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今日、極道の妻になりました

今日、極道の妻になりました


発行: ヴァニラ文庫ミエル
シリーズ: ヴァニラ文庫ミエル
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

突然ごくつま!?
極道の若頭に愛されすぎ婚前同居

「お前を俺の嫁にする」両親がおらず天涯孤独の結香は、極道の若頭である孝臣と結婚前提で一緒に暮らすことに! 怖いと思っていた孝臣だけどやたらと結香の写真を撮りたがり、ベッドの中では結香を可愛いと言ってくれる。蕩けるほどの快感を教えられ、結香は次第に孝臣を恋しく思うようになるけれど、若頭として仕事中の彼を知ってしまい……!? (ヴァニラ文庫ミエル)

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「……な、なにかあったんですか?」
「なにかって?」
 顎まで毛布を引き上げながら、結香はそのなにかを探した。ここで、寝ていた結香を呼び起こすような出来事が起こるとすれば──。
「えっと……出入り? とか……」
 それを聞くなり、孝臣は俯いてぷっと吹き出した。
「なにがおかしいんですか? ヤクザって、そういうのがあるんでしょ?」
 一応心配したのに一笑に付され、結香はむっとしながらも安堵する。少なくとも出入りの危険はないということなのだろう。
「どこで聞きかじったのか知らないが、出入りなんてめったにあるもんじゃない。今どきそんな騒ぎを起こしたら、その組織は末期ってとこだろうな」
「じゃあ、なんなんですか? こんな時間に女性の部屋へ入ってくるなんて──あっ……」
 孝臣の手が毛布を引き下ろし、結香の首から下を視線が這った。いつものパジャマやジャージでなく、クローゼットにあった綿ローンのネグリジェを身に着けている。
 クローゼットには他にも新品の衣類がたくさんあって、夕食のときに節子に尋ねたところ、すべて結香のために用意されたものだから、どんどん着るようにと勧められたのだ。
 そんなことをしたら、ますます孝臣に世話になることになると思う一方、すでにこんな部屋やヴァイオリンを与えられて今さらだという気もした。結香が使わなければ、また燃やすと言うかもしれない。年ごろの娘としてそれは惜しいと思うくらい、クローゼットの中は魅力に溢れていた。
 このネグリジェも生地をたっぷり使ってタックやギャザーが寄せられ、サテンのリボンやはしごレースがふんだんにあしらわれていて、結香は鏡の前でしばしポーズをとってしまった。
 ただとても薄いのだ。揃いのナイトガウンを脱いでしまった今は、素肌が透けてしまっているのではないかと、気が気ではない。まさか誰かに見られるとは思っていなかったから、油断していた。
「こんな時間に入ってくれば、なんの用かなんてわかりきったことだろう。まして嫁の寝室だ」
 孝臣はネグリジェの襟元のリボンをつまみ、もったいぶるようにゆっくりと引っ張った。
「やっ、やめて!」
 結香は両手で自分を抱きしめるようにして背を向けたが、ずしりと覆い被さってきた重みに、自分の行動が間違っていたと気づいた。孝臣を突き飛ばしてでも、ベッドから降りるべきだったのだ。
「嫁に触ってなにが悪い?」
 孝臣は結香の肩から肘、手首へとなぞっていきながら、耳元に唇を寄せて囁く。低いのによく通る声で、声楽を習えばいいのにと当初は思ったものだが、直接耳に吹き込まれると、また一段といい声だ。そんなことに感心している場合ではないのに。
「まっ、まだ結婚してません!」
「やれやれ。箱入りなのは知ってたが、まさか世の中の男女が全員、婚前交渉なしだと思ってるわけじゃないよな?」
 結香は必死にかぶりを振った。きっとなにを言っても言い返されてしまうだけだ。孝臣には敵わない。腕力ではもちろんのこと、口でも。
 だからといって、諦めてしまうのは嫌だった。男性と交際することもないまま二十二年を生きてきたのは、貞操を守ってのことではないけれど、今日会ったばかりの相手に許せるものでもない。
「べつに取って食おうってんじゃない。ちゃんと可愛がってやるし、いい思いも──まあ、はじめからよくてたまらないってことはないだろうが、それなりに──……結香?」
 ぎゅっと丸めた身体の内側に、無理やり手を差し入れてきていた孝臣は、ふいに動きを止めて肩口から結香を覗き込んだ。
「……泣いてるのか……」
 顔を見られたくなくて顎が胸に付くほど俯いたが、代わりに嗚咽が洩れてしまう。抵抗を諦めてしまったくせに、泣くなんて卑怯だと自分でも思う。だいたい涙なんて通じる相手だろうか。
 身体に触れられるのも、その先に続く行為も怖かったけれど、涙のいちばんの理由はなんなのか、自分でもよくわからない。
 深いため息が、後ろから結香の頬を撫でた。
「……反則だ。人の弱みにつけ込みやがって……」
 なにを言っているのかと聞き返そうとしたが、背中にぴったりと重なった孝臣の身体の温かさや硬さが今さらリアルに伝わってきて、意識を惑わされた。
「泣くな」
 大きな手が結香の頬を包み、瞼を閉じさせるように撫でていく。最後の涙が、頬を伝うことなく孝臣の手のひらに吸い込まれた。不思議なことに嗚咽までが静まって、結香は小さく息をつく。その唇を、孝臣の指先がなぞった。
「……あの……」
 消え入りそうな声を洩らした結香の頬に、孝臣の唇が押しつけられ、言葉はそのまま途切れてしまう。涙の跡を辿るように滑った唇が、結香の唇に触れた。
 あ……。
 手のひらでわずかに角度を変えられただけで、互いの唇がぴたりと重なった。
「……んっ……」
 突然のキスまでの流れに、抗うこともできずにいた結香の唇を、孝臣は舌先で押し開いていく。男女の深いキスがどういうものかくらいは、結香も知識として知っている。しかし今、自分と孝臣がそうしていることが信じられない。ある意味セックスよりも現実味がなかった。
 孝臣の舌は結香の歯列をなぞり、頬の内側や上顎までくまなく這い回った。初めての感覚は衝撃的で、結香は抗うのも忘れ、舌を吸い上げられてくぐもった呻きを洩らす。

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