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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ 別冊

仮面の夫

仮面の夫


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆2
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著者プロフィール

 キャロル・モーティマー(Carole Mortimer)
 ハーレクイン・シリーズでもっとも愛され、人気のある作家の一人。1978年にイギリスでデビューして以来、これまでに刊行された作品は実に百冊を超える。十四歳のころからロマンス小説に傾倒し、アン・メイザーの作品に感銘を受けて作家になることを決意した。キャロルは三人兄妹の末っ子としてイギリスはベッドフォードシャー州の小村で育った。一時は看護師を志したが、転倒した際に痛めた背中が治りきらず断念。その後、某有名文房具メーカーのコンピューター部門に勤め、そこで働く間に時間を見つけて小説を書くようになった。物語を書くときに一番楽しいのは、ヒロインとヒーローの性格を考えるとき。書いているうちに徐々に主導権がヒロインとヒーローに移り、いつのまにか彼らが物語を語りはじめるのだという。現在キャロルは“イギリスで最も美しい場所”マン島に、夫と子供たちと住む。

解説

5年前、ケリーはハンサムな実業家ジョーダンと、大恋愛の末、結婚した。しかし妊娠直後、夫と秘書の旅行計画を耳にし、ショックで流産して以来、家を出て父と暮らしてきた。ところが、その父が事故に遭い、記憶喪失に陥ってしまった。父の記憶にあるのは、ハネムーンから戻ったばかりの仲睦まじい二人の姿。ケリーは、知らせを受けて病院に駆けつけた夫とともに、医師のすすめで新婚夫婦を演じることになる。ジョーダンに自分の所有物とばかりに強引にキスされ、ケリーは動揺した。幸せだったあの頃の二人に戻るなんて、できるはずないわ。もう夫の愛を信じられないというのに……。

■〈忘れえぬ愛の記憶〉と銘打ちお贈りする企画第3弾は、エリザベス女王からもその功績を認められた、イギリスの誇る大作家、C・モーティマー。5年間も音信不通にしていた夫との再会。彼の裏切りで愛は消えたと思い込んでいたヒロインでしたが……。

抄録

「鏡の中で自分の姿をよく見るんだな。ジーンズとシャツでも着れば、男か女か見分けがつかないくらいやせているじゃないか!」
 ケリーはあわてて髪に手をやった。「やせたことは知っているわ――」
「やせただって? 目ばかりぎょろぎょろさせて、君はまるでがい骨だよ」
 ケリーはまばたきして涙を抑えた。「ここ二、三日、食欲がなかったの」
「もうずいぶん前から、君はこんな状態だったのだろう? それに、君はこんなにすぐ涙ぐむ女ではなかったよ。君が泣きそうになったのは、これで三度目だ」
「ごめんなさい」ケリーはまた鼻をくすんといわせた。
「謝ることはないさ。君がぼくを捨てて出ていった時の氷のような冷ややかさに比べれば、泣かれるほうがずっとましだよ」
 ケリーは、父の手をぎゅうっと握り締めた。父の支えがなければ、自分はまったく無力だ。ジョーダンのもとを去ってから、どれほど父に頼っていたことか……。父の支えがなかったら、ジョーダンの女性関係に気づいた後でも、自分はたぶんジョーダンのもとにとどまっていただろう。父は決して賛成ではなかったが、最後には、家を出るというケリーの願いを聞き入れてくれたのだ。理由も尋ねないで。
「わたしは氷のようではなかったつもりよ。ただ、現実を悟っただけ。二人で永久に幸せに暮らす――そんな甘い夢からさめただけだわ。わたし、ずいぶん子どもに思えたでしょうね、ジョーダン」
 ジョーダンは寂しそうに言った。「君は……魅力的だった。まるで春のそよ風のように、すがすがしかった」
「わたしがナイーブだった、と言いたいのね?」ケリーは冷ややかに言い返した。
 彼の灰色の目が、ケリーを切り裂くようににらんだ。「君が魅力的だった、と言っているんだ」
「そうなの? でも、わたし以外にもたくさんの女の人を魅力的だと思ったのでしょう? たとえば、ジャネットとか……」
「ジャネットはぼくの秘書だ。それ以上の関係はない」
「秘書の仕事の定義しだいだわ。あなたとベッドをともにするのも秘書の仕事の一部だ、と思っているのね? ビジネスと割り切ってしまえば、ことは簡単でしょうね」ケリーはアンジェラのことを思い出して苦々しく言った。
「何が簡単なのだ?」ジョーダンはかみつくようにきき返した。
「わたしの言いたいことはご存じのくせに。わたしたちが別れてから、何人の……秘書を雇ったの?」
「三人だが……」
「三人だけ? まあ、驚いたこと!」
「ケリー」ジョーダンは怒りだした。
「ところで、あなたが残る? それともわたしが先に残りましょうか?」ケリーは話題を変えた。
「ぼくたちは話し合いの途中じゃないか。‘けり’がつくまでふたりともここにいるんだ」
「何年も前に、‘けり’はついていると思うわ。さあ、あなたが残るの? それともわたし?」
「ぼくが残る」
 ケリーは立ち上がった。「ではわたしは出かけてくるわ」彼女は父の上にかがみ込んで、ほおにそっとキスした。
「ケリー……」ジョーダンが出ていこうとするケリーをドアのところで呼び止めた。
「何?」ケリーは振り向いた。なんと男らしい魅力にあふれているんだろう! ジョーダンの存在そのものが磁石のように女の心を引きつける。ケリーは息をのんだ。
「何か忘れていないかい?」彼は優しくきいた。
 ケリーは手に持っているハンドバッグを見た。彼女が持ってきたただひとつの持ち物だ。「いいえ、何も忘れているとは思わないわ」
「でも、ぼくは君が忘れ物をしていると思うんだ」ジョーダンは心を決めたように、ゆっくりとケリーのところへ歩み寄った。
 ケリーは後ずさりした。彼の顔つきが気に入らなかった。何か恐ろしい雰囲気を漂わせているのだ。「な、何をするつもり?」
「君が当ててごらん」ジョーダンは手を伸ばして、ケリーをゆっくりと抱きすくめた。
「だめ……」彼の唇がケリーの唇を奪った。周囲がぐるぐる回り始め、ジョーダンだけががっしりと真ん中に立っている。骨も砕けそうなほどきつくケリーを抱き締め、砂漠の旅人がオアシスの清水を飲むように、彼女の唇をむさぼりながら。
 ケリーはあしのように体をしならせて、両腕で彼の肩にすがりついた。狂おしい興奮に震えながら、つま先立ってジョーダンの接吻に夢中でこたえる。
 ジョーダンは満足そうにうめいた。ケリーの体の秘密を、彼はケリー自身よりも深く知りぬいていたが、今も何ひとつ忘れてはいないようだ。
 ケリーはどうにか理性を取り戻すと、彼から身を引き離した。大きくあえぎながら、彼を見上げる。彼は髪を乱しほおにはかすかに赤みがさしていた。
「この次にキスする時には、もう少しふっくらしていてほしいな。まるで骨を抱いているみたいだった」ネクタイを直しながら、ジョーダンが言った。
「だったらわたしを抱かなければいいんだわ!」ケリーはきっぱりと言い捨てるなり父の病室を出て、後ろ手でドアを閉めた。


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