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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

嘘と秘密と一夜の奇跡

嘘と秘密と一夜の奇跡


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・メイザー(Anne Mather)
 イングランド北部の町に生まれる。息子と娘、二人のかわいい孫がいる。自分が読みたいと思うような物語を書く、というのが彼女の信念である。ハーレクイン・ロマンスに登場する前から作家として活躍していたが、このシリーズによって、一躍国際的な名声を得た。

解説

傲慢な夫は去っていった──最初で最後の贈り物を私に残して。

別居して1年近く、ジョアンナは離婚について話し合うため、大富豪の夫マットの屋敷を訪ねた。彼への愛情などもう残っていないと思っていたのに、再会するなり、思いがけず胸の高鳴りを覚えたジョアンナは、自分を叱りつけた。騙されてはだめ。彼の酷い仕打ちを忘れたの?二人の話し合いはしだいに熱を帯び、抑圧された情熱が炎となった。翌朝、マットのベッドで目覚めたジョアンナは動揺して逃げだすが、やがてさらなる動揺が彼女を襲う──妊娠していたのだ。だが、時すでに遅し。マットは新天地へと旅立ち、連絡も途絶え……。

■大御所作家アン・メイザーが描く、ほろ苦い大人のロマンスをお楽しみください。夫と妻の絆を試すかのごとく次々と襲いかかる難問、複雑な男女の機微。ベテランの筆が冴える情感豊かな物語です。

抄録

「急ぐことはない」マットは無造作に肩をすくめた。「飲み物を用意しよう。何か飲めばリラックスできるだろう」
「私はリラックスしているわ」もちろんそんなことはない。ジョアンナは唇を引き結んだ。「さっさと本題に入りましょう」
 マットは急に感情的になったジョアンナを無視してキャビネットに近づき、シャルドネのボトルを持ちあげて彼女に見せた。ジョアンナがためらいがちにうなずくと、マットはワインをグラスについだ。
 彼が差し出したグラスを、ジョアンナは指が触れ合わないように細心の注意を払って受け取った。そして、ワインをひと口飲んでから再び言った。「私がここに来たくなかったのはわかっているでしょう」
 マットがため息をついた。「そうだと思っていた。この問題は少し時間をかけて話し合うべきじゃないかな」
「何を話し合うことがあるの?」ジョアンナは硬い口調で言った。「私は離婚したいの。望みはそれだけよ」
「残念なことだ」
 感情のこもっていないマットの返事に、ジョアンナはいらだった。「引き延ばしてもなんの意味もないわ」
 マットはしばらく黙っていた。それからぶっきらぼうに言った。「まったく、君の恨みまで買うとは。そうでなくてもこの数週間、例の感染症から回復するまで本当に大変だったのに」
「そうでしょうね、でも――」
「でも、君は興味がない」マットは荒々しい口調で言うと、さらにジョアンナに近づき、あらわな腕をつかんで引き寄せた。「僕たちはまだ終わっていないんだ、ジョー」彼は身をかがめ、驚いて息をのむ彼女の唇に唇を押しあてた。
「マット!」
 声がくぐもり、持っていたグラスの中身がこぼれそうになった。ジョアンナが唇からすべりこんでくる舌先に抵抗すると、マットは不満げにうなり声をあげた。
「僕はまだ君が欲しい」彼がジョアンナをじっと見おろす。情けないことに、彼女は膝から力が抜けていった。
「やめて」その声はひどくかすれていた。「私はこんなことをするために、わざわざここまで来たわけじゃないわ」
「わかっている」マットがいきなり手を離して背を向けたので、ジョアンナはよろめいた。「だが、僕はこの結婚が終わったとは思っていない」
 ジョアンナは息がつまった。「私たちはもう一年近く別居しているのよ、マット」
「だからなんだと言うんだ?」マットが鼻で笑った。「確かに僕たちはアメリカとヨーロッパで離れて暮らしている。だが、二人の絆に距離なんて関係なかったはずだ」
「こんな話をしてもなんの意味もないわ」マットから顔をそむけようとして、ジョアンナは遅まきながら彼がグラスを持っていないことに気づいた。そこで話題を変えようとして言った。「あなたも何か飲んだら?」
「アルコールと治療薬は相性が悪い」マットがにべもなく言った。「さあ、なぜ離婚したいのか話してくれ」
 ジョアンナはワインをもうひと口飲み、硬い声で言った。「こんなことはやめましょう、マット」
 マットが唇をゆがめた。「君も知ってのとおり、この国では離婚はありふれたことだ」いったん言葉を切ってから続ける。「争いにならなければ、ということだが」
「ええ、それはわかっている」
「じゃあ、君は僕がすんなり受け入れると期待しているんだな? メールで言っていたのはそういうことなんだろう?」マットの視線が我が物顔で体を這うのを感じ、ジョアンナはチュニックの薄い生地とあらわな脚を痛いほど意識した。「まったく、君のものの言い方は本当に率直なんだな」
 ジョアンナはため息をついた。エイドリエンはマットに、こちらがしびれを切らしてわざと直接的な言い方をした後半のメールを見せたのだろう。「あなたがすんなり受け入れると期待しているなんて書かなかったと思うけど。私はあなたがわざとメールを無視しているんだと思ったのよ」
「好きに思えばいい」マットが嘲るように言った。「だが、君は僕の妻だ、ジョアンナ。僕が自分の意思を通せば、君は妻のままだ」
「私を無理やり妻にしておくことなんてできないわ」ジョアンナは思わずそう言ってから、その子供じみた言い方に舌を噛みたくなった。
 もうひと口ワインを飲もうとしたが、グラスが空なのに気づいてうろたえた。そこで気を落ち着けようと息を吸いこんだ。
 マットはまた私に触れようとするだろうか? ジョアンナが不安を覚えていると、彼は降参だというように両手を上げ、部屋を横切っていってピアノの前に座った。
 ぼんやりと鍵盤に指を走らせながら、彼は言った。「教えてくれ、どうして僕が君の口座に振りこんだ金にまったく手をつけなかったんだ? ベラミーの画廊で再び働く必要などなかったのに」
「働きたかったのよ」ジョアンナは気がつくとキャビネットの前に行き、シャルドネのボトルを手に取って自分でグラスについでいた。「あなたのお金は必要ないわ、マット。言ったはずよ、あのとき――」
「ロンドンのアパートメントを飛び出したときか?」ジョージ・マイケルの古い歌を弾きながら、マットは穏やかに言った。「君がなんて言ったかは覚えている、ジョー。君の言葉は僕の魂に刻みこまれている」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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