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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

気高き王と金色の乙女

気高き王と金色の乙女


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マギー・コックス(Maggie Cox)
 十歳のときに学校の先生から、あなたは必ず作家になると言われて以来、作家になることを夢見てきた。秘書職を得て結婚したのち、ついに夢を実現した今は、“決してあきらめなければ誰にでも夢を叶えることができる”と語る。母親として忙しい毎日を送っているが、あいた時間はドラマやロマンチックな映画を見て過ごすという。

解説

汚れなき秘書は罠に落ち、独り愛し子を慈しみ育てた。

シーク・ザフィールの別邸の外壁からダーシーは転落した。彼が結婚する前に息子の存在を伝えなければと焦った結果だった。ザフィールに会うのは、彼の秘書から恋人になったダーシーがほかの重役に唇を奪われ、激怒した彼に捨てられて以来だ。護衛とともに現れた彼は、ダーシーを抱き上げて邸内へ運んだ。高貴な顔立ち、流れるような黒髪、心をかき乱す漆黒の瞳――この4年、幾夜となく夢に現れたザフィールの魅力を前にひどく狼狽しながらも、ダーシーは言葉を絞り出した。「あなたに解雇されたとき、私は妊娠していたの」

■ダーシーへの不信感をあらわにしつつ、検査で事実が確認できるとザフィールは政略結婚を白紙に戻し、彼女を后として国に迎えます。未知の国の宮殿で暮らしはじめた母子を待ち受ける運命とは……。異国情緒あふれる魅惑のロイヤル・ロマンスをお楽しみください。

抄録

「だったら、言わせてもらう」
 ブラックジーンズと革のブーツの上に優美なローブをまとったザフィールは、彼女につかつかと歩み寄った。そして衣擦れの音をたてながらダーシーの正面にかがみこみ、車椅子の肘掛けに添えられている彼女の手をつかんだ。焼けつくような熱い手で触れられ、ダーシーは息をのんだ。
「明日、僕はまず、サミーと一緒にDNA鑑定を受ける。自分が本当に父親だとわかり次第、あの子のために早急に行動を開始する」
「どういう意味?」
 ザフィールは頬の筋肉をぴくりと動かした。「後継者ができたことを、一族の者に知らせる。そのために、サミーをザカリアに連れていって家族に会わせる」
「ちょっと待って。私があなたにあの子をザカリアへ連れていかせると、本気で思っているの? サミーは私の息子でもあるのよ。それを忘れないで、ザフィール。生まれてからずっと、あの子を育ててきたのは、あなたではなく私なのよ」
「だが、そうなったのはいったい誰のせいだ、|いとしい人《ハビビ》?」ザフィールはダーシーの手を握る手に力をこめ、彼女を引き寄せた。「君は何度も僕と連絡を取ろうとしたと主張している。だが、その真偽が判明するまでは、事実はただひとつ、僕は自分に子供がいるとは知りもしなかったということだけだ。DNA鑑定でサミーに僕の血が流れていると証明されたら、ただごとではすまなくなる。君にはそれを理解してもらわねば」
「私を脅しているの?」彼の高圧的な態度に、ダーシーは青ざめた。「この国にはちゃんと法律が――」
 しかし、ダーシーにはその先を言う機会が与えられなかった。いきなり彼にウエストをつかまれ、抱き寄せられたからだ。次の瞬間、ザフィールは彼女の唇を、我がもの顔で奪った。激情に任せて唇を求める乱暴なキスは、憤激と、やけどしそうなほど熱い欲望に満ちていた。
 初めて彼と結ばれた夜、二人をベッドへと駆り立てたのも、たぎるマグマのように噴き出した激情だった。それでも、あのときダーシーが彼に肌を許したのは、ザフィールに恋をしていたからだ。
 ザフィールと愛を交わした結果、ダーシーは妊娠してしまった。けれど、彼との関係が悲劇的な結末を迎えても、中絶を考えたことは一度もなかった。なぜなら、初めからはっきりと確信していたからだ。私はザフィールの子供を宿す運命にある、と。
 でも、今こうして私が彼から受けているキスは、怒りのこもった罰の味がする。こんな経験は初めてだった。体の内にみなぎる熱い欲望を抑えこんで、ザフィールを押しのけなければ。この男性は弟の嘘を信じ、私を裏切った。そのせいで私は失職したうえに、多大な犠牲を払う羽目になった。そんな人をどうして信用できるだろう?
 涙がこみ上げてきて、息が詰まる。彫りの深いアラブ系の顔をのぞきこんだ瞬間、ダーシーは心を決め、体を引いた。ザフィールは罪悪感のかけらもない表情をしている。それどころか、抱擁を切り上げられて憤然としているようだった。彼はダーシー同様に息を切らしつつ、手の甲で唇を拭った。そしてさっきよりも乱暴に彼女を車椅子に押し戻した。
「今後はすべてが君の思いどおりにいくわけではない、ダーシー。こうしてまた僕と関わることになったからには、事情は大きく変わってくる。明日の朝、君とあの子を迎えに来て、病院に連れていく。それまで君はできるだけ体を休め、元気を取り戻しておくんだ。僕が出ていっても、玄関のドアに鍵をかけるな。車から君の松葉杖を取ってくるから」
「もう鑑定の結果がわかっているようなふるまいね。サミーの父親は別の男性かもしれないと少しでも思っていたら、あなただってここまではしないはずだもの」
「世の男たちと同様、僕も女の策略にははまりがちだ。だがその点については、自分はけっして誤った方向に傾いてはいない、と思いたい。我が国では、統治者は息子を作ることが必要不可欠なんだ。ザカリア王国は裕福だが、周辺諸国と比べて規模が小さい。我々が子孫を作らなければ、他の大きな民族に乗っ取られる危険がある。サミーが本当に僕の子かどうか確かめることがどれだけ重要かは、とても語り尽くせない」
 ザフィールがそう言い残して出ていったあと、表でラシードと話す彼の低い声が聞こえてきた。事の重大性がいっきに身にしみてきて、ダーシーは体を震わせた。
 いつかまたザフィールがあなたの前に現れて、サミーの親権を要求する――そんな予言をこれまでに受けていたとしても、きっと私は信じなかっただろう。だが、それは思い違いだった。さっき彼から焼きごてのような熱いキスをされた唇は、今もほてってちくちくしている。痣になりそうなほどに。
 赤く腫れた唇におずおずと指先で触れ、ダーシーはため息をもらした。ザフィールが我が家に来たのは、私の想像などではなく、まぎれもない現実だ。ダーシーはわかっていながら、まだ夢の中にいるような気がしていた。そこにザフィールが戻ってきて、小脇に抱えた松葉杖をソファの脇に置いた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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