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意外な求婚者【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】

意外な求婚者【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 ジュリア・ジャスティス(Julia Justiss)
 小学三年生のときから物語を書きはじめ、大学では詩集を出版し、卒業後は保険会社やチュニジアのアメリカ大使館で編集者として働いていた。海軍士官の夫について十二年のあいだに七回の引っ越しを経験したあと、現在は米テキサス州東部のパイニー・ウッズに落ち着き、高校でフランス語を教えている。1997年にアメリカロマンス作家協会ゴールデン・ハート賞を受賞。夫と三人の子供、二匹の犬とジョージアン・スタイルの屋敷に住む。

解説

侯爵の打算と善意から始まった結婚に、やがて真実の愛と疑念が交錯し……。

大家族の長女として育ったセアラは真面目なしっかり者で通っている。そんな彼女は先祖代々の土地と幼い弟妹たちを守るため、借金のかたに変態的な趣味を持つ悪名高き准男爵に嫁ごうとしていた。一方、そうと知ったエングルメア侯爵ニコラスは一計を案じた。家政を取り仕切る能力に長けたセアラをこの自分がめとれば、安定した家庭を礎に自由に暮らせるし、跡継ぎも手に入るというものだ。薄汚い准男爵との暗い未来から不憫な娘を救ってやろうではないか。気の利いた思いつきに、ニコラスは自尊心をくすぐられた。だが、不遜な侯爵の計画に誤算が生じる――たかが便宜結婚のはずが、無垢な花嫁の口づけに、思いがけず心をかき乱されて……。

■セアラとの結婚は跡継ぎをもうけるための絶好の機会――ニコラスにとって、花嫁をめとることにそれ以上の意味などないはずだったのに、しだいに彼女の“過去”がちらつき、嫉妬の炎を燃やすことに……。リージェンシーの旗手J・ジャスティスの名作リバイバル。
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 彼はセアラの顎を持ちあげて、目をのぞきこんだ。
「一時の気の迷いではありません。熟慮のすえ、どちらにとっても、完璧な解決策だと思ったんです。むろん、わたしたちは熱烈に愛し合っているわけではない。しかし、互いに尊敬と賞賛と親しみを感じられれば、そこから結婚を考えてもいいはずでしょう? むしろ、愛情だけよりいいかもしれない。これでフィンリーを選ばれた日には、わたしの自尊心はめちゃめちゃだ。二度と立ち直れませんよ」
 ふざけた口調に、セアラは微笑んだ。真面目に受けとめられるはずもない夢物語だったが、それでも、彼の申しこみには心引かれた。彼女はなんとか甘い誘惑を払いのけて、正気に戻ろうと努めた。
「身に余るお言葉ですけれど、あまりにばかげています」
「信じてください、セアラ。わたしはきみと結婚したい。きみを幸せにするためなら、どんなことでもします。どうか“はい”と答えてください」
「でも、そんな――」
「セアラ!」エングルメア卿はセアラの唇に人差し指を押しあてた。「“はい”と答えて」
 励ますようなうなずきとともに、唇から彼の指が離れていった。セアラは自分の胸に問いかけた。わたしはニコラス・スタナップと結婚できるだろうか? どう考えても不釣り合いな結婚だが、サー・ジェームズの魔手から永遠に逃れられる。
 悩みから解放されるという安堵感が、自分を犠牲にしなければという崇高な思いに打ち勝った。セアラは消え入りそうな声で答えた。「はい」
「よかった。結婚許可証を手配して、母に報告しよう。式は母の屋敷で挙げればいい。明日の午後には出かけましょう。いいですか?」
 セアラは唾をのみこんだ。先代侯爵の未亡人は、息子の知らせに驚くに違いない。でも、ほんとうに結婚するなら、いずれ会わなければならないのだ。
 セアラはどうにか笑顔をこしらえた。「かまいませんわ」そこで思いだした。「いけない! 明日は、サー・ジェームズが結婚を申しこみに見えるのに」
 彼は嘲笑を浮かべた。「放っておけばいい」やけどをしたセアラの手を取って、手首に口づけをする。「あの男に、二度とこんな真似はさせない」
 喉に熱いものがこみあげて、セアラは目をしばたたいた。とても声を出せそうになくて、ただうなずいた。
「それに、ウェリングフォードの抵当流れを差し止めなければ。いくら必要なんです?」
 たったひとことの質問が、降りそそぐ銃弾さながらに感じられた。サー・ジェームズには虚勢を張ってすらすらと答えたが、今になって、あのときの屈辱がセアラの胸をふさいだ。
 やっとのことで、くだらないプライドを捨て、凍りついた舌を動かした。「九千……八百五十六ポンドです」
「それだけ?」エングルメア卿が尋ねる。
「それだけ? ひと財産ですわ」
「ひと財産とは言えないな。そう言うからには、気が遠くなるほど桁が多くなければ」
 彼はにやりとした。セアラの胸のつかえがゆっくりと下りて笑い声がもれた。「どうかしているわ」
 エングルメア卿はわざと非難がましい顔を作った。「わたしがどうかしているって? とんでもない。横柄で傲慢でわがままかもしれませんがね」
「あなたは気高い方です。わたしはできるだけあなたの生活に干渉しないように――」
「かわいいセアラ、わたしに感謝などしたら」彼はもう一度セアラの唇に指を当てた。「きみを絞め殺すことになる」
 指が離れると、セアラは言った。「それでは感謝の言葉であなたを悩ませたりしませんわ。ただ、これだけは覚えておいてほしいんです。もし結婚の申しこみを撤回したくなったら、遠慮なくおっしゃってください」
「セアラ、セアラ」彼はいさめるように言った。「絶対に考え直したり、おじけづいたりしませんよ。明日の正午、ボーモント邸にお迎えにあがります」
 胸のなかでは相反する感情が渦巻いていたが、セアラはうなずいた。「では、明日」
 立ちあがろうとした彼女を、エングルメア卿が押さえた。「婚約が成立した証に、口づけを交わすのがしきたりでしょう?」
 呆然として目をみはっているうちに、彼に抱き寄せられていた。ためらいがちにそっと触れた唇が突然激しさを増した。忘れかけていた快感の波にのまれて、セアラの意識が遠のいた。
 口づけが長いあいだ眠っていたセアラの欲望に火をつけ、燃えあがる炎が全身を包んだ。セアラはため息をついて唇を開き、彼の首に両腕を巻きつけた。
 それに応えるように、セアラを抱きしめる腕にますます力がこもった。ぴったりと重なったたくましい肉体の温かさ。胸に響く心臓の鼓動。背中を撫でる指が乳房に迫ってくる。
 そのとき突然、口づけは終わった。満たされない思いに身を焦がし、彼女は抗議のうめきをもらした。
「かわいいセアラ」エングルメア卿は今までになく熱を帯びた目で見つめながら、ささやいた。「ああ、セアラ。婚約期間が短くてよかった。いつまでもお預けを食わされずにすむ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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