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獅子王は初心な子ウサギを淫らに愛でる

獅子王は初心な子ウサギを淫らに愛でる


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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解説

お前の身体は、どこもかしこも美味そうだ
強面王は愛しき王女を溺愛したくて囲ってしまい……!?

国を失った王女・キャロリーナを救い出してくれたのは、自国を滅ぼした強国の王・ザイードだった。敗戦国の王女とは思えないほど丁重に扱われ、ザイードはキャロリーナを妻として過剰なまでの庇護欲をあらわにしてくる。蕩ける愛撫と濃密な愛の日々に翻弄されるうちにキャロリーナは自国を想う気持ちと芽生えたザイードへの恋心に惑い始め……。

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「そう硬くなるな、すぐに食事がくる」
 キャロリーナは目を丸くする。
「え? 風呂の中で食事をするの?」
 きょとんとした表情が面白かったのか、ザイードがくすりと笑う。
「そうだ。私は大抵、朝食は風呂の中で取る」
 スヴェニカ王国では、食事は三度三度、きちんとした服装に着替え食卓で摂ったものだ。
 裸同然で食事をするなど、やはり野蛮な国なのだ、と思う。
 すぐに浴室の扉がノックされ、侍女たちが簡易テーブルや食器や食べ物のワゴンなどを運んできた。
 浴室の中で敵国の王の腕に抱かれている姿を見られて、キャロリーナは羞恥にずっとうつむいていた。
 侍女たちはテキパキと食卓の用意をすると、あっという間に浴室を出ていった。
「さあ、食事にしよう」
 ザイードは寛いだ表情で、目の前にしつらえられた簡易テーブルの上のグラスを取り上げ、デキャンターからなみなみと葡萄酒を注ぐ。
「喉を潤せ」
 キャロリーナはつんとして首を振る。
「──いらないです」
 ザイードは気を悪くしたふうもなく、そのグラスは自分でぐっと空けてしまう。それから、いきなりキャロリーナの唇を奪った。
「あ──」
 なめらかな葡萄酒が、喉を滑り落ちていく。
「ん、ん……」
 思わず飲み下してしまう。
 芳醇な香りと優しい口当たりの葡萄酒が、身体の隅々まで潤すような気がした。
「どうだ? 我が国自慢の葡萄酒は、格別だろう?」
 胃がじんわり熱くなり、にわかに空腹を覚えた。
 昨日は緊張でろくに食事が喉を通らなかったのだ。だが、浴室での食事などはしたないくて、とても皿に手が伸びない。
「ピタはどうだ? お前の国のパンとは違って平たく硬いが、なかなか美味いぞ」
 ザイードは籠に盛った平たくて穴のたくさん空いたパンを手に取ると、なにかのパテをナイフで塗りつけ、一口大にちぎってキャロリーナに差し出す。
「けっこうで──んふっ……」
 断ろうとしたが、無理矢理口の中にパンの欠片を押し込まれる。
「んっ……」
 濃厚で香り高いなにかの肉のパテの味が、口中に広がっていく。思った以上に美味で、思わず咀嚼してしまう。
「どうだ? ハーブが効いていて美味いだろう。駱駝のレバーのパテだ」
「ら、駱駝……っ」
 キャロリーナは目を白黒させて、慌てて口の中のものを飲み込んだ。
 その様子が可笑しかったのか、ザイードが目を細める。
「駱駝がいやなら、リンゴやイチジクのジャムもある。こちらの砂漠亀のスープも珍味だぞ。ああ駝鳥肉の燻製ソーセージも試してみろ。そら、もっと食べるがいい」
 ザイードはまるで雛を育てる親鳥のように、甲斐甲斐しくキャロリーナの口に食べ物を運ぶ。ナイフとフォークを使う彼の手さばきは実に優雅で、見とれてしまうほどだった。
 キャロリーナは吐き出すわけにもいかず、仕方なくされるがままになっていた。
 実のところ、ムハームド王国の食べ物はどれもとても凝った味付けで美味だった。
(獅子王は、生肉を手づかみで喰らうという噂だったのに──)
 思い描いていた蛮族の王のイメージとは大きくかけ離れたザイードに、キャロリーナは戸惑うばかりだ。そして、逆らうこともせず彼の腕の中に囲われている自分に、苛立ちと不可思議な安堵感という相反する気持ちを抱く。
 皿の上がすっかり空になると、ザイードは満足そうに目を眇めた。
「久しぶりでゆったりとした気持ちになった──ここのところ、ずっと遠征遠征だったからな」
「っ──」
 その言葉で、はっと我に返った。
(そうだ、この人は軍隊を引き連れ、弱小国を次々手中に収める、野蛮な王だった)
 警戒しようと身を硬くすると、ザイードが赤子をあやすようにゆっくりと背中を撫でてくる。
「もう少しリラックスするがいい──ずっと気を張っていたのだろう?」
 背中にあった手が、徐々にうなじに上ってきて、首の後ろの窪みをそっと押してくる。
「ぁ……」
 首や肩の強張りがみるみる解けてきた。
「ここには気持ちを落ち着けるツボがあるというぞ」
 ザイードの大きな手が、キャロリーナの細い首筋全体を包み込み、うなじや耳朶の後ろのあたりを優しく揉みほぐす。
 気持ちがゆったりして心地よい。
「ここも効き目があるぞ」
 肩甲骨の窪みから胸元を長い指がねんごろに揉みほぐし、気持ちがふわふわしてくる。
 満腹で蒸気にじんわり温められているところに、丁重にマッサージをされ、次第にうとうとと眠くなってしまう。
 思わずこくりこくりと船を漕いでしまうと、
「私の肩にもたれていいぞ」
 そうザイードに声をかけられ、自然とザイードに寄りかかり身を預けていた。
 不思議に柔らかい心根になっていく。
(冷酷な蛮族の王のはずなのに──こんなに優しいなんて……)
 穏やかな雰囲気の中で、いつまでもこうして触れられていたくなった。
 と、上半身にマッサージを施していたザイードが、薄物越しにゆっくりと手を下に這わせてきた。腰の曲線に沿って撫で下ろされると、ぞくっと思いもかけず甘い痺れが走り、媚びるような声が漏れてしまった。
「あんっ……」
 自分でもそんな甘い声が漏れたことに驚く。
「ん? ここが弱いか?」
 ザイードが含み笑いをして、しなやかな指先で横腹を掠めるように撫でてくる。

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形式

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