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シチリア富豪とシンデレラ

シチリア富豪とシンデレラ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 スーザン・スティーヴンス(Susan Stephens)
 プロのオペラ歌手として活躍していた経歴を持つ。夫とは、出会って五日後には婚約をし、三カ月後には結婚したという。現在はチェシャー州で、三人の子供とたくさんの動物たちに囲まれて暮らしている。昔からロマンス小説を読むのが大好きだった彼女は、自分の人生を“果てしない、ロマンティックな冒険”と称している。

解説

抗いがたいラテンの情熱は、孤独な乙女に新たな命を授け……。

シチリアの大富豪ルカは、不慮の死を遂げた弟がジェニファーという天涯孤独の苦学生に莫大な信託財産をすべて遺したと聞き、耳を疑った。金目当ての小娘の策略にはまるものか――彼は一計を案じた。一方、そんなこととは知らないジェニファーはある日、アルバイト先のささやかなチャリティ・オークションで自分とのデート権を出品させられ、おどおどと舞台に上がった。イタリア系の男性が突然現れ、1万ドルを提示する。彼は誰なの? 熱く危険な視線は、無垢なジェニファーの心を一瞬で射貫き……。

■なにか事情があるのだろうと疑いながらも、古代ローマの剣闘士のごとくゴージャスで力強い彼に誘惑され、心を奪われていくジェニファー。ルカの本当の目的を知るのは、清らかな身を捧げ、子を宿したあとでした。人気作家が腕をふるった究極のシンデレラ物語!

抄録

 ジェンはどうにか視線を引きはがすと、窓辺に並べた植物の鉢の土を指の関節でそっと確かめていった。大半はオークションハウスのオフィスで見捨てられていたものだが、一つ、小さなピンクのバラだけはリディをしのぶために自分で買った。これからはきっとカジノで寂しげにしていたラウル・テバルディのことも思い出すことになるだろう。
 そろそろ、ルカとの大切なデートに何を着るか決めないと。自分のワードローブを恥じてはいなかった。たいてい古着屋で、コレクターの観察眼を逃れたヴィンテージものを買うのだけれど。すでに数着は候補から外している。ルカが選びそうな高級レストランは想像がついた。億万長者の彼に、着る服で並ぶのはどう考えても無理。そこでジェンは中古のガウンレールに吊した衣装の中から、きれいな五〇年代風のドレスを選んだ。ロイヤルブルーの軽やかなコットン生地で、一面に白い花模様が散っている。スカート部分は大きくふくらんでウエストが引き締まり、七分袖には白い折り返しにカフスがついていた。胸を強調するようにダーツが取られ、前面に小さなパールのボタンが並んでいて、ウエストに共布のベルトがついている。ハイネックで白いピーターパンカラーのついたこのドレスを着ると、ジェンはしとやかな女性になった気がした。ジーンズや、オフィスで着るネズミ色のスーツとはまた違うし、ミズ・バニーの衣装よりはるかに控えめ。“見かけで中身を判断するな”とは言うけれど、人は見かけで判断するもの。だから今夜はこれが最適。
 ドレスはある意味、鎧だもの。玄関のベルが鳴ったとたん、脈拍が興奮から狂乱へと跳ね上がるのを感じてジェンは思った。今夜は鎧が必要な気がした。ルカは友好的だけれど、挑戦的なところもある。いずれにしても、自分をしっかり持たないと。ジェンはショールを手に取ると、ドアを開けた。
「驚いたな」ルカはそう言い、全身を眺めた。
 どこかおかしい? 五〇年代風はやりすぎだったかしら? 連れていく気をなくした?
 最初からわかっていたことじゃない、とジェンは思った。ルカはゴージャス。こっちは平凡。ルカはリッチ。こっちは貧乏。でもルカにはディナーをともにする権利があるし、慈善団体は彼のお金を必要としている。リディを亡くしたとき、ジェンは命を尊重し、生きていることを最大限に活用しようと誓った。これはその誓いを果たす完璧な機会だった。
 ルカがジェン越しに部屋の中をのぞき込んだ。どう思われているかは察しがつく。この家はごく一般的だけれど、ジェンが借りている部屋は違う。派手な色使いに加え、今夜何を着ようかひと騒動起こした痕跡がまだ残っている。彼はしゃれた上流社会に生きている。こんなところを見たことがあるかどうか……。
 意を決して――かっちりした五〇年代風ハンドバッグを肩にかけて――ジェンは鍵を手に取ると、エスコートの男性にほほ笑んだ。
 ルカの黒っぽい瞳が全身をざっと滑る。「すてきだ」
 よかった。これでひと安心。ルカも悪くない。カジュアルな格好がよく似合っている。でも明らかにグルメ・レストラン用ではなさそうだ。落ち着くのよ。一緒に歩きながら、ジェンは自分に言い聞かせた。車の脇で立ち止まる。車体の低いモデルで、艶やかな黒の超高級車だった。エンジンが低くうなりをあげ、すぐに轟音をあげそうなタイプ。
「手を貸そうか?」ルカが丁重に尋ねた。
「いいえ、平気」ああ、この唇! かすかにほころんでいて、罪作りな唇――相手をとろけさせて、じらす――。
 だめよ、気を許しては。ジェンは自分に言い聞かせた。でも今夜の彼はなんて紳士的だろう。礼儀正しくて魅力的。ルカが助手席のドアを開けて一歩下がったとき、ジェンは思った。しかも目を奪うほどゴージャス。映画スターも及ばない男性的な魅力に満ちている。しかもその目はいくつもの物語を、そのほとんどがみだらな話を語りかけてくる。ジェンは慌てて目をそらしたものの、見ていたことには気づかれていた。頬を緩める彼に、ジェンは平原を駆ける狂暴なタタール人を思い出した。何しろ彼はよく似ている――乱れた黒髪や傲慢そうに弧を描く漆黒の眉で。ジェンは広がるスカートを押さえて、精いっぱい優雅に車に乗り込んだ。まるでいつもそうしているみたいに。バスに乗り込むよりは気を使うけれど、でもこれくらい――。
 本当に? ヒールがドレスの裾を踏み、ジェンは悪態をついた。
「手を貸そう」ルカが言った。
 ジェンがどうにかする前に、ルカが前にひざまずいて裾をヒールから解放した。
 どうしよう! このままだと――招かれざる感情が心に忍び込みそうで、ジェンは断固それを振り払った。でも、これはゲームじゃない。本物のデートよ。ルカの磁石のようなまなざしに見つめられ、ジェンは思った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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