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涙の初恋 ワイオミングの風

涙の初恋 ワイオミングの風


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツスペシャルワイオミングの風
価格:900pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

初めてときめきを感じた人が、こんな冷酷非情な男性だなんて……。

やむなき事情でワイオミングに来たメリーは、友人に連れられ、その兄である全米有数の企業の会長レンの広大な家に身を寄せた。背が高く豊かな黒髪のハンサムな彼を見たとたん、メリーのみぞおちにえも言われぬ衝撃が走った。これが……恋に落ちるということなの?ところが、一方のレンはメリーの姿を目にするやいなや、なぜかあからさまな敵意をむき出しにした。「僕に色目を使っても無駄だ!」そう言い放ったうえにその後もメリーを軽い女として扱い、ますます彼女のうぶな心を傷つけるが……。

■北米ロマンス界の最重鎮ダイアナ・パーマーの新たなライフワークとも言える大人気シリーズ〈ワイオミングの風〉の最新作をお届けします。『もてあそばれた純情』でヒロインの妹として顔を見せていたメリーが主人公。これまで幸薄かった彼女の初恋にご声援を!

抄録

「君がこれを描いたのか?」レンは驚きの表情で尋ねた。
「あの……ええ」メリーの頬が赤く染まった。あの絵は? あれもレンに見られたの? 彼女はもう一つのキャンバスに目をやった。それが壁を向いたままであることを確かめて、密かに胸を撫で下ろす。
「少し絵が描ける、と言ってなかったか?」レンは問いただした。
 メリーは肩をすくめた。「ええ、少しだけ」
「これはプロの作品だ」レンはまだ混乱していた。テキサスから来た客人の才能にショックを受けていた。彼はこんなふうに絵を描ける人間をほかに知らなかった。これほどの技術と洞察力で描かれた絵をあまり見たことがなかった。キャンバスに描かれた馬は、頭と首と背中に傷跡があった。だが、何よりも印象的なのはその瞳だった。馬に魂があるのかどうかはわからない。でも、この馬には確かに魂がある。馬の瞳を眺めているうちに、彼は奇妙な感覚に襲われた。馬ではなく、虐げられた人間を見ているような感覚に。
「ありがとう」メリーはつぶやいた。
「ほかの作品はないのか?」レンは壁に向けられたキャンバスを見やった。
「あれは描きはじめたばかりだから。まだ人には見せられないわ」メリーは小さな声で答えた。
 レンは首を傾げた。「だったら、スケッチは?」
 一瞬ためらったものの、メリーはスケッチブックとキャンバスがしまってある戸棚へ近づいた。そこから大判サイズのスケッチブックを取り出し、しぶしぶ彼に手渡した。
 レンは椅子に座ってスケッチブックを広げると、夢中でページをめくった。そこにはデルシーがいた。鉛筆で内面の美しさまで表現されたデルシーが。カウボーイたちの姿もあった。コルターズ・プライド六四四三――つややかな黒毛の雄牛は実物に生き写しで、今にもページから抜け出てきそうに見えた。
 すべてのスケッチに物語があった。誇り。嘆き。痛み。喜び。悲しみ。表情豊かな瞳には、モデルとなった人々の過去と現在が描かれていた。
「たいしたもんだ」レンは感嘆の声をもらすと、視線を上げた。「君がいつも食事に遅刻する原因は、これだったんだな」
 メリーは肩をすくめた。「絵を描いていると我を忘れてしまうの。線の位置がおかしいとか、影が薄いとか、右目と左目が合っていないとか。そうなると、消しては描いての繰り返しよ」彼女は悲しげに微笑した。「サリーにもよく言われたわ。あなたは竜巻に襲われても絵筆を放さないだろうって。実際、そうかもしれないわね。絵を描いている時は時間の感覚もなくしちゃうくらいだから」
 レンは頭を傾けた。メリーの寝間着姿に違和感を覚えたからだ。彼はメリーが悪夢にうなされた夜のことを思い出した。彼女は弟のガールフレンドだ。この前、電話をかけてきたランドールに念を押されただろう。メリーはアンジーとは違う。彼女は僕のものだ。だから、手を出すなと。
 メリー。ランドールが言っていた。彼女の本当の名前はメレディスだと。僕はメレディスのほうが好きだな。そのほうが彼女に似合っている。レンは彼女の全身を包む分厚いコットンのローブを眺めた。そして最後にむき出しの足に目を留めて微笑した。
「この家は裸足で歩き回れるほど暖かくない。僕みたいに風邪をひくぞ」
 メリーはもぞもぞと爪先を動かした。「私は寒くないわ」
「スリッパを持っていないのか?」
「今度ネットで買うわ」
「前にも言ったが、町に僕のつけが利く店がある。デルシーとそこへ行って、コートを買え。スリッパも」レンは唇をすぼめた。「あとはイブニングドレスだな。きれいなやつを選べ。ドレスに合う靴とバッグも。ドレスの下に着るものも」彼はメリーに好奇のまなざしを向けた。この分厚いローブの下には何が隠されているのだろう?
 メリーはローブの前をかき合わせた。「なぜイブニングドレスを?」
「パーティがあるからだ。本当は行きたくないが、僕が行かないとまた噂になるだろう。アンジーも来ることになっているから」レンは冷ややかな口調で付け加えた。
 アンジー。メリーは家政婦との会話を思い返した。レンを裏切ったという例の女性ね。「パーティ?」
「ああ」レンは冷めた目で彼女を見据えた。「ダンスはできるよな?」
「いいえ」メリーは沈んだ声で答えた。
 黒い瞳が見開かれた。「君はダンスもできないのか?」
 メリーの頬が赤く染まった。「パパにデートを禁じられていたから。ダンスをする人はテレビで観たわ。一度だけサリーとチャチャチャを踊ったこともあるけど……」彼女の声は徐々に細くなり、そこで途切れた。
 レンは椅子から身を乗り出した。「一度だけ?」
「パパに見つかってしまって。パパはダンスは悪いことだと信じていたから……」メリーは唾を飲み込んだ。「だから私、ダンスはしないの」
「僕が教えてやろう」
 メリーは黒い瞳を見上げた。縮こまっていた心がとろけていく気がする。「あなたが?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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