彼が片手で頭を支え、もう一方の手をウエストにまわして引き寄せる。
 まるでダンスの基本のポーズみたい。先生に“手はこことここに置いて”と言われたみたいに。
 でも違うわ。
 ダンスなら体が震えたりしないはずだもの。しかも彼の手はこんなに温かいのに。
 初めは軽いキスだったが、ドミニクはさらに指を髪に絡ませ、舌を深く差し入れてきた。彼女の舌と触れ合うと、待ちかねたように味わい始める。
 情熱が二人を縛りつけ、彼の手がさらに強くヴィクトリアを引き寄せた。
 これまで高まる思いを封じ込め、口げんかで気持ちをごまかしてきた。それをたった一度のキスでまぎらすことなどとてもできない。
 濃厚なキスが二人の欲望をあおり、ドミニクがキスを深める。彼のざらざらした髭の感触と舌の動きがたまらなくセクシーだ。だがそのとき、ほかの男性ならほとんどないことだが、ヴィクトリアは彼がためらっているのを感じた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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